サンペンは、ドナルド・シンタ、フレデリック・ヘムケ、ラリー・ティールの各氏に師事し、現代音楽を主なレパートリとしています。「サクソフォンのハイフェッツ」とデイリー紙で評され、ケージ(Four5はサンペンがイタリアで行なわれたワールド・サクソフォン・コングレスで初演しました)、ボルコム、アルブライト、バビットといったアメリカを中心にした最先端の作曲家たちと親交を持ち、数々の委嘱作品やコラボレーションを生み出しています。たとえば、シュトックハウゼンの「友情に」のサクソフォン・ヴァージョンもサンペンが初演しています。その膨大な作品のリストは、サンペン氏の公式ページをご覧ください。電子楽器(ヤマハWX7)も用いてのソロ活動を始め、作曲家でピアニストのマリリン・シュリュードとのデュオ活動、各国のオーケストラとの共演も行ない、来日し大阪市音楽団と共演を行ったこともあります。現在はセルマー・クリニシャンとして活躍する一方、1977年以来ボーリング・グリーン大学の教授であり、また1997年までインターラーケン・サマー・アート・キャンプのインストラクターを務めていました。以下でご紹介したアルバム以外にも多くの録音に参加しています。
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ミルトン・バビット、モートン・スボトニックをはじめ、アメリカの現代音楽を代表する作曲家による曲を集めた内容の濃いアルバム。とはいえ演奏の完成度が高いせいか、現代音楽にありがちな理解不能なトンガった音楽ではなく、私の頭でもかろうじて理解して楽しめるアルバムです。謎の再認知(Renewing the Myth) は、有名なパガニーニの主題による変奏曲で、サクソフォンからピアノからあちこちから聴こえてくる主題が刺激的。どこが「謎」なのかは、充分わかりませんでしたが、、ウーリネンのソナタもスリリング。サンペンとシュリュードの演奏はまったくスキなく、技術的にも舌を巻くばかりです。欲をいえば音色も堪能したいところですが、これは録音のせいかな?
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アルバム・タイトルどおり電子楽器やテープ、ディレイなどを多用した曲で構成されています。ほとんどが作曲者から献呈、またはコラボレーションのもと生まれた曲で、なるほどどの曲もサンペンの演奏は確固たる自信に満ちあふれていて安定感があります。概してこういう曲は、演奏の完成度が高くないと曲の真価が伝わってこないのですが、安心して聴くことができました。ゲンダイオンガクが嫌いな方は抵抗があるかと思いますが、唯一調性のあるウォーターウィングスはタイトルから想像できるように、水の中で不思議に響くようなサウンドが印象的です。私自身すべての曲を「理解」しながら聴いているわけではないのですが、このテのCDの中ではもっともお勧めできるものの一つです。
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このアルバムも2曲を除いてすべてサンペンが初演またはサクソフォン・ヴァージョンを初演した曲で占められており、サンペンがいかに現代音楽に熱心に取りくみ新しいレパートリを開拓してきたかが伺えます。特にアダムスからシュリュードまでの7曲は「ポストカード・ピース」と題して委嘱したプロジェクトによるもので(一部改作を含む)、7人の作曲家それぞれの個性・作曲技法が発揮されたユニークなものとなっています。どの曲もとっつきやすい曲ではありませんが、サンペンの演奏はどれも真摯で愛情に満ちたもので、もちろん技術的にも文句なく、頭が下がります。完成度の高さはエレジーとロンドでも発揮され、しかしほかの奏者の同曲の演奏と比べると独特の解釈も施されていて、ボーンカンプのまっすぐな演奏やチェ(sax)の柔らかな演奏と比べるのもおもしろいでしょう。またファザードでは、異なる編成で演奏されているハールやハラームの録音と比べて、サンペンの演奏はアカデミックで即物的に感じられました。これって録音のせい??
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このところ意欲的に録音を行なっているサンペン氏の、目下最新の録音。2002年のアドルフ・サックス国際コンクールの課題曲となった謎の再認知の再録音をはじめ、伴奏者マリリン・シュリュードの曲を3曲を含んでいます。どの曲でも真正面から取り組んでおり、いつもどおりの高い水準の演奏。これだけ完成度の高い演奏を聴いてしまうと、個人的にはさらに大胆な表現も聴いてみたくなってしまったのですが、これは欲張りでしょうか。ところで、私がこのアルバムで一番気になっていたのが、エヴォリューションVの演奏に参加しているサクソフォン4thアヴェニュー。別アルバムで実力を確認していただけに、こんなところで名前を確認できてなんとなくウレシイです(笑)
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ごらんのとおりアルバムのジャケットはクラシック/現代音楽っぽくないセンス。そして展開されている音楽もここまで紹介してきた"トンがった"音ではなく、民族音楽の香りのする(でも民族音楽ではない)生理的にしっくりくるもの。もちろん、コンサートホールで聴いても違和感はない音楽ばかり。カフェ・ミュージックやバーレスクの題名にいつわりなく、カフェ(おそらくは日本語の"喫茶店"ではなく、夜はアルコールを出すようなフランスのカフェ、ですね)で流れている音楽を思わせたり、演奏者も聴いている人もジョークに顔がほころぶような音楽だったりしてなかなか楽しめました。フルートとピアノで演奏されるスロヴァキアの子供の歌がその編成ゆえあまりポップに聴こえないのは仕方がないのでしょうね。
サンペンが参加しているバーレスクでは、トランペットのかけあいが火花を飛ばしそうにスリリングかつクール。あまりサクソフォンらしくない音色もここでは好感をもちました。サンペン氏がどんな顔をして演奏しているのか、見てみたい〜
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