Sax Allemande


ありそうで他に定常的な活動団体を聞いたことがない、サクソフォン3重奏団体。4重奏のバランスに疑問を感じていたサクソフォン奏者3人で結成された団体で、なるほど4重奏に比べて軽快な音楽が響きます。シュッスラーについては別ページをご覧頂くとして、アルトのハシュテッドとバリトンのマイアーは共には1967年生まれでミュンヘンのリヒャルト・シュトラウス音楽院を卒業、アンドレ・レグロス(ミュンヘンSQのリーダ/ソプラノ奏者)に師事しました。

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主なアルバム


「Sax at the Opera」

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FARAO Classics B108 106 (C)2001
  1. バレエ「くるみわり人形」より (チャイコフスキー)
  2. 歌劇「ドン・ジョヴァンニ」のアリア集 (モーツァルト)
  3. ジョヴァンニの主題による変奏曲 (ベートーヴェン)
  4. カルメン・メドレー (ビゼー/ゾルゾール編)

録音のせいもありますが、最初のくるみわり人形からとてもキビキビした音楽が繰り広げられています。えぇ〜3じゅうそぉ〜? テナーいないのぉ? という懸念を吹き飛ばすように、音の厚みもに不満を感じさせず、多彩な響きが聴こえてきます。一方でテナーがない分ソプラノとアルトの動きがハッキリし、3重奏という編成への認識を改めさせられました。選曲はすべてクラシック曲からの編曲ですが、ベートーヴェンの作品はもともとオーボエ2本+バスーン1本の編成の曲ということでなるほど無理なく響き、一番楽しめました。。くるみわり人形も巧みな編曲で(バリトンにダブルタンギングまでさせている!)、無理がないとは言いきれませんが、果敢な挑戦に拍手。奏法で気になる点もありますが、技術レベルは満足できる域にあり、何よりここには「歌」があります。

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「J.S.Bach Goldberg Variationen」

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FARAO Classics B108 024
2005/8 Farao Studios
  1. ゴルトベルグ変奏曲 (バッハ)
Sax Allemande
Marcus WEISS (guest tenor saxophone)

サクソフォン3本でゴルトベルグ変奏曲を演奏してしまう、大胆な企画。4本ならニュー・ダニッシュSQの演奏もありますが、、、。しかし、サクソフォンの機動力を十二分に活用したすばらしい編曲と、その譜面をきちんと演奏しきった見事なテクニックに支えられ、音楽内容そのものを楽しむことができました。さすがにゲストに迎えたマルカス・ワイスのテナーに助けられた変奏もありますが、3本のサクソフォンはメロディから低音まで縦横無尽に飛び回り、聞き手に(そして奏者自身も)息つく暇も与えません。後ろが膨らみがちな奏法は少々気になりましたが、まずはサクソフォン3本でここまで表現しつくした企画に喝采を送りたいと思います。さて、次は何をやらかしてくれるでしょうか?

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「Ein Kagel-Schubert-Projekt」

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FARAO Classics B108 038
2008/5 Farao Studios
  1. 弦楽トリオ第1番 ニ長調 D.471 (シューベルト)
  2. 弦楽トリオ第2番 ニ長調 D.581 (シューベルト)
  3. Der Mündliche verrat (カーゲル)
Sax Allemande

タイトルどおり、昨年没したいわゆる前衛作曲家マウリシオ・カーゲルが晩年の2007年に作曲したサクソフォン3重奏のための組曲"Der Mündliche verrat"(日本語に訳すると「口腔の裏切り?」)と、シューベルトの弦楽3重奏曲で構成されています。シューベルトの曲の楽章の前後にカーゲルの作品が挟み込まれるという構成は、ケーゲルからサックス・アレマンデへの手紙でのアドバイスによるもの。コンテンポラリーな響き(とはいえ、カーゲルの作品にしてはずいぶんおとなしいようにも感じますが)とロマン派の響きを交互に耳にすることで、意外と多い2つの曲の共通点を確認することができました。

演奏は音の伸ばし方にやや独特なクセを感じますが、それでも一昔前の「ドイツのクラシカルサクソフォンといえば、、」と敬遠していた頃に比べれば、はるかに技術的に安定しています。3重奏として定常的に活動している世界的にも数少ない団体、次もあっといわせるようなアルバムをリリースしてくれることでしょう。

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