1989年、ザグレブ音楽院の Josip NOCHTA のクラスを卒業したメンバで結成された団体。以下のパーソネルのとおり、メンバの多くはフランスで学んでおり、今世紀のフランスのオリジナル作品、クロアチア・スロヴェニアのオリジナル作品、バロックから現代に至るまでの編曲作品を積極的にレパートリに取り入れています。また、ジャズにも積極的に取り組んでいて、以下でご紹介したアルバム以外にもジャズ主体のCDをリリースしているようです。
ソプラノのスレメクは1958年ザグレブの生まれで、フランスでダニエル・デファイエに、アメリカでユージン・ルソーに師事しました。現在はザグレブ音楽院の教授です。
アルトのメルセプは1959年イスマリアの生まれで、フランスでクロード・ドゥラングルに師事しました。現在はサモボールのリヴァディク音楽院のマネージャ兼サクソフォンの教授です。
テナーのネストロヴィクは1964年ザグレブの生まれで、クロアチアやドイツでジャズ奏者として活躍しています。また、ザグレブのマルコヴァク音楽学校とリュブヤナ音楽高校でジャズを教えています。
バリトンのドレヴェンシェクは1965年マリボルの生まれで、フランスでセルジュ・ビションに師事しました。現在はリュブヤナ音楽大学・音楽院の教授です。
ジャケットは4人の奏者がそれぞれ片足上げたり楽器を持ち上げてみたりおチャラけたポーズ(失礼)をとっていて微笑ましいのですが、内容はかなりしっかりしていて、特にバッハの端正な演奏には感心しました。どの曲も誠実に演奏に取り組んでいて、編曲も含めてやや安全運転にすぎるキライもありますが、無理のない範囲で自己表現も入っていて好感を持ちます。言い方を変えればさらに積極的な音楽造りも期待したいところですが、それは今後のお楽しみ、というところでしょうか。ドビュッシーは破綻なく綺麗にまとまっているかと思うと、タンゴの歴史の2楽章の解釈にはちょっとびっくり! 聴きどころも十分です。なお、アナログ録音です。
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ゲストにユージン・ルソー氏を迎え、ソロ+4重奏という曲を3曲と、4重奏で2曲を収録したアルバム。ソロ+4重奏のうちのつながり(原題 "Tsunagari")は1988年に日本で行なわれたサクソフォン・コングレスで初演されたもの、他2曲はジャズの要素が色濃い曲。いずれもルソー氏の演奏がザグレブSQの演奏を圧倒しまくっているというわけではないのですが、結局耳に残るのはルソー氏の節回し。う〜む、ルソー氏、さすが、というのが否めない印象です。その一つの理由に、前作同様かなり安全運転試行の演奏である点があげられるでしょう。この傾向は後半の3つのインプロヴィゼーションでも顕著。ザグレブSQの演奏の印象が際立ったのはデル=ボルゴの作品。正面きっての取り組みに、素直に圧倒されました。
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