1980年にアンドレ・ブーンがギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団の首席サクソフォン奏者に就き、それまでギャルド・レピュブリケーヌ・サクソフォン4重奏団として活動してきた団体が名前を変えて5重奏として活動を始めました。以来、クラシックはもとより、オリジナルやジャズにも力を入れて演奏活動を行なっていますが、5重奏のレパートリが少ないことから、積極的にオリジナル曲の委嘱を行なっています。現在も奏者全員がパリ国立音楽院サクソフォン科の首席卒業生であり、またギャルド・レピュブリケーヌ・オーケストラのメンバでもあります。ご紹介したアルバム以外にもう1枚録音を行なっているようです。
クラシックの名曲を集めたアルバムですが、期待して買ったわりには今ひとつです。音楽が前に進んでいかないんですね。アーティキュレーションもかなりいいかげんだし。ただ、最後のアレマンデがバリトンのドソロなのはちょっとびっくりしました。ところで、クラシック曲の中に、なんでブトゥリーの曲が混じってるの? ちなみにこのCD、1988年の録音ですがアナログ録音で、ジャケットと中身を見る限りレーベル名がはっきりわかりません。
クラシックといっても5重奏作品ばかりで、どの曲もこの団体のために書かれたものです。音楽が音楽として流れていて、上のアルバムに比べて、断然 "聴ける" アルバムになってます。どの曲も現代的な響きやジャズの要素が混じってますが、それが不思議と無理な響きになってなくて、ああ、サクソフォン5重奏のためのの作品なんだな、と納得させられます。中でも、炎と煙はおもしろく聴けました。なお、一部の曲でブーンの代わりに、やはりギャルドの団員のJ.P.バラグリオリが参加しています。
オススメ度:
作曲家で、フランスの誇る吹奏楽団であるギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団(実は吹奏楽団だけでなく、管弦楽団もあるのですが)の指揮者でもあったロジェ・ブトゥリーの退任記念?CD。私はブトゥリーが大キライ。ギャルドを無個性でやる気のないサウンドにした罪は重いし、大作曲家の曲の間に自作曲を紛れ込ませるやり方はえげつない。さらに、このアルバムではラプソディ・イン・ブルーでソロまでとってしまった(あまり感心した出来ではない)。しかし、サクソフォンのための曲もずいぶん書いてるので、あまり文句は言えないのよね(作品は好きじゃないけど)。というわけで、ディヴェルティメントはアルト・サクソフォンと弦楽器のための曲。ソロのポルトはギャルドの団員であり、パリS5のアルト奏者です。インプロヴィゼーションはパリS5による演奏ですが、技術的には快適な演奏。でも今一つ音楽に暖かさがないのは、曲のせいかな、と邪推してみたりして。
こちらも前記と同様、ブートゥリ指揮による吹奏楽の名曲にブートゥリ自身の曲がカップリングされたもの。ヒンデミットやシェーンベルグの演奏は確かに巧いものの、緊張感の希薄さなどウィンドアンサンブル的な妙味という点では他の名演と比べるべくもありません。自作曲のほうが演奏自体はおもしろいものの、曲そのものの魅力という点ではやはり比べるべくもなく、、、パリ・サクソフォン5重奏団も、本来ならもっとキレのある演奏を期待したのですが。