テックス・サックスの名前のとおり、テキサス大学オースティン校でハーヴェイ・ピテルの下で学んだ学生によって結成されました。ソプラノからバスまで10名のサクソフォン奏者で構成されています。指揮者はピテルと、ダラス・ウィンド・シンフォニーの指揮者でもあるジェフリー・ジェンキンが担当しています。アメリカとメキシコの混合文化テックス・メックスをもじったのでしょう。バス奏者のユクモト氏という日系の名前が気になったのですが、ハワイ大学の出身ということです。
テキサス州の形を示すオブジェクトに、そびえるサボテン。これだけで充分ベタなジャケなのに、「TEX SAX」のSの文字が、サックスになっている。ああ、なんというジャケ。ジャケからはわかりませんが、指揮はジェンキン氏ということで、ちょっと期待しましたが、全体に音程がやや甘く、音が濁りぎみなのが気になります。これを聴くと、ミ・ベモルSEなどがいかに技術的にうまいかがよくわかります。特に展覧会の絵では、明らかなミス(譜面のミス?)が多く、頸をかしげるような音が頻繁に出てきて、鑑賞どころではありませんでした。この編曲は、市販されているウィリアム・シュミットのものなので、興味ある方は挑戦してみてはいかがでしょう?(ムズカシイデスヨ!)
1943年生まれのハーヴェイ・ピテルはこのCDのリリースされた2007年現在既に63歳、一部の曲のソロと指揮を担当するほかは、アルバムタイトルになっている Next Generation に活動を引き継いでいるようです。しかし、この選曲はなかなか意欲的。一部、??と思うような不思議な音程(テナー?)などもありますが、意欲的にレパートリーを開拓し、新たなラージ・サクソフォン・アンサンブルの可能性を試そうとする姿勢を感じます。トゥーランドットはともかく、サムソンとデリラをこの編成で演奏するとは、、
テックス・サックスの演奏を聴くと、いつも考えてしまうのが、サクソフォンのラージ・アンサンブルの魅力っていったいなんだろうか、ということです。演奏者の満足は置いておくとして、高音から低音まで均一な音色で統一されているという点は欠かせないと思うのです(この点ミ・ベモルは驚異的なアンサンブルだと思います)。テックス・サックスの演奏は、特に高音域での音色のバラつきが目立ってしまい、私としてはどうもあまりなじめないのです。。