1965年、フランスのナンシー近郊生まれのサクソフォン奏者。フランス国立パリ高等音楽院でジャック・ルデューに師事、1983年に審査員全員一致の一等賞およびジャン・マリ・ロンデックス以来二人目の審査員特別賞を受賞し卒業しました。その後ギャップ・ヨーロッパ・サクソフォン・コンクールで第1位、アドルフ・サックス国際コンクール第3位など、コンテストでも輝かしい記録を残し、現在はダニエル・デファイエ、ジャック・テリーを継いでパリのベルリオーズ音楽院の教授として教鞭を執る一方、ルデュー・サクソフォン4重奏団のソプラノ奏者や、フランス国立放送フィルをはじめフランス内外のオーケストラの客演などをこなしています。また、近年では毎年のように来日し、日本のサクソフォン界ともつながりが深い奏者でもあります。
以下でご紹介したアルバムのほか、デュオ服部氏のアルバムやヴェローヌの作品集などにも参加しています。
モレティ氏2001年来日の際に、デュオ服部氏のアルバムとともに録音、リリースされたアルバム。レパートリは比較的(サクソフォンとしては)古典的な系統の選曲が多く、オーソドックスなフレンチスタイルを感じさせつつ、ヴィヴラートを控えめにした音色は非常に新鮮に感じました。どの曲でも水を得た魚のように自在に音楽が奏でられ、しかも技術的に不安なく、録音がその演奏のすばらしさを忠実に記録している点も特筆。ラメントとロンドの鮮やかな演奏は、難しい曲ながらけしてスポーティな印象を残さず音楽の深さを感じさせられました。また2本のサクソフォンのためのソナタでの服部氏とのつかず離れずの演奏姿勢には聴いていて思わず笑みを浮かべてしまいました。また、ピアノの服部真理子氏のアシストが、モレティの演奏のよさを引き出す香辛料の役割を十全に果たしている点もマル。このようなすばらしい内容の海外の奏者のソロアルバムが、日本のレーベルからリリースされたことを、本当にうれしく思います。
オススメ度: