1963年、カナダの生まれ。フランスにわたり、ボルドー音楽院でロンデックスに師事しました。テクニックは万全ですしフランス風の華麗な音色も魅力的で、私がひそかに今後の活躍に注目している奏者の一人です。ソロやアンサンブル活動のみならず、本人は室内楽に興味を持っているようで、以下にご紹介したアルバムも室内楽団をバックにしたもので要注目。アレクサンドル・サクソフォン4重奏団のソプラノ奏者としても活躍していましたが、1991年にドイツに渡り、シュトゥットゥガルトの大学で教鞭を執るかたわら、アリアージュQのソプラノ奏者として活動しています。またロンデックスの主宰するアンサンブル・インターナショナル・ド・サクソフォンにも名前があります。
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タイトルどおり、アドルフ・サックスに捧げられたアルバムです。管楽器を含むアンサンブルをバックに吹いているのが新鮮。なかでも伝説やムジク・ド・コンセールではアンサンブル全体で音楽を楽しんでいる様子が伝わってきます。スカラムーシュは、もう少し鋭角的な伴奏がほしいですし、世界の創造は通常よりサックスが浮き出すぎてるかなぁ、という気もしますが、これは編成上仕方ないですかねぇ。いや、ゴーティエの果敢な挑戦を誉めるべきでしょう。注目盤!!
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待ちに待った、ゴーティエの新アルバム。古典作品から最近の作品まで揃った選曲にまず期待がかかります。音色は渡独を反映してか?最近の傾向か?ヴィヴラートを抑えてますが、それでも独特の音色の美しさは健在。クールな物語(5曲を演奏してます)はそのスキのない音楽作りが音色とあいまって思わずゾクゾクしました。同様にエオリアン・ソングの耽美の加減も心地よいです。そうかと思えばクロノスではエネルギッシュな面も聴かせてくれますし、小さなチャルダッシュではかなりキレた面も聴くことができ、楽しめました。サヴァリ、ドゥメルスマン、アルバンの古典作品でさらにゴーティエのオリジナリティが感じられればなおよかったとも感じましたが、ゴーディエがドイツでも充分活躍していることをうかがわせる充実したCDであることは間違いありません。
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ゴーティエ&バエのデュオによる録音の2枚目。タイトルどおりラテン系の曲、ラテン色の感じられる曲が並んでいます。古典的な名曲がならぶ中、若手グィルノーとネセロフスキーによる新らしい曲も含まれています。
ゴーティエの音色は明るく軽く、相変わらず実に達者な上、よく歌いこまれています。原曲はフルートのためのカルメン幻想曲は、フルート特有の音の跳躍に少々苦しんでるようではありますが、次々繰り出すメロディの歌いまわしを楽しむことができました。ラプソディは遅めのテンポながらも音楽の流れは淀むことはありません。いっぽうスカラムーシュのブラジレイラは超快速で飛ばしていきます。14年前に録音したHommage à Adolphe SAXとは(編成も異なりますが)ずいぶんとちがった演奏になっています。ちなみに2分をきる演奏、というのは、私の手許ではこの演奏以外に須川氏のものしかありません。
全体に、もっと密度の高い音色でこれらのラテン色濃い曲を聴きたかった、というのはあくまで私の好みの問題。
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フランスの作曲家ジャック・ムルジエ(1912-86)の協奏曲集。ムルジエはミュンシュ指揮時代のパリ音楽院管弦楽団でリード・ヴァイオリニストとして活躍、その後生地に戻り作曲家としての名を残しました。サクソフォン協奏曲は1961年にジャン=マリー・ロンデックスに捧げられたもので、オネゲルのような推進力のある力強いタッチが印象に残ります。ゴーティエの演奏はクールでありながら鋭い艶を湛えた不思議な音色が魅力的。他の曲でも音楽が驀進して迫ってきます。
なお、ムルジエ氏は協奏曲のほか、サクソフォンのための2つの小品(1940)、12本のサクソフォンのためのフランス組曲(1984)を残しており、機会があれば聞いてみたいものです。