上田啓二氏の主宰で広島を拠点に30名近くで活動するサクソフォン・アンサンブルとのこと。広島の県木「かえで」と県下第二の都市福山市の市花「バラ」に由来した、なかなか洒落た団体名ですね。このCDでは、ソプラニーノからバスまで23名のサクソフォン奏者と、3名の打楽器奏者で録音されています。曲目はクラシックアレンジから委嘱のオリジナル作品、ポップスまで幅広く、編曲は一部を除いて上田氏が手がけています。
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失礼ながら、これだけ整った響きがするとは思っていませんでした。アンサンブルやテクニックが破綻しているところはほとんどなく、単一楽器属による厚い響きを楽しむことができました。おそらく、上田氏の無理のない編曲が、成功の理由の大きな要素になっているのでしょう。やや癖のある吹き方をする奏者が目立ってしまったり、音程のせいか中音域がクリアに聴こえてこなかったりといった点は気になりましたが、幅広い曲想に対応できる実力を感じる演奏です。
ミヨーの屋根の上の牡牛を、ロンデックスがサクソフォン・オーケストラ版に編曲したのを取り上げられているのも興味深いところ。かなり短縮版ですが、サクソフォンの器用さとリリカルでコミカルな面を楽しめる演奏です。個人的には好きなコール・ポーターの名曲がメドレーで聴くことができるのがウレシイ。特に、最後が「Love for Sale」というところがツボです。