中村氏はアルモSQのリーダとしても有名ですが、ソロ活動も積極的に行なっています。1983年東京芸術大学を卒業、富岡和男・大室勇一の各氏に師事。現在は東京コンセルヴァトワール尚美の講師をつとめています。また、さまざまなコンテストの審査員もよく担当されており、私事ですが私の参加した団体も吹奏楽コンクールやアンサンブルコンテストで中村氏の厳しくも的確な講評を拝見し、敬服したものです。
アマゾンでこのCDをチェック! |
SQの演奏が3曲、ピアノ独奏が1曲収録されています。1998年はガーシュウィン生誕100年で、さまざまなトリビュート・アルバムが出ました。このアルバムでは主に歌曲を中心に選曲されていて、中村氏の歌心がストレートに感じられます。もっとも、ずっと聴いていると独特の「中村ワールド」が鼻についてきて、ちょっと耳についてきましたが。個人的には、もう少し脱力した鼻歌まじりのガーシュウィンを聴きたかったです。
オススメ度:
アマゾンでこのCDをチェック! |
ソロアルバム2作目は、音楽が喚起する様々な感情をテーマに小品が集められています。キーワードは「記憶」「喜び」「望郷」「苦悩」「愛」で、プロローグとしてディエス・イレーが置かれてる、というコンセプトが明確なアルバムです。また、曲によって伴奏をピアノと弦楽4重奏で変化を持たせた編曲もユニークです。
このアルバムでも、楽器に充分息を吹き込んでよく歌う"中村節"は健在ですが、前作ほどそれが鼻につかず、いい意味でムード・ミュージック的で聴きやすいです。ジーン・ハーローの墓碑が作曲当初のサクソフォン+ヴァイオリン+ピアノの編成で録音されているのも一聴で、フルートとはまた違った繊細さを感じることができました。ベダールのファンタジーは冒頭の軽快さと昼間部の抒情的な部分の対比がみごと。カサドやドナウディの作品は、"中村節"から氏の曲に対する愛情が感じられました。
オススメ度: