Alexey VOLKOV


1959年生まれ、ロシアで活動するサクソフォン奏者。アルトおよびソプラノ・サクソフォンを主に演奏し、モスクワのイッポリトフ・イワノフ大学の助教授を務めています。ソリストとして現代曲を中心にさまざまなジャンルの曲を演奏し、デニソフ、エシュパイ、グヴァイドリーナなどの作曲家から曲の献呈を受けています。また、モスクワ・サクソフォン4重奏団のディレクターであり、様々なボリショイ劇場管弦楽団やロシア・フィルハーモニーをはじめ多くのオーケストラとの共演を果たしています。

以下で紹介しているアルバムのほかにも、いくつか入手可能なCDがあります。追って紹介したいと思います。




主なアルバム


「Kapustin & Eshpai Saxophone Conerto」

オフィスENZO EZCD-10003
2002/5/25-28 Mosfilm Studio, Moscow
  1. サクソフォン協奏曲 (カプースチン)
  2. サクソフォン協奏曲 (エシュパイ)

Alexey VOLKOV (saxophone) / Mark GORENSTEIN / オーケストラ「ニュー・ロシア」

カプースチン、エシュパイ、、気になる作曲でしたが、2人のサクソフォン協奏曲がまとめてCD化されるとは。早速カプースチンを聴いてみると、いや、こりゃ、もう、予想通りのジャズです。オケにエレキベースとドラムセットが加わり、ビッグバンドっぽいリフがバリバリ登場、正統的クラシックな方々は眉をひそめそうです。エシュパイの協奏曲も、ベースやドラムは入っていないものの、露骨なブルースコードの進行があって、やはりジャズそのもの。これは実演で聴いたらかなりエキサイトするでしょうね。(どなたか、コンサートで取り上げてくれないでしょうか♪)

面白いんですが、繰り返し聴いて新しい発見があるというような曲ではないような気もします。演奏が全体にちょっと荒っぽいので、きめ細かい演奏だとまた印象が違ってきそうです。あと、このCDの最大の難点は、30数分の収録時間にも関わらず、お値段が3000円以上。。。

オススメ度:



「安部幸明 交響曲第1番」

アマゾンでこのCDをチェック!
Naxos 8.557987
2005/9/24-29 Studio 5 of the Russian State TV & Radio Company Kultura
  1. 交響曲第1番 (安部幸明)
  2. アルト・サクソフォンと管弦楽のための嬉遊曲 (安部幸明)
    Alexey VOLKOV (saxophone)
  3. シンフォニエッタ (安部幸明)

Dmitry YABLONSKY / ロシア・フィルハーモニー管弦楽団

安部幸明(1911-2006)の名前はこのCDを買うまで知りませんでしたが、こういう作曲家を積極的に紹介しようとする Naxos レーベルの企画力はすごいですね(ちゃんと購買層がいることを見越していることもすごいですが)。しかも、安価なだけでなく、12ページにわたる片山杜秀氏の渾身の解説も特筆です。「疾走するアレグロ」という宣伝文句がどこかのCDショップで書かれていましたが、なるほど、生命力あふれる音楽ですね。この音楽を支えているのは、チェロ、コントラバスの低弦群の使い方の巧みさにあると私は感じました。特に交響曲第1番は、クラシカルな書法の延長にありながら、十分に個性あふれるユニークな曲で楽しめました。

まだ戦後間もない1951年に作曲された嬉遊曲、こんな時期にクソフォンのための曲が日本で書かれていたことには驚きました。もともとサクソフォンとピアノのために書かれたこの曲を初演したのは、宮内庁の楽師で篳篥[ひちりき]/クラリネット奏者だった東儀博氏。そして、1960年に2管編成のオーケストラ伴奏版に書き改められたものを初演したのは、故阪口新氏でした。ヴォルコフの演奏は、とてもまじめな演奏ですが、さらにのびやかに/繊細さが加わると、曲の表情が違ってきたのでは、とも感じました。

inserted by FC2 system