オランダ生まれ。アムステルダムのスウェリンク音楽院でエド・ボガートに師事し、1979年にアムステルダム・サクソフォン4重奏団設立メンバになります。また、ポルトガルのフェルナンド・ヴァレンテ音楽院のマスタークラスやスウェリンク音楽院で教鞭を取り、1998年からは再びポルトガルに戻っています。オランダの複数の現代作曲家から作品を献呈されており、これからの活躍が期待されます。
以下アルバム以外に、デューク・エリントンの作品を集めたアルバムをリリースしているようです。入手したいのですが、ポルトガルのレーベルなのか、手段が、、、、
ヴァイオリン、バリトン・サクソフォンと弦楽5重奏(ヴァイオリン×2、ヴィオラ・チェロ・コントラバス各1)による、ピアソラのアルバム(2曲ピアソラへのオマージュ曲を含む)。ソロ・ヴァイオリンの冒頭の圧倒的なテンションの高さにもびっくりしましたが、そのテンションの高さが最後まで続くのもびっくり。ゆっくりの曲でも流れは滞らず、濃密な音楽が展開されています。トゥイラールトのバリトン・サクソフォンは勢いはありますがかなり柔らかな音で、弦楽器主体のアンサンブルから浮き出ることなく、一つの音楽を作り出しています。サクソフォンによるピアソラアルバムの中でも屈指のものといえます。
なお、このアルバムは輸入販売代理店の方のご尽力をいただき入手することができ、感謝の意をここに表させていただきます。このすばらしいアルバムが、国内でももっと流通するといいなぁ、、
オススメ度:
バリトン・サクソフォンによるソロアルバム。数曲がバリトンというのはありますが、はじめから終わりまでバリトンというアルバムはまだまだ少ないです。サックスでは比較的ポピュラーな曲ばかりで、こいつぁすごい! とびっくりするような演奏はありませんが、しかしどの曲にもちゃんと歌心が感じられ、技術面も難なく安心して聴ける演奏ばかりです。もっと大胆な表現もほしいですが、楽器の特性からしかたないかな。
オススメ度:
バリトン・サクソフォンと弦楽5重奏(ヴァイオリン×2、ヴィオラ・チェロ・コントラバス各1)による、なんとヴィラ=ロボスのアルバム。選曲の渋さ/マニアックさもさることながら、低音主体のサウンドは、予想どおり暑苦しくも愉悦に満ちた音楽に仕上がっていて、ヴィラ=ロボスの曲想にマッチしていてグッド。前述のアルバムではやや淡々と演奏してるように感じたのですが、こちらのアルバムでは汗の飛び散るような熱演になっています。それでも高音でがなりたてることがないので、繰り返し聞いても飽きることなく楽しめます。低音ファンの方々に強くオススメ。聴きなれたブラジル風バッハもとても新鮮に感じられました。
オススメ度:
バッハの無伴奏チェロ組曲をサクソフォンで取り組んだ録音は、既に日本でも清水靖晃氏のものがリリースされていますが、しかしトゥイラールト氏がリリースしてくるとは、、、もちろん全編バリトン・サクソフォンによる演奏で、音域的にはチェロに近いですね。演奏ですが、清水氏の演奏ほどではないにしろ思い入れ先行で、この曲については端正な演奏を好む私としては好みの演奏ではありません(あくまで私の趣味です)。また、ブレスを必要とする管楽器の演奏ではどうしても曲中に「間」が出来てしまい、これが拍子の感覚や曲の流れをやや阻害してしまっています。と、マイナス面ばかり先に書いてしまいましたが、しかし演奏の意欲だけに終わらない、聴き手と音楽を共有する楽しみが随所で感じられて満足です。襟を正して聴くバッハでも、また空気のように存在するバッハでもなく、今、生きている私たちの目の前で、現実に息づいて演奏されつづけるバッハを感じさせるアルバムです。
なお、私の手持ちはErasmusレーベルによるリリースですが、現在は別レーベルに移行しているようです。
オススメ度:
ポルトガルの民衆歌、ファド。ピンと来ないかもしれませんが、乱暴に説明すればイタリアにカンツォーネがあるように、フランスにシャンソンがあるように、ポルトガルにファドがある、といえば、いかにメジャーな音楽かおわかりいただけるでしょう。そのファドの歌い手として名高い カルロス・ド・カルモ をヴォーカルに迎えたライヴをCD化したのがこのアルバム。あいにく私はファドについてはほとんど知識がないのですが、その哀愁を湛えたメロディはポルトガル歌を知らずとも切々と私の心に響きます。もしかしたら、海と縁の深いポルトガルと、島国日本の人の心には、共通するものがあるのでしょうか、なんて考えるのは深読みかな。
オランダとポルトガルで活動するトゥイラールトがファドを取り上げるのは、ごく自然なことなのでしょう。よそ者が演奏すればただのきれいごと、真似ごとになりかねないファドを、すっかり自分のものとして演奏しています。カルロス・ド・カルモの甘い声に、敬意を払うような演奏も印象的。トゥイラールトのバリトンはかなり高音を駆使していますが、それが音楽のために必然的にあるのだと理解できます。秋の夜、物思いに耽りながら聴くと、、、ますます夜が長くなってしまう、、、そんなアルバムです。
オススメ度:
ラトヴィアの首都リガ生まれで、メータ、ゲルギエフ、メニューインといった指揮者に見出され、ペテルブルグ・マリインスキー劇場にレギュラー出演するほか、マンハイム劇場他で「トゥーランドット」「蝶々夫人」「フィガロの結婚」「ヴァルキューレ」などの大役をこなし、ディスクはプラチナ・ディスクを受賞するなど、今注目度が高いイネッサ・ガランテ。そんなガランテとトウィラールトは以前より親交があるとは聴いていましたが、しかしこのようなディスクがリリースされるとは思ってもみませんでした。ガランテの十八番アヴェ・マリアをはじめ、どの曲もガランテの圧倒的な歌いっぷりが印象に残りますが、もちろんトウィラールトも、脇役に徹するのみでなく、しっかり存在感を示しています。
うーむ、しかしトウィラールト氏、次々にびっくりするような内容のアルバムで勝負をかけてきますね。次に、何をやらかしてくれるのでしょう。。
オススメ度: