1996年にシカゴを訪れた際、アメリカ海兵隊の演奏を生で聞く機会がありましたが、サックスのソリストがやたらブ厚い音で吹きまくっていたのが印象的でした。そのソリストこそアンダーウッド。ニューヨークのコートランドの生まれで、イサカ大学でドナルド・シンタに師事し、1968年以来ワシントンのアメリカ海兵隊吹奏楽団の1番奏者として活躍しましたが、1997年に引退(ってことは、私が聴いたのは最後のシーズン?!)、現在は教職とソロ活動に専念しています。ワシントン・ポスト紙で「サクソフォンのハイフェッツ」と評され、リサイタルや管弦楽との共演も頻繁に行なっています。また、ジョージ・メイソン大学やカソリック大学などで教鞭をとっていました。また、かつては北米サクソフォン協会の理事を務めるなど、演奏活動以外でも活躍しています。楽器は Selmer の Super Action 80、マウスピースは Selmer S-80 C star、Winslow のリガチャー、リードは Vandoren 3 を使用してるということです。
Open Loop レーベルからのリリースされた、アメリカ、クラシックアレンジ、フランスものをバランスよく配したピアノ伴奏アルバム。さすがベテラン奏者らしく、曲の随所で表情に変化をもたせつつ、全体としては大きな音楽の流れを感じさせる点は感服します。鮮明でオンマイクの録音のせいか、それともオーバーブロー気味の奏法のせいなのか、やや音色がつぶれ気味(失礼!)なのが残念ですが、サラバンドとジーグをはじめ、どの曲もアンダーウッドの自信あふれる音楽づくりを感じることができるCDです。
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スミスやグランドマン、デル=ボルゴの曲は、アンダーウッドのために書かれた/書き直された曲とのことで、かなり気合の入った演奏を聴かせます。全体にもうすこししなやかさと柔軟さが加わるとよいのでは、とは思いますが、このレーベルのCDの中では最も手が伸びる一枚です。私の好きなクレストンの協奏曲は意外と録音が少なく、演奏のレベルもあいまって貴重。 序奏とサンバも好きで、よく聴いてます。この曲、アマチュアでも取り組みやすい楽しい曲だと思うんですけどね。棒が先年惜しくも亡くなったJ.サダト氏、というのも(一部の)ファンには涙モノ。
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作曲家ジョージ・ルーマニスの名前についてはまったく知らないのですが、このCDを聴く限りテレビや映画の分野で活躍する作曲家のようです。オーケストラを良く鳴らした、いい意味でのエンターテーメント性に溢れています。アンダーウッドのサクソフォンもどの音域でもニュートラルで安定していて、技術的にしっかり聴かせながらも、曲の持つ方向に沿った演奏。こういう演奏だと親しみやすいメロディで構成されているアメリカ讃のゴキゲンさや、グッドバイ・ジョージのほどよい落ち着きがキモチヨく愉しめました。
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このCDがプライヴェート盤なのか商用盤なのか不明ですが、タイトルどおりブラジルの作曲家によるサクソフォンと管弦楽のための作品を集めたもの。ジャケットにブラジル文化省とタトゥイ音楽院?の文字があるので、文化振興目的の制作なのかもしれません。木の葉の地にカラフルな鳥たちがサクソフォンを取り囲んでいる、トロピカルな雰囲気のジャケットに期待が高まります。内容はゴキゲンなサックスのドソロから始まる意外にも(失礼!)オーソドックスで耳に優しいもので、作品・演奏とも充分に楽しめました。ブラジル屈指の作曲家ニャタリのコンチェルティーノと、有名なヴィラ=ロボスの作品以外はすべてアンダーウッドへの献呈作品。アンダーウッドの演奏はニュートラルで輪郭のはっきりした典型的なアメリカン・スタイルのサウンドで、曲のエキゾチックな面をことさら強調することもなく真正面から取り組む姿勢に好感を持ちました。これをはじめ各CDはアンダーウッド氏の公式サイトで入手できますので、興味のある方はお試しを。
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