ソプラノとアルト奏者がカナダ出身、テナー奏者がフランス出身、バリトン奏者がスロヴェニア出身と、多国籍メンバで結成された団体。アリアージュというフランス語の団体名でJ.M.ロンデックスの門下生である3人と、ストラスブール音楽院出身のC.フルモーの4人で構成されており、ドイツとフランスを中心に活動しています。ソプラノのダニエル・ゴーティエはカナダでもソロ奏者として活躍していましたが、現在はドイツのサクソフォン協会の役員をつとめているようです。(と紹介文を書きましたが、これは下記1作目のアルバム時点でのことです。2作目のパーソネルを見ると、ゴーティエ以外は全員メンバが交代しているようです。ちなみに、1作目の時点では、以下のメンバでした。)
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パステル調のジャケットが綺麗で、ソプラノ奏者のゴーティエの名前を事前に知っていることもあり、聴く前から期待が高まります。録音のせいか低音があまり聴こえてこないのが残念ですが、サウンドは比較的端正です。しかし、よく聴いていると通常のテンポの設定やアゴーギグなどかなり独特の処理をしていて、聴き慣れた曲からこんな響きがするのか、とびっくりする個所も少なくありません。たとえばサンジュレの1楽章や3楽章の最初の響きなど、挑発的。またデザンクロやセヴィリャなど、普通なら勢いで演奏してしまう箇所を、「ほんとにそれでいいの?」と問いかけるようにじっくり演奏します。これを癖ととるかオリジナリティととるかは、聴き手に委ねらるでしょう。私自身はその点はまあ面白く聴くことができました。一発録りなのか、明らかなミスが数ヶ所目立つのが残念です。
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「少し前に聞こえたあのお声は」という歌劇「セヴィリャの理髪師」の中の有名なアリアをタイトルにしたアルバム。ということで、ピアノも加え、有名な歌劇のメロディで構成されたアルバムは、サクソフォンのファン以外にも楽しむことのできる内容になっています。編曲の関係か?ところどころでおや?と思う音が飛び出してくることもありますが、全体に技術的には安心して聴くことができる出来になっており、大胆な表現を見せる個所もあるものの、音の切り方の処理をはじめ、全体に堅実で丁寧な演奏を展開しています。
日本のサクソフォン・ファンには、長生淳の編曲によるカルメン・ラプソディが(CDでは、長生淳作曲のビゼーのカルメンの主題によるファンタジーと表記)お馴染みのことでしょう。このCDでもだんだん熱を帯びてくる快演を聴くことができますが、この編曲に仕込まれている多くのジョークやお遊びを十二分に引き出すには、やはりトルヴェールQのような確信犯的な演奏のほうがいいのかな、とも感じました。
ところで魔笛の編曲者の Chikade Imai さんって、何者なんでしょうか??
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矢継ぎ早にアルバムをリリースし、精力的に活動している様子がうかがえるアリアージュQ。新作はロマン派の2曲、いずれも1843年に発表されたクラシック作品の編曲です。ピアノ+サックス4本での演奏に(原曲に深い愛着のない私にとっては)無理はなく、純粋に音の綾を楽しめる内容に満足しました。必要以上にデコレーションせず、曲の魅力をストレートに表現した演奏にも好感を持ちます。さらに欲を言えば、やはりここはサクソフォンならではの華麗な、色気を感じる演奏を聴きたいな、、、というのは、技術的な問題はほぼクリアしている演奏だからこそのわがままでしょうか。
余談ですが、真夏の夜の夢には、有名な結婚行進曲も含まれています。サックス吹きの結婚式BGMにオススメです(半分本気
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