イギリスのサクソフォン奏者。1981年から1985年の間王立音楽学校に学び、ステファン・トアラー、ジョン・マッコーに師事しました。在学中にブージー&ホークス賞をはじめ数々の賞を受賞しました。卒業後はパーセル・ルームでたびたびリサイタルを行なっており、またロンドン・フィルハーモニク、ロンドン交響楽団、バーミンガム市交響楽団、ボーンマス交響楽団、アルスター管弦楽団など、イギリスの主要なオーケストラと共演を行なっています。BBCのラジオ3でしばしば登場する他、アンサンブル・グループ Genesis のメンバとしてテレビや映画音楽の演奏・作曲活動も行なっています。
1994年には、以下で紹介したターネジの「ユア・ロカビー」をアンドリュー・デイヴィス指揮BBC交響楽団と初演したり、また Killing Time をはじめいくつかのターネジ作品で初演、コラボレーションを担当しています。以下のCD以外でも、ターネジの作品のレコーディングでサクソフォンを担当しているのを目にします。また、手持ちのCDでは、ヴィラ=ロボスの神秘的6重奏の録音に参加しているのを確認しました。
Check it amazon.com ! アマゾンでこのCDをチェック! |
Chandosからリリースされているマルタンの管弦楽作品集の中の1枚。マルタンはいろいろな楽器のためにバラードという形式で曲を書いていて、ありがたいことに?サクソフォンのためにも作品を残しています。調性は保ちつつ、どこまでも透明で夢うつつのような摩訶不思議な音楽が展開されますが、ここにクールな艶やかさのあるサクソフォンの音色がぴったりはまってます。ロバートソンの音色は、録音のせいかとりたてて美しいというほどではありませんが、フラジオ音域が駆使されるこの曲でもわりと安定した音楽を繰り広げていて、まずまず楽しめました。このアルバムのなかでは、トロンボーンのためのバラードが、楽器の持つ息遣いを感じさせてくれて、一番おもしろく聴きました。
Check it amazon.com ! |
アマゾンでこのCDをチェック! |
1960年イギリスはエセックスの生まれで、今やイギリスを代表する作曲家ターネジの作品を集めたアルバム。ターネジは近年バーミンガム市交響楽団のコンポーザ・イン・レジデンスの地位にあり(指揮者ラトルのお気に入りらしく、EMIには作品集を録音してます)、イギリス内外の様々なフェスティヴァルで次々に新作が発表されています。「3人の叫ぶ教皇」をはじめ管弦楽作品の演奏機会も多く、日本でも最近いくつかの作品が演奏されているので、名前をご存知の方も増えてきたのではないでしょうか。このアルバムも、日本でもリリースされた[POCL-8004]ので、お持ちの方も多いでょう。
このアルバムはソロ楽器をフィーチャした曲がとりあげられており、ロバートソンは実質的なサクソフォン協奏曲であるユア・ロカビーを、初演時のコンビであるアンドリュー・デイヴィス指揮BBC交響楽団と共に演奏しています。20分を超すこの作品は、オーケストラの様々な音色に負けないくらいサクソフォンの多様な可能性が示されており、ロバートソンの演奏も充分それに応えています。サクソフォンの魅力を引き出すスパイスとして、様々な打楽器類の活躍も聞き逃せません。
また恐れを払いのけてでは、ホーカン・ハーデンベルガーとジョン・ウォレスという名手の饗演を、若手の新鋭指揮者ダニエル・ハーディングが指揮するフィルハーモニア管弦楽団のサポートで堪能することができます。現代音楽に興味を持つ管楽器ファンの方におすすめしたいアルバムです。
オススメ度:
Check it amazon.com ! |
こちらはターネジ20代の室内楽作品を集めたミニアルバム(収録時間は40分弱)。彼はドラムセットとサクソフォンが好きらしく、多くの作品にこれらの楽器を用いており、このアルバムでもすべての曲でサクソフォンが使われ、ロバートソンが担当しています。
このアルバムは小編成作品ということもあり、管弦楽作品のような暑苦しく迫る響きはあまりありません。ロバートソンの、クールだけどリリシズムを感じさせる音色が、ターネジの曲にマッチしているように思います。1曲目のオン・オール・フォーはアレマンデ、ジーグ、コラール、サラバンドと、古典的な舞踏音楽を題材にしながら現代的な響きがします。各作品自体は、しかし正直なところあまり興味を惹かれませんでしたが、ターネジの師にあたるオリヴィエ・ナッセンの、好意的な指揮・解釈が印象的です。
Check it amazon.com ! |
アマゾンでこのCDをチェック! |
いまやイギリスの売れっ子?作曲家、ターネジの作品集が、注目のBlack Boxレーベルからリリースされました。しかも、演奏は上のミニアルバムでも快演を繰り広げたナッシュアンサンブル&ロバートソンのコンビ。ということで、開封前から期待は膨らみます。収録曲のタイトルからも予想されるとおり、このアルバムではミニアルバム同様、ここではターネジの内省的な音楽を展開しています。ロバートソンのサクソフォンは2つのメモリアルと2つの哀歌に組みこまれた叫びで聴くことができ、いずれもターネジが奏者を想定して書かれた作品だけに、音の一つ一つに深みを感じます。サクソフォン作品以外ではクリスのための葬列の情感溢れる音楽作りが印象的でした。これは、作曲家、奏者、それぞれの思い入れが同じ方向に向いた結果なのではないでしょうか。
オススメ度: