ギリシャはクレタ島生まれのサクソフォン奏者。アテネ音楽院を卒業し、フランスでジャン=マリ・ロンデックスに師事しました。これまでにロンドン・フィル、ベルリン・フィル、サンクト・ペテルスブルグ管弦楽団やモスクワ放送交響楽団・アテネ国立管弦楽団をはじめ国内外のオーケストラとの共演し、クセナキス(Dmaathen のサクソフォンヴァージョンを献呈されています)、ドゥミトリスクを始め、多くのギリシャの作曲家の作品を積極的に演奏しています。またケルケゾス・サクソフォン4重奏団の結成メンバでもあります。一方、アテネ大学院で教鞭を執るほか、モスクワやサンクト・ペテルスブルグ、ボストン、プリンストン大学などでマスタークラスを開きました。
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ナクソス・レーベルからリリースされたサクソフォンと管弦楽のための作品集。同じくナクソスからリリースされているラハバリのアルバムと4つも曲が重複しているのは、ナクソスのポリシーに反するような気がしますが、こんなところでケルケゾスの名前を見るとは思ってもいませんでした(もともとケルケゾスの名前は最後にご紹介しているミゥロツィコスの作品集で知った)ので、まずは素直に喜ぶべきでしょう。で、クレジットをよく見ると、プロデューサがカラメッシーニとなっており、古典的な作品の中に1曲だけ収められている新曲ディオニソスの歌の作曲者(女性)の縁者と思われ、納得。演奏ですが、オケはさすがフィルハーモニア管、うまいです。が、一発録りなのでしょうか、たとえばスカラムーシュの3楽章でのスネアなど、ちょっとずっこけた箇所もありました。ケルケゾスのサクソフォンは、随所に"歌"を感じさせる演奏ですが、気合いが入りすぎているのか、音の処理やキレが少々気になります。中でもスカラムーシュやイベールなどで軽妙さを感じたかった、、、下のアルバムではすばらしい実力をうかがえるだけに、今後さらに完成度の高い演奏を期待したいところです。
なおラプソディは original version と記されており、通常より(この曲の場合何をもって通常とするか難しいところですが、、)2小節長くなっています(と解説にあります)。
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バラードと題された3曲を中心に組まれたプログラム。ケルケゾスの華やかな音色に、オケも呼応するように派手めに響きます。タンゴ組曲はケルケゾスの手による編曲で、フーガとミステリオソ、忘却、アディオス・ノニーノなどが含まれいます。いずれも明るく派手なピースとして演奏されています。小さなチャルダッシュは作曲者の兄弟による管弦楽伴奏版で、これも派手め。全体にもう少し落ち着いた、細かい仕上げにこだわった演奏を聞きたかったです。なんといっても、"バラード"が中心なのですから。。
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ナクソスからの3作目は、母国ギリシャの作曲家による作品を集めたアルバム(一部編曲作品を含む)。心なしか、ケルケゾスの演奏ものびのびしているようです。どの曲も現代風の和音こそ響いていますが、実験的な要素は少なく、民族的な節回しや旋法を随所に感じるオリジナリティに富んでいます。パステル画というよりは原色を豊かに使った油絵といった印象。ケルケゾスのサクソフォンの音色は、師匠デファイエやロンデックスの響きを髣髴とさせる甘い響きで、これらの作品に華を添えています。もう少し高音に安定感があると、より音楽の輝かしさが増すと思うのですが。。ジョコンダの微笑みは、映画音楽のような甘美なメロディを、サクソフォンやマンドリン(!)が奏でる、情熱でロマンティックな曲。アルバム全体のアンコールのような位置付けになっています。
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ギリシャの重鎮作曲家、コンスタンティニディスの交響曲に、サクソフォン協奏曲3曲をカップリングしたアルバム。ちょっと現代っぽい響きがないわけではありませんが、メロディもハーモニー明確で、ロマン派的な香りのする曲調はゲンダイオンガク嫌いの人でも比較的聴き易いのではないでしょうか。交響曲曲第6番の2楽章(星の歌〜地球 というサブタイトルがついてます)など、映画音楽でも聴いているような雰囲気。ケルケゾスは3つの協奏曲でソロを担当しており、ケルケゾスに献呈された協奏曲第3番(そういえばサクソフォンの協奏曲を3曲も書いた作曲家って他にいましたっけ?)をはじめ、どの曲も情熱的で歌心にあふれた演奏を繰り広げています。が、変拍子の扱いや、高音の安定など、もう少し整った演奏だとさらに曲の印象が良くなったのでは、と感じました。オケももうすこし底力を発揮してほしかったです。。
存命するギリシャの作曲家、ミクロツィコスの作品集。1993年から95年までギリシャ文化省副大臣(!)をつとめたこともあるという異色の作曲家です。その経歴のせいか?作品はけして難解ではなく、拍子も調性もしっかりしていて、時折聞こえる不協和音も耳障りにはなりません。
ソプラノ・サクソフォンを編成に加えたサックス、弦、愛と夢は、甘いタイトルから予想されるとおり全編優しい響きにあふれています。息の長いフレーズが続きますが、ケルケゾスの程良くヴィヴラートの利いた官能的なサクソフォンの音色が曲の彩りを添えています。
ソプラノを独唱としたあとの2曲は、いくらか現代的な響きがしますが、ワルナは歌詞がフランス語、非業の死はギリシャ語(ブックレットにギリシャ語で歌詞が書かれています)による歌詞のせいかやはり柔らかな印象が残りました。