Filip DAVIDSE


1977年生まれのサクソフォン奏者。フリー・ユニバーシティ・オブ・アムステルダムでアムステルダム音楽院で高エネルギー物理学を学びながら、アムステルダム音楽院でヘンク・ファン・トゥウィラールトに師事しました。ピアニストの田村なおみとデュオ・オーパス35を、また yangqin(?)奏者の Kim Ho Ip とのデュオ活動を行なう他、ジャズ、室内楽など多彩な活動を展開しています。

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主なアルバム


「The Soviet Saxophone」

(private?) Opsu3501
  1. バラード Op.35 (ドミトリ・スミルノフ)
  2. 12のメランコリックなワルツ op.436 (ドミトリ・スミルノフ)
  3. ミニアチュア・パルティータ (フラディスラフ・ショット)
  4. スケルツォ (フラディスラフ・ショット)
  5. ア・ラ・ヴァルス (ファラディ・カラエフ)
  6. ソナタ第2番 op.94 (プロコフィエフ)
  7. モノローグとオスティナート (ニコライ・コルンドルフ)

Filip DAVIDSE (saxophone)/ 田村 なおみ (piano)

タイトルどおりソヴィエトで作曲された作品を集めたアルバム。スミルノフの12のメランコリックなワルツが唯一の例外で、これは2004年作曲され、opus35によって初演されています。そもそもopus35のデュオ名は、スミルノフのもう一つのサクソフォンのための作品バラード op.35に因んだもの。もともとバラードは当時ソヴィエトの名サクソフォン奏者、レフ・ミハイロフの委嘱で書かれたものですが、ソヴィエトでは長年サクソフォンはジャズや大衆音楽のための楽器として取り扱われており、クラシックの楽器としての位置づけは微妙なものでした。その中でも、ここに納められたような作品が残されていて、オランダで活動する彼らは、コンサートでも積極的にこれらの曲を取り上げているようです。プロコフィエフのソナタ第2番 op.94は、亡命からソヴィエトに戻って以後に書かれた作品。フルートのために書かれたものの、演奏機会が少なく、ヴァイオリンソナタに改作される運命をたどっていますが、まさかサクソフォンで演奏されるようになるとは、プロコフィエフも驚いてるのではないでしょうか。いかにもプロコフィエフらしい飄々としたメロディが印象的です。

どの曲も当時のソヴィエト作曲家らしい新古典的な曲想ですが、心なしかサクソフォンの楽器用法にあまり慣れていないような印象も受けた曲もありました。しかし、演奏はそのようなやや無理な用法も感じさせないものです。もちろん技術的にも安定していてヴィヴラート控えめながら輝くような音色が印象的です。

オススメ度:


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