1955年、キューバ生まれのサクソフォン奏者。1965年よりホセ・マリア音楽院で学び、1970年よりハヴァナの国立芸術大学でカルロス・アヴェロフに師事します。1979年には渡仏し、翌年ダニエル・デファイエに師事、1982年にプルミエ・プリを獲りました。現在はチリに拠点をおいて活動しており、ソロ活動のほかに4重奏団や、パーカッションとのデュオを結成しています。またラテンアメリカにおけるクラシカル・サクソフォン奏者のパイオニアとして、1982年にキューバ芸術協会?に、1993年にチリ大学に、1999年にはチリ・カソリック大学に、それぞれサクソフォンの教育機関を設けています(以上、スペイン語からの翻訳、かなりあやしい、、)
おそらくソロ第1作となるこのアルバムは、フランスでの研鑚の成果を意識したと思われるプログラム。やや朴訥ながら、定番のプロヴァンスの風景やスカラムーシュ、ファンタジアは正当派で完成度が高い内容です。プロヴァンスの風景では、第4曲をかなりゆっくり歌いこみ、第5曲を息つくまもなく駆け抜けていますが、ほか2曲は微妙に生ぬるい雰囲気が漂い、そういえばスカラムーシュやファンタジアは南米出自の曲だったっけ、、とあらためて感じました。とはいえ、このアルバムの聴きものは南米の作曲家の2つの作品でしょう。特に作曲者自身のピアノとの共演による主題、変奏曲とフーガでは、音の端々にまで意志を感じる演奏から、真摯な気持と情熱を感じ取ることができます。
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こちらも定番の小品を集めたアルバム。驚くほど骨太の音楽作りは、洗練とは少々かけ離れてはいますが、録音当時の若いヴィジャフレラ氏の意気旺盛な様子が感じ取れます。スタンダードな曲が並んだ前作よりも、こちらのほうが奔放に吹いているように思います。ホラ・スタカートや熊蜂の飛行も直球勝負で豪快ですが、レクオーナのカラフルな曲をみごとにドライブした演奏が一番印象に残りました。
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チリの作曲家によるサクソフォン・ソロやピアノとのデュオ、4重奏曲などを集めたアルバム。様式は多様ですが、ほとんどはビジャフレラへ献呈された曲で、演奏もそれに応えるような高いテンションで展開されています。同時代の作曲家たちへのシンパシーはもちろんですが、あくまで孤高に突っ走るのではなく、常に聴き手へ語りかけるような演奏に感心します。アヴァンギャルドな曲もありますが、聴いていてあまり窮屈さを感じないのは、ビジャフレラの演奏によるところが大きいようです。
日系?パーカッション奏者ロドリーゴ・金森との共演アルバム。どの曲も現代的な響きはしますが、そこはサクソフォンとパーカッションの組み合わせの妙、呼吸とリズムが立体的な音楽を組み立て上げます。言葉で説明するより体が反応する音楽といえばいいでしょうか。中でも、オリオンと4人の騎士や3つの断章などは、キャッチーとでもいいたいほど躍動感があふれていて、楽しめました。
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チリの作曲家、オレゴ=サラスがサクソフォンのために書いた室内楽作品を集めたアルバム。一部既出の音源と重複しますが、演奏はとにかく真面目。テンポの遅い部分は伸びのあるしなやかな音色が広がり、テンポの速い部分もしっかり地に足のついた、変幻自在な演奏。その背景には敬愛の念がたっぷり込められているといってよいでしょう。主にチリ芸術大学?のメンバと思われるほかの奏者たちとの音楽的なやり取りも密度が高く、擬似古典的なオレゴ=サラスの世界を見事に描き出しています。
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