Daniel GAUTHIER


1963年、カナダの生まれ。フランスにわたり、ボルドー音楽院でロンデックスに師事しました。テクニックは万全ですしフランス風の華麗な音色も魅力的で、私がひそかに今後の活躍に注目している奏者の一人です。ソロやアンサンブル活動のみならず、本人は室内楽に興味を持っているようで、以下にご紹介したアルバムも室内楽団をバックにしたもので要注目。アレクサンドル・サクソフォン4重奏団のソプラノ奏者としても活躍していましたが、1991年にドイツに渡り、シュトゥットゥガルトの大学で教鞭を執るかたわら、アリアージュQのソプラノ奏者として活動しています。またロンデックスの主宰するアンサンブル・インターナショナル・ド・サクソフォンにも名前があります。

Official Site(独語)


主なアルバム


「Hommage à Adolphe SAX」

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SNE SNE-555-CD (P)1990
  1. 伝説 (カプレ)
  2. スカラムーシュ (ミヨー)
  3. 世界の創造 (ミヨー)
  4. ムジク・ド・コンセール (コンスタン)
  5. 呪文 (パッチ)

Daniel GAUTHIER (saxophone)
Bernard JEAN 指揮 アンサンブル・セントルイス・ド・フランス

タイトルどおり、アドルフ・サックスに捧げられたアルバムです。管楽器を含むアンサンブルをバックに吹いているのが新鮮。なかでも伝説ムジク・ド・コンセールではアンサンブル全体で音楽を楽しんでいる様子が伝わってきます。スカラムーシュは、もう少し鋭角的な伴奏がほしいですし、世界の創造は通常よりサックスが浮き出すぎてるかなぁ、という気もしますが、これは編成上仕方ないですかねぇ。いや、ゴーティエの果敢な挑戦を誉めるべきでしょう。注目盤!!

オススメ度:

SNE レーベルによるこのCDの紹介はこちら(英語)

「Miniatures Music for Saxophone and Piano

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MDG 603 1149-2
2002/7/11-12
  1. 「魔弾の射手」の主題による幻想曲 (サヴァリ)
  2. 物語より (イベール)
  3. オリジナルの主題による幻想曲 (ドゥメルスマン)
  4. エオリアン・ソング (ベンソン)
  5. クロノス (スウェルツ)
  6. ヴェニスの謝肉祭 (アルバン)
  7. ブエノスアイレスの四季 (ピアソラ)
  8. 小さなチャルダッシュ (イトゥラルデ)

Daniel GAUTHIER (saxophone) / Jang Eun BAE (piano)

待ちに待った、ゴーティエの新アルバム。古典作品から最近の作品まで揃った選曲にまず期待がかかります。音色は渡独を反映してか?最近の傾向か?ヴィヴラートを抑えてますが、それでも独特の音色の美しさは健在。クールな物語(5曲を演奏してます)はそのスキのない音楽作りが音色とあいまって思わずゾクゾクしました。同様にエオリアン・ソングの耽美の加減も心地よいです。そうかと思えばクロノスではエネルギッシュな面も聴かせてくれますし、小さなチャルダッシュではかなりキレた面も聴くことができ、楽しめました。サヴァリドゥメルスマンアルバンの古典作品でさらにゴーティエのオリジナリティが感じられればなおよかったとも感じましたが、ゴーディエがドイツでも充分活躍していることをうかがわせる充実したCDであることは間違いありません。

オススメ度:

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「Spirito Latino」

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MDG 603 1324-2
2004/8/17-18
  1. カルメン幻想曲 (ボルヌ)
  2. スペイン民謡組曲 (ファリャ)
  3. ラプソディ (ドビュッシー)
  4. スペインのセレナーデ (ビゼー)
  5. 歌劇「ゴイエスカス」より 間奏曲 (グラナドス)
  6. バプティストのための舞踏会 (グィルノー)
  7. スカラムーシュ (ミヨー)
  8. サン・フェリオ (ネセロフスキー)

Daniel GAUTHIER (saxophone) / Jang Eun BAE (piano)

ゴーティエ&バエのデュオによる録音の2枚目。タイトルどおりラテン系の曲、ラテン色の感じられる曲が並んでいます。古典的な名曲がならぶ中、若手グィルノーネセロフスキーによる新らしい曲も含まれています。

ゴーティエの音色は明るく軽く、相変わらず実に達者な上、よく歌いこまれています。原曲はフルートのためのカルメン幻想曲は、フルート特有の音の跳躍に少々苦しんでるようではありますが、次々繰り出すメロディの歌いまわしを楽しむことができました。ラプソディは遅めのテンポながらも音楽の流れは淀むことはありません。いっぽうスカラムーシュのブラジレイラは超快速で飛ばしていきます。14年前に録音したHommage à Adolphe SAXとは(編成も異なりますが)ずいぶんとちがった演奏になっています。ちなみに2分をきる演奏、というのは、私の手許ではこの演奏以外に須川氏のものしかありません。

全体に、もっと密度の高い音色でこれらのラテン色濃い曲を聴きたかった、というのはあくまで私の好みの問題。

オススメ度:

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「Jacques MURGIER - trois concertos -

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TRITON 529172
1996/7 Stuttgart [a], 1996/9 L'Abbaye de La Prée [b,c]
  1. サクソフォンと弦楽合奏のための協奏曲 (ムルジエ)
  2. 第1ヴァイオリン奏者と管弦楽のための協奏曲 (ムルジエ)
  3. ピアノと弦楽合奏のための協奏曲 (ムルジエ)

Daniel GAUTHIER (saxophone) [a]
Christoph ADT 指揮 シュトゥットゥガルト青少年管弦楽団 [a]
Annie JODRY (violin) [b]
Hasming SURMELIAN (piano) [c]
Jérémie RHORER 指揮 ミュジシャン・ド・ラ・プレエ [b,c]

フランスの作曲家ジャック・ムルジエ(1912-86)の協奏曲集。ムルジエはミュンシュ指揮時代のパリ音楽院管弦楽団でリード・ヴァイオリニストとして活躍、その後生地に戻り作曲家としての名を残しました。サクソフォン協奏曲は1961年にジャン=マリー・ロンデックスに捧げられたもので、オネゲルのような推進力のある力強いタッチが印象に残ります。ゴーティエの演奏はクールでありながら鋭い艶を湛えた不思議な音色が魅力的。他の曲でも音楽が驀進して迫ってきます。

なお、ムルジエ氏は協奏曲のほか、サクソフォンのための2つの小品(1940)、12本のサクソフォンのためのフランス組曲(1984)を残しており、機会があれば聞いてみたいものです。

Triton レーベルによるこのCDの紹介はこちら(仏語)
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