ロシアで活動する女性サクソフォン奏者。ロシアの中でもヨーロッパに近い、ヴォルガ川の河口に位置する文化都市サラトフの出身(ちなみに作曲家シュニトケもサラトフの出身)で、サラトフ音楽学校(音楽院?)、グネーシン音楽大学を卒業、ソヴィエト連邦時代に様々な賞を受賞、既に30年以上の音楽活動歴を持つベテラン奏者です。現在はロシア音楽アカデミーおよびグネーシン音楽大学の教授を勤める傍ら、後進、特に子供たちへの教育に力を注いでいます。
シャポシュニコワの演奏は、セルマーの楽器をこれでもかとしっかり鳴らし、強弱や緩急しっかりメリハリづけたもので、その強烈さに拒絶反応を示す方も少なくないことでしょう(苦笑)。ある意味、かつてのロシアのオーケストラの金管奏者的な響き、ということもできるかもしれません。ただし、音楽の隅々にまで歌心が感じられますし、ゆっくりした曲想になっても、音楽の密度は薄まるどころかますます説得力を増すのがすばらしいところです。ヴァルス形式のカプリスでは技術的な不安を全く感じさせないだけでなく「こう歌いたいんだ!」という主張がはっきり聴こえてきますし、3つの前奏曲でも暴れまくってます。が、これだけ暴れても破綻しないというのがまたすごい。。
このアルバムについて調べていて気づいたのですが、シャポシュニコワ自身の編曲による3つの前奏曲の楽譜は、ボーンカンプが録音で使っているんですね。うーむ。
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アルバム2作目は、副題がついているようで、ジャケットの写真などからおそらくある男性に捧げられたアルバムのようなのですが、残念ながら曲名以外すべてロシア語でわからず。。。しかし、プログラムは前作同様、古典とも言えるヴェニスの謝肉祭に始まり、ヴィードーフのナンバーを軽妙に吹きこなしたかと思えば、ロシアの作曲家の小品を織り交ぜ、フランス・アカデミーの系譜といえるボノーの曲で終わるという多彩さ。どの曲もシャポシュニコワのカラーにしっかり染めつつも、随所に感じることができる強烈な歌心が印象的です。収録時間が短い(これも前作同様)ですが、劇薬的強烈さという点では並みのアルバムの比ではありません。万人にお薦めできる内容ではありませんが、クラシカル・サクソフォン愛好家の方は一度聴いてみるのはいいかもしれません。。
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