須川 展也


1961年生まれの須川氏は、今や日本を代表し、そして世界でも屈指のクラシカル・サクソフォン奏者。ザ・トルヴェール・クヮルテットのソプラノ・サクソフォン奏者であり、東京佼成ウィンド・オーケストラのアルト・サクソフォン奏者兼コンサート・マスタでもあり、CMにも出演したり、と八面六臂の活躍ぶりですが、後進の育成、アマチュア奏者との共演も積極的です。

経歴その他詳しいことについては、須川氏の公式のページをご覧下さい。

CMや映画の中でも「おっ、これは須川さんの音だ」とわかる独特の美しい音色こそ、須川氏の最大の武器であると思います。特に高音の弱音の美しさは息をのみます。実演では茶目っ気や大胆な表現もみせて(いや、聴かせて)くれます。次にどんな音楽表現で私たちを魅了してくれるのか、常に要注目です。

Official Site


主なアルバム


「ワンス・アポン・ア・タイム 須川展也 サクソフォン小品集

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Apollon APCE5042
1989/9/12-13 光が丘IMA、東京都
  1. 抒情的小曲集より (グリーグ)
  2. ワルツ形式によるカプリス (ボノー)
  3. ヴォカリーズ (ラフマニノフ)
  4. 白鳥 (サン=サーンス)
  5. オンブラ・マイ・フ (ヘンデル)
  6. プルチネッラ (ボザ)
  7. 「アルルの女」より 間奏曲 (ビゼー)
  8. サマータイム (ガーシュウィン)
  9. ラグタイム・ダンス (ジョプリン)
  10. バイ・シュトラウス (ガーシュウィン)
  11. 古典組曲より シチリアーノ (矢代秋雄)
  12. ラモーの主題による変奏曲 (伊藤康英)
  13. ふるさと (岡野真一)
  14. 赤とんぼ (山田耕筰)
  15. 浜辺の歌 (成田為三)

須川 展也 (saxophone)/ 小柳 美奈子 (piano)

須川氏のデビュー作。「サクソフォンを普段聴かない人にも聴いてもらえるようなものを」という本人の希望により、耳になじみのある小品が収められています。冒頭の抒情的小品集よりの切々とした息遣いは印象的ですし、ラグタイム・ダンスの軽妙さも聴きものです。最後の3曲も、妙にコブシが入ってなくていいですね。伴奏の奥さんの小柳美奈子女史も、好サポートを聴かせてくれます。アポロン・レーベルからバンダイ・ミュージックへ移行後、入手困難になっていましたが、2003年7月にアート・ユニオンから再度プレスされました。うれしい限りです。

オススメ度:


「須川展也 サクソフォーン小品集」

東亜出版社 SACD-0201(ブックレットつきCD)
1992/4/1,2 音楽の友ホール、東京
  1. ブラジル風組曲 (ナザレス)
  2. タンゴ (アルベニス)
  3. カヴァティーナ (ラフ)
  4. フルート・ソナタより シチリアーノ,アレグロ (バッハ)
  5. ノクチュルヌ (磯田健一郎)
  6. トーキョー・リトル・ダンス (磯田健一郎)
  7. アリオーソ (バッハ)
  8. セレナーデ・ヴァリエ (クレリス)
  9. ベシーナ (ジョプリン)
  10. エリート・シンコペーションズ (ジョプリン)
  11. 忘れっぽい天使III(ハーモニカとアコーディオンのための)より インヴェンション (吉松隆)
  12. 融けていく夢 (吉松隆)

須川 展也 (saxophone)/ 小柳 美奈子 (piano)

楽譜とタイアップ企画で出されたブックレットつきCDで、CDショップではなく楽譜屋に並んでました。ところで、この楽譜ってまだ売ってるんでしょうかね? 模範演奏を意識したのか、楽譜に素直な演奏、というかあまり遊び心がないんですが、これは須川氏のせいではないのでしょう。ブックレットの解説がさらに充実していればなおよいのですが、、

オススメ度:


「ファジーバード 須川展也 サクソフォン・リサイタル

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Apollon APCE5199
1991/9/18-19 光が丘IMA、東京都
  1. ファジイ・バード・ソナタ (吉松隆)
  2. 前奏曲・カデンツァとフィナーレ (デザンクロ)
  3. ソナタ (デニソフ)
  4. ソナタ (クレストン)
  5. セクエンツァIXb (ベリオ)
  6. スカラムーシュ (ミヨー)

須川 展也 (saxophone)/ 小柳 美奈子 (piano)

アルバム2作目はオリジナル曲でガッチリかためられてます。なかでもファジーバード・ソナタはスバラシイ! 後に「メイド・イン・ジャパン」で再録音してますが、私はこのアルバムの方が挑発的でエロティックで好きです。特に第3楽章のアドリブのところとか、サイコーですね。デニソフの響きもいたずらに難解になってませんし、須川氏が高校の頃から吹いていたというクレストンの演奏からはいとおしみが感じられます。そして最後のスカラムーシュはハヤいハヤい! 特に、Vif のスピード感やドライヴ感はピカ一です。この曲を録音したアルバムは20枚近く持ってますが、須川氏の演奏が一番と思ってます。これに対抗できるのは、須川氏の悪友?ボーンカンプ氏くらいかな?

このCDも、2003年7月にアートユニオンからの再プレスされました。

オススメ度:


「ノスタルジア」

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Eastworld TOCZ-9209
1993/6/28-30 川口市リリアホール
  1. (ドビュッシー)
  2. 亜麻色の髪の乙女 (ドビュッシー)
  3. ジュ・トゥ・ヴー (サティ)
  4. ジムノペディ第1番 (サティ)
  5. プレイアデス舞曲集第2集より (吉松隆)
  6. 間奏曲 (イベール)
  7. ハバネラ形式の小品 (ラヴェル)
  8. 亡き王女のためのパヴァーヌ (ラヴェル)
  9. アリア (ボザ)
  10. ノスタルジア (菅野洋子)
  11. モーニング (菅野洋子)
  12. 夢色モビール (吉松隆)

須川 展也 (saxophone)
荘村 清志 (guiter) [f]
朝川 朋之 (harp) [a,b]
山崎 祐介 (harp) [c,d,h-l] 他

レーベル移籍第1作目は、弦楽器を主体に、ハープやギターを伴奏にしたアルバム。全体にイージーリスニング調に近く、録音が残響だらけなのはナンですが、聴き心地よい仕上がりです。私はこの路線はきらいではなく、実際このアルバムはよく聴いてます。このアルバムの中では亡き王女のためのパヴァーヌなどは、須川氏のサクソフォンが原曲にはない別の魅力を引き出していますが、なんといってもソプラノの演奏によるイベールの間奏曲は絶品。ドライブのBGMとしてもオススメします。もっとも、最後の方で眠気を誘ってもシリマセン(笑)

オススメ度:


「シシュポスの夢 須川展也 with Strings

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EMI TOCT-8454
1994/4/2-5/9 東芝EMI 第3スタジオ
  1. 星に願いを (ハーライン)
  2. (本多俊之)
  3. ラヴィン・ユー (リバートン/ルドルフ)
  4. マイ・ラヴ (ポール・マッカートニー)
  5. オネスティ (ビリー・ジョエル)
  6. シーガル (真島俊夫)
  7. 僕の歌は君の歌 (エルトン・ジョン)
  8. エンドレス・ラヴ (ライオネル・リッチー)
  9. シシュポスの夢 (MALTA)
  10. ウィズアウト・ユー (ニルソン)
  11. 安息日 (溝口肇)
  12. ラヴ (ジョン・レノン)

須川 展也 (saxophone)

弦楽器をバックに、主にポップス曲でまとめたアルバム。えー、手厳しいことをいってしまうと、私はこの路線は全然評価してません。たしかに、須川氏自身の思い入れは感じられますし、技術的にもまったく難なくめちゃくちゃ美しく吹いています。しかし、それ以上ではないのです。どうしてこれらの曲を、クラシカルなスタイルで演奏して発表したのでしょう? おそらく答えは、曲が好きだから、なのでしょう。それはそれでいいと思いますが、それならば私はもっとエンターテイメントに徹した演奏の方を選んで聴きます。美しいだけでなく、ある時は意図的に音程をはずし、音色を汚し、クラシックという枠を本当に打ち破った時に、もっとすばらしいアルバムができると思うのですが。

私事ですが、今回アルバムを再度引っぱり出したら、弦のメンバにお世話になった方の名前を発見して、ちょっとうれしくなりました。


「Cafe 1930〜ピアソラに捧ぐ〜

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Eastworld TOCT-9101
1995/2/21-23 福島音楽堂
  1. タンゴの歴史 (ピアソラ)
  2. アディオス・ノニーノ (ピアソラ)
  3. プレパンセ (ピアソラ)
  4. 孤独の月 (ピアソラ)
  5. デカリシモ (ピアソラ)
  6. リベルタンゴ (ピアソラ)
  7. ファンタジア (ヴィラ=ロボス)
  8. 組曲形式による性格的小品 (デュボワ)

須川 展也 (saxophone)/ 小柳 美奈子 (piano)
啼鵬 (Bandoneon) [b-f]

前半にピアソラ、後半にヴィラ=ロボスとデュボワを組み合わせたアルバムで、前半に気を取られがちですが後半が素晴らしいです。特に性格的小品は、各楽章を勢いにまかせずキッチリ吹き分けててさすが。タンゴの歴史はもう少し攻撃的になってほしい気もしますが、若きバンドネオン奏者 啼鵬 とのコラボレーションはなかなかのものだと思います。中でも、プレパンセ孤独の月の軽やかさは心地よく、数あるサクソフォンによるピアソラ演奏のなかでもお気に入りです。

オススメ度:


「サイバーバード 須川展也 サクソフォン協奏曲集

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EMI Classics TOCE-9152
1996/4/6-7 Abbey Road Studio, London
  1. サイバーバード協奏曲 (吉松隆)
  2. サクソフォン協奏曲 (グラズノフ)
  3. ラプソディ (ドビュッシー)
  4. サクソフォン室内協奏曲 (イベール)

須川 展也 (saxophone)
デイヴィッド・パリィ 指揮 フィルハーモニア管弦楽団
小柳 美奈子 (piano)・山口 多嘉子 (percussion) [a]

文化庁芸術作品賞受賞アルバム。なんとフィルハーモニア管をバックに協奏曲集を録音してしまいました。吉松氏の作品はこの録音のために書き下ろされたそうで、須川氏を始めソリストはかなり熱くなっているようです。ただ、曲に込められた要素がそれぞれに浮遊して感じられて居心地悪く、他の曲に比べると私は楽しめませんでした。残りの、すでにサクソフォンのための古典とでもいうべき3曲は、どの曲も高水準の出来ではありますが、須川氏の腕をすればさらに意欲的な、踏み込んだ表現を聴くことができるはず、と思うとちょっと残念です。

オススメ度:


「エストレリータ」

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EMI Classics TOCE-9521
1997/4/1-3 根上町総合文化会館コンサートホール"タント"(石川県)
  1. グラナダ (ララ)
  2. エストレリータ (ポンセ)
  3. セヴィリャ〜スペイン組曲より (アルベニス)
  4. アンダルーザ (グラナドス)
  5. カディス〜スペイン組曲より (アルベニス)
  6. 粋な娘の踊り (ヒナステラ)
  7. 忘却 (ピアソラ)
  8. ファンタジア (ヴィラ=ロボス)
  9. ブラジル風バッハ第5番より アリア (ヴィラ=ロボス)
  10. スカラムーシュ (ミヨー)
  11. 想いのとどく日 (ガルデル)

須川 展也 (saxophone)
山下 一史 指揮 オーケストラ・アンサンブル金沢

オケをバックにラテンものを集めて吹き込んだアルバム。前作よりはかなりアツくなってますが、しかし実演のグラナダにはまだまだ程遠いなー。(それだけ実演がすごい、ということです。)このアルバムの中では、エストレリータ粋な娘の踊り想いのとどく日といったスローで歌い上げるような曲が印象的です。バックのOE金沢は、音の処理や音色に不満がのこります。

オススメ度:


「メイド・イン・ジャパン」

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EMI Classics TOCE-9695
1998/1/13-16 福島市音楽堂
  1. ランサローテ (佐藤聡明)
  2. ラ・ルネ・アン・パラディ (長生淳)
  3. ファジイ・バード・ソナタ (吉松隆)
  4. エキゾチック・ダンス (鍋島佳緒里)
  5. ラメント (西村朗)
  6. ジャズ・エチュード(サクソフォンとピアノのための対話) (本多俊之・尚美)

須川 展也 (saxophone)/ 小柳 美奈子 (piano)

邦人による作品集、しかもすべて須川氏のためにかかれた曲というアルバム。実際、無伴奏の1曲目ランサローテの冒頭を聴いた瞬間に、この曲が須川氏の音色を前提に書かれていることがわかり、背筋がゾクッとしました。エキゾチック・ダンスラメントも、曲・演奏とも気合いを感じます。このアルバムのために書き下ろしたという本多俊之のジャズ・エチュードは、私はあまりおもしろいとは思いませんでした。

オススメ度:


「英雄の時代」

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佼成 KOCD-4002
1999/1/25,26 サン・アザレア,埼玉県
  1. 英雄の時代 (長生 淳)
  2. プロヴァンスの風景 (モーリス)
  3. サクソフォン協奏曲 (グラズノフ)
  4. サクソフォン協奏曲 (トマジ)
  5. グラナダ (ララ)

須川 展也 (saxophone)
山下 一史 指揮 東京佼成ウィンド・オーケストラ

いやあ、久々で佼成ウィンドが燃えてます! 須川氏のソロもよいですが、これだけやる気をだした佼成も久々に聴く気がします。おかげで、英雄の時代はかなりおもしろく聴くことが出来ましたが、繰り返し聴くと伴奏の強奏が多くてちょっと疲れるのも事実。後の3曲はサクソフォンのレパートリとしては有名ですが、この録音はもちろんすべて吹奏楽伴奏版。須川氏のソロは頑張ってますが、プロヴァンスの風景ではピアノ伴奏で聴くことのできる鋭角的なリズムはここにはなくなってしまってますし、グラズノフで弦楽器の醸す弦の響きとソロ管楽器の対比は、原曲と比べると2段も3段も聴き劣りするように感じました。これは演奏のせいでも編曲の問題でもないでしょう。トマジも同じ傾向ですが、原曲が胃にもたやすい分、管楽器版はすっきりしていて愉しめました。ボーナスCDに収録されているグラナダはまさに熱演。同じ指揮者(と同じ編曲者)によるオケ伴録録音より、須川氏も指揮者もはるかに愉しんで、悪ノリすれすれのところまで燃焼してます。

佼成出版社のこのCDの紹介はこちら

オススメ度:




「Air」

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Eastworld TOCT-24306
1999/10/18,19 Abatar Studio, New York
2000/3/7-9 東芝EMI 第3スタジオ
  1. アリオーソ (バッハ)
  2. ブラジル風バッハより アリア (ヴィラ=ロボス)
  3. アルハンブラの想い出 (タレッガ)
  4. アイ・ガット・リズム (ガーシュウィン)
  5. サマータイム (ガーシュウィン)
  6. ポロヴェッツィアン・ダンス (ボロディン)
  7. G線上のアリア (バッハ)
  8. グリーンスリーヴス幻想曲 (加古隆)
  9. ハフナー〜交響曲第35番「ハフナー」より (モーツァルト)
  10. 美しい夕暮れ (ドビュッシー)
  11. 火祭りの踊り (ファリャ)
  12. 想いの届く日 (ガルデル)

須川 展也 (saxophone)
Ron CARTER (bass) 弦楽セクション

最新譜はジャズ界の大御所ベーシスト、ロン・カーター氏との共演作。この共演のために編曲され、二人が演奏されることを前提にした音楽が繰り広げられます。そのせいか、また選曲のせいかどの曲もトゲがなく、落ち着いてバランスのとれた演奏が繰り広げられます。言い方を変えれば全体にやや大人しい演奏のようにも感じます。全体にロン・カーター氏の懐の深さと、それに臆せずしかし端正さを崩さない須川氏という印象が残りました。ごく個人的に言えばロン・カーター氏のベースを聞いてるだけで幸せなのですが、録音のせいなのか他の楽器とのバランスがちょっと気になりました。

なお、東京セッションではピアノに島健氏、パーカッションに山口多嘉子氏が参加していることを附記しておきます。



「Exhibition of Saxophone」

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EMI Classics TOCE-55521
2002/8/20-22, 10/1-3 岐阜サラマンカホール, 2002/9/1-2 所沢ミューズアークホール(埼玉)
  1. ラプソディ・イン・ブルー (ガーシュウィン)
  2. 組曲「展覧会の絵」 (ムソルグスキー)
  3. バラード (トマジ)
  4. ラプソディ (ドビュッシー)
  5. スカラムーシュ (ミヨー)
  6. 幻想曲 (ベダール)
  7. ファンタジア・アンプロンプチュ (ジョリヴェ)
  8. ヴァカンス (ダマーズ)
  9. セレナーデ・ヴァリエ (クレリス)
  10. りす (デュボワ)
  11. プロヴァンスの風景 (モーリス)
  12. ワルツ形式によるカプリス (ボノー)
  13. サクソフォン・ソナタ (ヘイデン)
  14. バラード (マルタン)
  15. ソナタ (クレストン)
  16. 前奏曲・カデンツァとフィナーレ (デザンクロ)
  17. ソナタ (リュエフ)
  18. ソナタ (デニソフ)

須川 展也 (saxophone)/ 小柳 美奈子 (piano)

なんと3枚組、すべて新録音という気合の入ったアルバム。選曲も意欲的で、まったくごまかしの効かない有名曲ばかり。こういった企画ができ、もちろん完成度が高く、しかもイヤみにならないのは、須川氏だからこそ、といえるでしょう。

1枚目はクラシックからの編曲。パリのアメリカ人展覧会の絵とも長生淳氏の手によるもので、サクソフォンとピアノという編成の制約を逆手にとって、原曲にはないフレーズを交えたりした大胆なものになっています。とはいえ、聴き進むうちにオクターヴ跳躍による解決が繰り返し目立つようになってきて、ちょっと飽きてしまった、というのが正直な感想です。あと、せっかくなら原曲のピアノ版からの編曲であってほしかった、とは個人的な願望。もちろん、演奏そのものはすばらしく、編曲上の困難さを軽々クリアした上で遊び心にあふれています。

2枚目はフランス系のやや軽めのオリジナル曲。既録音と重複する曲は少なからずありますが、さらに遊び心を加えつつ、それが音楽そのものの品位をまったく落とさずにまとめあげている点は本当に驚異的です。特にスカラムーシュプロヴァンスの風景など、今までいろいろな演奏を何度も聴いてきましたが、この演奏をきくたびにさらに新しい発見があり、他の奏者にはないオリジナリティとクオリティを見出します。他の曲も然り。3枚のCDの中では最も須川氏のサクソフォンそのものが堪能できました。

3枚目はさらに技巧を要するオリジナル曲。とはいえ、技術的になんの問題もなく演奏されていることは当然。須川氏の演奏は、そんな技術的な問題を突き抜けてしまった、高い次元の演奏であることは間違いありません。ヘイデンにしろリュエフにしろ、いとも難なく音楽の本質が須川氏によって語られてしまい、その価値が聴く側に無理なく委ねられてしまい、真剣に対峙せざるをえません。なんというオソロシイことでしょう(笑)。

ないものねだり的に気になった点といえば、サクソフォンとピアノのバランス。須川氏の音楽のスパイスになっている小柳氏の伴奏をもうすこし前面に出してほしかったと個人的には感じました(EMIレーベルの録音ポリシーとも関係してるような気がしますが)。とはいえ、これはアルバムの完成度が極めて高いからこその感想、これだけ「やりたい」音楽をさらりと(しかも大量に)披露してくれる須川氏、次に何に「挑戦」するのか、またそのパワーをどんなカタチでみせてくれるのか、実に楽しみであります。

オススメ度:


「Sugawa & TOKWO Live 2004」

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佼成 KOCD-3317
2004/1/31 サントリーホール [ライヴ]
  1. アルメニアン・ダンスPart1 (リード)
  2. (ピアソラ)
  3. 忘却 (ピアソラ)
  4. リベルタンゴ (ピアソラ)
  5. サクソフォン協奏曲 (クレストン)
  6. 「さくら」のテーマ (小六禮次郎)
  7. ア・ソング・フォー・ユー (ラッセル)
  8. グラナダ (ララ)
  9. スペイン (コリア)
  10. 追憶のテーマ (ハムリッシュ)
  11. イエ・バンクスとボニー・ドゥーンの川のほとり (グレインジャー)

須川 展也 (saxophone)
山下 一史 指揮 東京佼成ウィンド・オーケストラ

須川氏のプロ活動20周年を記念したコンサートのライヴ盤。SACDハイブリッド仕様です。最初と最後はコンサートマスターとして、それ以外はソリストとしての演奏。しかしアルメニアン・ダンスグレインジャーも、アルト・サクソフォンがいい意味で目立つ曲であり、須川氏の音色を堪能することができます(もちろん、それはソリスティックに目立つというのではなく、有機的なアンサンブルをリードするという意味において)。どの曲も渾身の、しかし遊び心をけして忘れない演奏ですが、なかでもグラナダ追憶のテーマでは、須川氏自身もバックの東京佼成ウィンドも感情の昂ぶりを抑えきれないのが聴こえてとれます。グラナダの最後のグリッサンドが決まったあとの、須川氏の嬉しそうな顔が目に浮かぶようです。

ここ数年の須川氏の演奏を聴いていると、デビュー当時の颯爽とした音色に加えて、特にクラシック系の曲で少しづつ音色の濃密さを感じることが多くなってきました。ライヴならではの傷もありますが、須川氏の活動の「句読点」に相応しいすばらしい内容で、ぜひ次は25周年に何かやらかしてほしい!です。

本当は、ピアソラのナンバーよりも、コンサートで演奏されたグラズノフやアンコール最後に演奏されたアメージング・グレースを収録してほしかった(笑)

オススメ度:


「Sugawa & TOKWO Live 2004」[DVD]

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佼成 KOVD-8500 [DVD]
2004/1/31 サントリーホール [ライヴ]
  1. アルメニアン・ダンスPart1 (リード)
  2. サクソフォン協奏曲 (グラズノフ)
  3. (ピアソラ)
  4. 忘却 (ピアソラ)
  5. リベルタンゴ (ピアソラ)
  6. ア・ソング・フォー・ユー (ラッセル)
  7. グラナダ (ララ)
  8. スペイン (コリア)
  9. 追憶のテーマ (ハムリッシュ)
  10. イエ・バンクスとボニー・ドゥーンの川のほとり (グレインジャー)
  11. アメイジング・グレイス (伝承曲)

須川 展也 (saxophone)
山下 一史 指揮 東京佼成ウィンド・オーケストラ

前のCDのコメントで「コンサートで演奏されたグラズノフやアンコール最後に演奏されたアメージング・グレースを収録してほしかった(笑)」と記したら、DVDにはしっかり収録されていました(驚)。演奏についてのコメントは前のCDと同一なのですが、やはりファンとしては、演奏が映像とともに楽しめることはありがたいかぎりです。汗だくになってニコニコしながらタクトを振る山下氏と、「幸せ」が体からにじみ出ているような須川氏の映像からは、須川氏が東京佼成ウィンド・オーケストラとの関係を非常に大切にし、それがこれまでいい結果を生み出しているかを感じることができます。また、一アマチュアサクソフォン奏者としては、須川氏がどんな表情で楽器を演奏しているか、奏法を確認できるのが嬉しいです。

なお、特典として須川氏へのインタビューが(あまり長くはありませんが)収録されています。

オススメ度:


「Play !」

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佼成 KOCD-4003
2005/1/27-28 和光市民文化会館サンアゼリア(埼玉県)
  1. ウズメの踊り (スウェルツ)
  2. カーニヴァル (スパーク)
  3. ディヴェルティスマン (デュボワ)
  4. ウードゥルズ・オブ・ヌードルズ (ドーシー)
  5. ヴァルス・エリカ (ヴィードーフ)
  6. サックス・オ・フン (ヴィードーフ)
  7. サクソフォビア (ヴィードーフ)
  8. パントマイム (スパーク)
  9. マドリッド・インスピレーション (加藤昌則)
  10. アディオス・ノニーノ (ピアソラ)

須川 展也 (saxophone)
山下 一史 指揮 東京佼成ウィンド・オーケストラ

「ビールを飲みながら聴いてもらえるようなCDを作りたかった」というタスキに引用されたコメントに偽りなく、肩肘こらずに楽しむことのできる内容です。オリジナル曲あり、サクソフォンの名曲の吹奏楽伴奏バージョンあり、ジャジーな曲あり、と曲の出典は様様ですが、一貫しているのは須川&山下&TOKWOのコンビでしかなしえない良質のエンターテーメント性です。

このアルバムの目玉である、委嘱初演作品ウズメの踊りは、しかしサクソフォンの楽器特性を熟知しているスウェルツらしい効果的かつ技術的に非常に高度なフレーズを駆使しており、ウィンド・オーケストラのパートを含めてけして安易に演奏できる作品。これをまったく破綻なく、余裕すら感じる演奏で聴かせるのはソロ・伴奏ともさすがとしか言いようがありません。ヴィードーフ(このCDではアメリカ読みでウィードフトと表記)の3曲中2曲は、シュラーによる「ヴィードーフに捧ぐ」と同一の編曲で、アメリカのヘグヴィクスピナッツォラらがヴィードーフ当時の演奏スタイルを多分に意識した演奏になっているのに対して、須川氏は一度音符をからだに取り込んだ上で須川氏なりの表現を盛り込んだ現代的な演奏を繰り広げています。中でもサクソフォビアの最後の仕掛けは大胆にして効果的。パントマイム青木健氏の録音もありますが、これも個性の方向の違いが演奏に顕れていて、聴き較べるとおもしろいところです。最後をアディオス・ノニーノで締めくくるところが、須川氏らしいですね。超絶技巧を平気な顔をして余裕で吹きこなす須川氏もすごいと思いますが、個人的にはこういう抒情的な曲を品位を落とすことなく自在に演奏してしまうところが須川氏の真骨頂なのではないかとあらためて思いました。東京佼成WOもいつもどおりアンサンブルはカッチリしていますが適度にリラックスしたサウンドでサポートしています。

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オススメ度:



「アリア」

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エイベックス・クラシックス AVCL-25192
2007/8 ミューザ川崎
  1. アヴェ・マリア (カッチーニ)
  2. あなたの声に心は開く〜歌劇「サムソンとデリラより」 (サン=サーンス)
  3. 清らかな女神〜歌劇「ノルマ」より (ベルリーニ)
  4. トスカの接吻 (伊藤康英)
  5. 私のお父さん〜歌劇「ジャンニ・スキッキ」より (プッチーニ)
  6. 誰も寝てはならぬ〜歌劇「トゥーランドット」より (プッチーニ)
  7. ガブリエルのオーボエ (モリコーネ)
  8. 小さなイエス〜レクイエムより (フォーレ)
  9. スロヴァキアン・ラプソディ (加藤昌則)
  10. セレナード (朝川朋之)

須川 展也 (saxophone)
金 聖響 指揮 東京交響楽団

よくコントロールされた美しい音色と、歌いこみながらも品を保つ(あるいは意図的に崩す)そのバランス感覚が須川氏の天才的な一面だと思うのですが、アリア=歌は須川さんの長所を十二分に発揮できるはず、という期待を裏切らない、すばらしいアルバムです。もちろん、よく聴いてみると技術的には相当難しいことをしているのですが、それを全く感じさせないというのも、須川氏ならでは。どこまでもポジティヴで、サービス精神にあふれた歌は、サクソフォンやクラシックという枠を超えて多くの聴き手が楽しむことができるでしょう。日本人による3曲の作品は、きわめてテクニカルに書かれたスロヴァキアン・ラプソディ、抒情的に徹したセレナード、その中間路線のトスカの接吻とそれぞれの作曲家のスタイルがよく出ています。そのカラーをすべてきっちり吹き分けているのが、また見事。。。

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オススメ度:



「Saxophone Concertos Nobuya Sugawa plays Honda, Yoshimatsu, Ibert, Larsson」

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Chandos CHAN 10466
2007/10/23-24 Studio 7, New Broadcasting House, Manchester
  1. ソプラノ・サクソフォン協奏曲「アルビレオ・モード」 (吉松隆)
  2. 風のコンチェルト (本多俊之)
  3. 室内小協奏曲 (イベール)
  4. サクソフォン協奏曲 (ラーション)

須川 展也 (saxophone)
佐渡 裕 指揮 BBCフィルハーモニック

シャンドス・レーベルからの2枚目のリリースは、佐渡裕指揮のBBCフィルハーモニックとの協奏曲集。解説は、緒方英子さん・吉松氏・本多氏の日本語の解説が英語他に訳されています(シャンドスのサイトから、ブックレットのpdfファイルがダウンロードできます!)。邦人の2作品は初録音で、アルビレオ・モードでの歌心が特に印象的です。イベールは原曲指定の11人の奏者との演奏で、早すぎずちょうど良いテンポの演奏から、カラフルなボールが坂道を転がっていくようなイベールの筆致が見事に紡ぎだされていて、圧巻です。高音の連続で難曲とされるラーションも、けして難しさを感じさせずむしろ控えめにおさえ、曲そのものの渋い色合いの魅力を描きだしていて、新鮮な印象を受けました。ほぼ同時期の発売となったアリアとある意味対照的ではありますが、どちらもクラシカル・サクソフォン奏者須川氏の卓越した実力を目のあたりにすることができる内容です。

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「Gregson Concertos」

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Chandos CHAN 10478
2007/9/11/12 Studio 7, New Broadcasting House, Manchester
  1. トランペット協奏曲 (グレグソン)
    Ole Edvard ANTONSEN (trumpet)
  2. ピアノ協奏曲 (グレグソン)
    Nelson GOERNER (piano)
  3. サクソフォン協奏曲 (グレグソン)
    須川 展也 (saxophone)

Clark RUNDELL 指揮 BBCフィルハーモニック

ロンドンを中心にアクティヴに活動している作曲家、エドワード・グレグソンの協奏曲集。なんせ、1曲目のトランペット協奏曲から好きな奏者であるオーレ・アントンセンがこれでもかと吹きまくってくれるので、嬉しくなってしまいます。しかし、いつ聴いてもパワフルで、元気がでるなぁ<アントンセン。。ピアノ協奏曲も多彩な表情を持つおもしろい曲でしたが、やはりサクソフォン協奏曲、、カッコイイ曲です。須川氏の、ニュートラルで機動的なサクソフォンが炸裂。効果的に使われているピアノやパーカッションも印象的でした。この曲のおもしろさは、須川氏以外で表現できるのか、、??

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「ヴィルトゥオーゾ・コンチェルト」

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エイヴェックス・クラシックス AVCL-25458
2009/1/28-29 キラリふじみ(埼玉県)
  1. ソプラノ・サクソフォンとウィンド・アンサンブルのための協奏曲 (マッキー)
  2. BIRDS〜アルト・サクソフォンと吹奏楽のための協奏曲 (真島俊夫)
  3. シナモン・コンチェルト〜アルト・サクソフォンと吹奏楽のための (エレビー)
  4. バラード (リード)

須川 展也 (saxophone)
山下 一史 指揮 東京佼成ウィンド・オーケストラ

サクソフォンと吹奏楽という編成では、2005年以来4年ぶりのアルバム。前のアルバムがやや規模の小さい曲が中心だったのに対して、今回は本格的な協奏曲3曲と実質的なアンコール1曲と、気合を感じる入った内容になっています。須川氏のソロにも佼成ウィンドにもその気合がみなぎっていて、曲の隅々まで張り巡らされた毛細血管にまで生命力が脈づいているのを感じます。吹奏楽とのバランスのよさが際立っているのがジョン・マッキーのアメリカ人作曲家らしい実にタフな協奏曲。ソロと他の管打楽器のフレーズの受け渡しやアクロバティックなフレーズの応酬、ゆっくりした部分でのバランスのよさに思わず息をのみます。BIRDSはいかにも真島氏らしい都会的で美しいメロディとモダンジャズを思わせる和音の流れが印象的。ライナーノーツで須川氏は「午後の寛ぎ」をイメージと書かれてますが、私はどちらかといえば仕事が終わって帰宅する通勤電車の中で聴きたいかな。マーティン・エレビーの協奏曲は、ブルージーなフレーズ満載の2楽章、ノリノリの3楽章といった曲調ですが、熱く歌いつつけして野暮や下品に聴こえないのは須川/山下/佼成のセンスなんでしょうね。よく聴くと正統的な様式で書かれている曲であることもわかってきます。でも、やはり一番心に染みたのは、美しい響きが淀みなく色を変えて流れ、まるで空を漂う雲をゆっくり眺めているような気持ちになるバラードでした。

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「サクソフォーン・アンサンブルI サクソフォーン八重奏 須川展也と若き名手たち」

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東芝EMI TOCF-6001
1998/7/14,15 岩井市民音楽ホール、茨城県
  1. 組曲「ホルベルアの時代から」 (グリーグ)
  2. 古典組曲 (矢代秋雄)
  3. 序奏とアレグロ (エルガー)
  4. ラ・ヴァルス (ラヴェル)

須川 展也、大城 正司、成田 徹、大貫 比佐志、大和田 雅洋、栄村 正吾、二宮 和弘、平野 公崇 (saxophone)

東芝EMIの 新・吹奏楽名曲コレクション アンサンブル・スタンダーズ シリーズの Vol.1 としてリリースされました。八重奏のアルバムというのも珍しいですが、せっかくこういう企画を出すなら、楽譜は入手できるようにしてほしい! 演奏内容そのものはやや練り込みが不足ぎみと感じましたが、さすが若き名手、高い水準です。しかし苦言を呈せば、選曲は大いに疑問。旋律そのものと、音のからみ合い妙味が魅力のホルベルク組曲は、サクソフォン・アンサンブルでも充分楽しめました(ラッシャーSQによる前例もあります)が、古典組曲のようなそれぞれ楽器特性を駆使した曲を、サクソフォンに置き換えてしまってはどーもピンときませんでした。ラ・ヴァルスは私の好きな曲なので期待していたのですが、原曲のもつ妙にフランス化されたウィンナ・ワルツのエレガントはどこへいってしまったの? ちょっと悲しかったです。ところで、このアルバムで一番不満なのは「須川展也と若き名手たち」という表現です。須川氏の知名度はいまさらですから、せっかくなら「名手たち」をもっとクローズアップしてほしかった、、 文句ばかり書いてしまいましたが、ソリスト級の方々による演奏のレベルはすばらしいです。ハイ。


「Japanese Band Repartrie Vol.1 深層の祭」

佼成 KOCD-2901
1990/7/16-7 浦安文化会館、千葉県
  1. 日本民謡組曲「わらべ唄」 (兼田敏)
  2. 吹奏楽のための「神話」 (大栗裕)
  3. アルトサクソフォンと吹奏楽のための協奏的幻想曲 (伊藤康英)
  4. 行進曲「普門バンドフェスティヴァル1987」 (青島広志)
  5. 嵌め込み故郷 (阿部亮太郎)
  6. 吹奏楽のための「木挽歌」 (小山清茂)
  7. 吹奏楽のための「深層の祭」 (三善晃)
  8. メトセラII 打楽器群と吹奏楽のために (田中賢)

小田野 宏之 指揮 東京佼成ウィンド・オーケストラ
須川 展也 (saxophone) [c]

須川氏がコンサートマスタを担当してる東京佼成ウィンド・オーケストラの邦人作品集から。協奏的幻想曲はブックレットにも書いてありますが、伊藤康英氏・須川氏の母校、静岡県立浜松北高校の委嘱で書かれた作品で、伊藤氏の指揮・須川氏のソロで初演されました。実は知人から初演のテープを聴かせてもらったのですが、演奏者が若いせいか?パワフルでいいですねー。最後の大見得のところなんか、パーカッションがすごくて、(何がすごいかは、ここでは言えませんー。)須川氏の気合も入りまくり。その印象が強かったので、このCDの演奏は残念ながら生ぬるいです(笑)いや、それは比較の問題で、この演奏も充分テンションの高い世界が繰り広げられています。 他の収録曲も隠れた名曲揃いで、吹奏楽ファンは必携のアルバムといってよいでしょう。

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「Live in Switzerland」

Obrasso CD 847
1993/9/6 Bern, Casino [Live Recording]
  1. トッカータとフーガ ニ短調 (バッハ)
  2. 吹奏楽のための「太神楽」 (小山清茂)
  3. ポラッツィの主題による変奏曲 (リード)
  4. 展覧会の絵 (ムソルグスキー)
  5. 行進曲「美中の美」 (スーザ)
  6. エア・ノスタルジク (ヒューヘンス)
  7. 行進曲「国民の象徴」 (バグレー)

Ernst OBRECHT 指揮 東京佼成ウィンド・オーケストラ
須川 展也 (saxophone) [f]

東京佼成ウィンド・オーケストラの初欧州ツアーのライヴ録音で、スイスのレーベルからリリースされていますが、ブレーン(株)扱いで入手できます(ちなみにカタログNo.BOCD-7303「展覧会の絵」)。展覧会の絵の 古城 はソリストがクレジットされてませんが、須川氏の音ですね。エア・ノスタルジクはマイクのせいか、ソロの音量がちょっと小さめですが、実演ではピアニシモの綺麗な音色が響いただろうと想像できます。他の収録曲では太神楽の軽妙さが印象的でした。行進曲は典型的フェネル節で、ちょっとズッコけそうなところもありましたが、まあ御愛敬。

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「コンテンポラリー選集<3> レインボー&コンチェルト」

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佼成 KOCD-3572
1994/4/28
  1. 波涛にかかる虹 (ベッドフォード)
  2. サクソフォン協奏曲 (ダール)
  3. 吹奏楽のための協奏曲 (ゴドコフスキー)

須川 展也 (saxophone) [a]
Frederick FENNELL 指揮 東京佼成ウィンド・オーケストラ

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「シカゴ・ライヴ」

佼成 KOCD-8010
2002/12/18 International Ball Room, Chicago Hilton & Towers [Live]
  1. マスク (ヘスケス)
  2. 幻想的変奏曲〜ユーフォニアムと吹奏楽のための (伊東康英)
    Brian L.BOWMAN (euphonium)
  3. ガイアの響き (オグレン)
    Ray CRAMER (指揮)
  4. サクソフォン協奏曲 (トマジ)
    須川展也 (saxophone)
  5. 嬉遊曲 (パーシケッティ)
  6. ハリソンの夢 (グレーアム)
    Donald HUNSBERGER (指揮)
  7. イェ・バンクスとボニー・ドゥーンの川のほとり (グレンジャー)
  8. ヒズ・オーナー (フィルモア)

Douglas BOSTOCK [a,b,d], Frederick FENNELL [e,g,h] 指揮 東京佼成ウィンド・オーケストラ

東京佼成WOが、アメリカの教育音楽界の最大のイベント、毎年シカゴで行なわれるミッドウェスト・バンド・クリニックに参加した記念すべきイベントの実況録音盤です。ある意味、アメリカの吹奏楽の粋が集うこの場所で演奏することはステータスであり、紆余曲折の後、2002年の冬にようやく実現しました。演奏場所はボールルーム(舞踏会場)であり、けして音響は良くない会場なのですが、熱気と集中力はこのCDからも充分伝わってきます。須川氏にとってトマジの協奏曲は、既に何度も演奏しているレパートリで、ここでも余裕を感じさせつつも内面からの高揚感に溢れる佳演。とはいえ、やはりこの音響では生の感興を充分に伝えていない気が、、ないものねだりでしょう。また、ユーフォニウムの名手ボウマンの演奏する幻想的変奏曲も、まったく隙のない完成度の高い演奏であり、聴きものです。

はからずも、これがフェネル氏が東京佼成WOのタクトをとった最後の録音となってしまいましたが、そのフェネル氏が指揮したのがパーシケッティ、グレンジャー、フィルモアであったことは意味深いことですね。

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「YOSHIMATSU: SAXOPHONE CONCERTO ETC.」

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Chandos CHAN-9737
1998/12/16-17 New Broadcasting House, Manchester
  1. サイバーバード協奏曲 (吉松 隆)
  2. 交響曲第3番 (吉松 隆) World Premier Recording

須川 展也 (saxophone) [a]
藤岡 幸夫 指揮 BBCフィルハーモニー

イギリスのChandosレーベルからリリースされた、若手の日本人指揮者藤岡幸夫による吉松隆作品集の第3弾。須川氏はもちろん、指揮者・オケもかなりの気合いの入れようで、サイバーバードEMIのアルバムよりもこちらの演奏の方がお気に入り。EMI盤では、オケと須川氏の体温の違いが少々気になりましたが、この演奏は適度に抑制された部分と熱くなる部分がソロ・伴奏でうまく同期がとれていて、一つの大きな音楽を創り上げるのに成功しています。交響曲第3番は4楽章形式の古典的な構成の形をとった交響曲ですが、どうも私は吉松氏独特の節まわしが生理的にダメらしくて、途中から飽きてきました。ごめんなさい。2番はかなり好きなのですが。しかし藤岡氏の演奏解釈は明晰でスバラシイ! 作品を好意的に解釈していて思わず納得させられます。 これからもますます優れた録音を創り上げてほしいものです。

なおChandos社のオンラインカタログでサンプル音源をチェックすることができます。(英語)

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「パナシェ」

コジマ録音 ALCD-3035
1993/11/4-6 秩父ミューズパーク音楽ホール
  1. クープランの墓 (ラヴェル)
  2. 五声部の交換 (シェイベル)
  3. 木管5重奏曲第2番 (フランセ)
  4. 木管五重奏曲 (カーター)
  5. (トマジ)#

ルヴァンベール木管五重奏団
須川 展也 (saxophone) [e]

木五の世界は詳しくないのですが、ルヴァンヴェール木管五重奏団は国内の木五の団体としてはかなり頑張ってる方ではないのでしょうか。1982年に結成、途中メンバの交代はあるもののコンスタントにリサイタルを行なっています。このアルバムのに、須川氏が参加していますが、下手をすると浮いてしまうサクソフォンの音色が他の楽器の音色とよいバランスに入っていて、感心しました。これは、ルヴァンヴェールと須川氏の両方の腕によるものと思います。この曲は、音楽、というより四方八方から鳥のさえずりを感じるような錯覚に陥るようで、ヒーリング・ミュージックといってもいいでしょう。他の曲も木五という編成のハンディを感じさせない、それでいて無理なく押しつけがましくない演奏で好感を持ちました。

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「人生は輪舞(ロンド)〜湯山昭作曲活動50周年ガラ・コンサート」

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King KICC-455〜6 [2枚組]
2003/9/21 紀尾井ホール [Live]
  1. いいことがありそう!〜ピアノ曲集「こどもの国」より (湯山昭)
    上田 晴子 (piano)
  2. ピアノ連弾のための組曲「妖精の森」より (湯山昭)
    デュエットゥ (piano)
  3. ピアノ曲集「日曜日のソナチネ」より (湯山昭)
    上田 晴子 (piano)
  4. ナイチンゲールの夜想曲 (湯山昭)
    デュエットゥ (piano)
  5. 童謡[4曲] (湯山昭)
    池田 直樹 (Br/B)
  6. 歌曲[4曲] (湯山昭)
  7. マリンバとアルト・サクソフォンのためのディヴェルティメント (湯山昭)
    須川 展也 (saxophone)山口 多嘉子 (marimba)
  8. ヴァイオリンとピアノのための小鳴奏曲 (湯山昭)
    気賀 栄 (violin) / 上田 晴子 (piano)
  9. 金子みすゞの詩による女声合唱のためのエッセイ「向日葵の歌」より (湯山昭)
    前田 二生 指揮 東京レディース・シンガーズ / 東 由輝子 (piano)
  10. 武鹿悦子の詩による女声合唱とピアノのためのエッセイ「愛すること」より (湯山昭)
  11. 花のいろ (湯山昭)
  12. うたのわ (湯山昭)

湯山氏の作曲活動50周年を記念したアルバムはこちらでも紹介しましたが、このアルバムはタイトルどおりガラ・コンサートのライヴ録音。尖がったゲンダイオンガクサッキョクカではなく、サトウハチロー、中田喜直の各氏に続いて日本童謡協会の会長である湯山氏の創り出す音楽は、人間に向けられた暖かい眼差しを常に感じます。「作曲という仕事は、作曲家が曲を書いただけでは終了いたしません。その曲を理解する優れた演奏家の協力と、その演奏を通して作曲家の心情を理解する暖かい聴衆の皆様がいらして、初めて作曲という営みが完成すると私は思っています」という作曲家自身の言葉が、氏の音楽のすべてを物語っています。

2枚組のうちかなりの部分が声楽曲で占められているのは、湯山氏ゆえのことですが、しかしディヴェルティメントを須川&山口という、おそらく日本でこの曲を演奏されたら最強であろうというコンビを起用した企画に拍手! 予想にたがわず、オリジナリティを感じさせつつも全体の調和や丁丁発止といったこの曲の醍醐味も感じさせるすばらしい演奏を繰り広げています。しいて気になったのは、マリンバの音量がちょっと大きいかな、という点。これは録音のせいでしょうね。まあ、結果として須川氏と山口氏の一騎打ち!ともいえるような迫真の演奏が、いっそう生々しく聴こえました。

もちろん、他の演奏も、曲に対する温度差は若干感たものの、湯山氏の世界を愉しむに十分な水準の演奏(まさに理解を得た優れた演奏家たち! あとは聴き手に委ねられてますネ)、中でも女性合唱曲の定番「愛すること」の透明感を失わない豊かな色のパレットが印象的でした。

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「魂の内なる存在…西村朗協奏曲集(西村朗作品集7)

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Camerata CMCD-28058
2002/4/6[a] 11/16[b] 2004/2/28[c] Reutlingen, Germany
  1. サクソフォン協奏曲「魂の内なる存在」 (西村 朗)
    須川 展也 (saxophone)
  2. 樹海〜20絃箏とオーケストラのための協奏曲 (西村 朗)
    吉村 七重 (20絃箏)
  3. ピアノ協奏曲「シャーマン」 (西村 朗)
    小菅 優 (piano)

飯森 範親 指揮 ヴュルテンブルグ・フィルハーモニー管弦楽団

西村朗氏の作品集の中に、須川氏がソリストとしてクレジットされている、サクソフォン協奏曲魂の内なる存在があったので購入しました。西村氏の音楽にはいろいろな音楽が取り入れられており、それが高い次元で消化され音楽として組み立てられているのですが、残念ながら私自身はその音楽の魅力を十分に理解できていないのが現状です。しかし、ここでの須川氏のソロは、超絶技巧がこれでもかと続く楽譜を、あまりにすらすらとこなしてしまい、微塵の困難さも感じさせない、ある意味で超越してしまっている演奏、と言うことができるでしょう。他の2曲でも、ソリストの毅然たる演奏姿勢が目に浮かぶようでした。


「グノー、ブトリー、グルダ」

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Warner WPCS-12385 2009/9・2010/3
石川県立音楽堂コンサートホール[Live]
  1. 小交響曲 (グノー)
  2. 協奏曲〜アルト&ソプラノ・サクソフォンと管弦楽のための (ブトゥリー)
    須川 展也 (sax)
  3. 協奏曲〜チェロと管楽器のための (グルダ)
    Ludovit KANTA (cello)

井上 道義 指揮 オーケストラ・アンサンブル金沢

オーケストラのアルバムではあるものの、実質的に管楽器が主役の曲ばかり。もちろん、チェロの協奏曲はメインは弦だけどバックがブラオケ。グノーは9本の管楽器のための曲。

小交響曲、これまでにも何度か聴いたことがあります。しかしこういう演奏で聴くと、フレーズの取り方や楽器の重ね方など、やっぱりグノーっぽいチャーミングで端正な曲だな、と思いつつ、どことなくアグレッシブに聞こえるのはグノーにイギリスのテイストが混じっているから、井上氏のバトンゆえか。

サクソフォン協奏曲は、コンポーザ・イン・レジデンスだったロジェ・ブトゥリー氏の委嘱初演作品。フレーズがあまりメロディらしくないことを除けば、曲の構成、和音など、これはまっとうなクラシックの作曲技法を用いた作品。弦楽器が激しく刻む上を木管楽器が動きまわるようなオーケストレーションは、どことなく吹奏楽曲を思い浮かべておもわずニヤリとしてしまいます。須川氏のソロはライヴということもありもちろん大熱演。後半、やや技術的に苦しくなるところもありますが、それは須川氏のせいというよりは「そんなにソリストをいじめないでよ!」と作曲者に言いたくなるような (^^;

しかし、グルダの協奏曲の演奏にはぶっとびました。1楽章最初からドラムセット、エレキベースなどがビートを刻み、弦楽器はおらず(正確にはコントラバス1名)基本的にオーケストラの2管編成(フルートとバスーンは1本、当然サクソフォンはいない)。こんな妙な編成でロックやジャズがビッグバンドばりに赤面なく演奏され、かと思うと室内楽的な響きになったり、民謡やバッハをパロってみたりとハチャメチャな怪作。この曲、他にも何枚かCDを持ってるのですが、これまでは単に変な曲としか理解できていませんでした。が、今回のこの演奏は、それぞれの音楽的特性を徹底的に表に出しながら、場面転換がみごと。聞いていてなるほど、と目からウロコな演奏でした。チェロのソロにはまるでエレキギターの速弾きのようなフレーズが求められたり、超高音の高速フレーズが多用されたり、これまたソリスト泣かせ。最後の楽章は、村の楽隊の行進曲! もう、あまりに想像通りの行進曲、ピッコロのトリル、エンディングは、じゃ><<<<<ん|じゃん!とお決まりのパターン。。さすがグルダ、クラシックを壊してくれます。なんでも演奏会では、ソロのルドヴィートさん、ジーンズで登場して演奏したとか(ミラーボールがまわったとかまわらないとか)。演奏後のオベーションもすごい(録音されてます)。すみません、この強烈な演奏を聴いてしまうと、その前のサクソフォン協奏曲の印象なんか完全に吹っ飛んじゃいます。。グルダさん、きっと天国でほくそ笑んでるんだろうなぁ、それとも苦笑いかな。。

オススメ度:



以下は、ここまででご紹介していない、須川氏のアルバムです。(ジャケット紹介が可能なもののみです。)

「モリコーネ」 「バラード・コレクション」 「シンシアリー・フォー・ユー」
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「ニュー・サウンズ・イン・ブラス フィーチャリング須川展也」 「夢- 須川展也 クラシカル・ベスト」
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