ウィーンをベースに活動する団体。オット・ヴルホフニク氏門下生の、1969〜79年生まれの奏者たちによる若い団体で、公式ページを見る限り少なくとも2001年頃活動を始めたようです。
おそらく2001年か2002年に発表された自主制作盤。バロックからオリジナル曲、小品まで、さまざまな様式の曲が集められていて、プロムナードコンサートを聴いているような選曲。さりげなく師匠ヴルホフニクの曲が混ざったりしているのは愛嬌ですが、どの曲も技術的な破綻なく演奏されています。そして、演奏している奏者たちの楽しそうな顔が見えてくるのがこのアルバムのすばらしい点でしょう。そして、よく練られたアンサンブルにも感心しました。残念なのは、今ひとつ団体の個性を感じ取れなかったこと。もっと大胆さや繊細さを感じたかった、、と思うのは、それだけ演奏がしっかりしている証拠でしょう。今後の活動が大いに期待できる団体と感じ取ることができました。
アルバム2作目も比較的なじみのある曲が集められています、、、と思っていると後半に知らない作曲家の名前があったりしますが、耳に優しい曲であることには違いなし。ダニュービアSQのアルバムには、編曲者名も明記されいる点は感心するのですが、このアルバムではラプソディ・イン・ブルーではアウレリアSQのリンデン氏の編曲を使い、ドヴォルザークではドゥラングル氏監修のヴォアピの編曲、ロッシーニはフランス空軍の指揮者だった編曲の名手デヴォジェル氏の編曲、ヴァイルはショット社のハール氏の編曲、最後のコスマの曲はJ.M.ロンデックス氏の編曲、、とたくみに編曲をチョイスしている節がうかがえます。そんなマニアックな詮索はともかく、音楽は前のアルバムよりも少しオリジナリティを感じるようになった、気がします。変幻自在に操られるテンポに、特にそれを感じました。
3作目はオリジナル曲を集めたアルバム。すべてオーストリアやドイツ系の作曲家による曲で、もちろん耳にするのははじめての曲ばかりです。現代的な響きではありますが、必要以上に曲が尖がっておらず、ジャズやポップスなどの影響を感じる個所も少なからずあり、最後まで興味深く聴くことができました。曲の内容に反応した、若いセンスを感じさせる演奏にも好感を持ちました。いっそう研ぎ澄まされた表現もほしいところですが、このアルバムでも演奏に対する意欲を感じ取ることができ、ますます今後の活動が楽しみになりました。願わくば、もう少し曲の解説がほしかった。。
なお、これら3枚のCDの入手には、Harald MÜLLER氏にご尽力いただいた点、御礼申し上げます。