ラテンの音楽シーンで有名なサクソフォン・クラリネット奏者。キューバに生まれて伝説的なアフロキューバン・バンド「イラケレ」に参加、1979年にグラミー賞を受賞(現在までに3度)しました。1981年にはニューヨークに本拠地を移し、ピアソラ、カチャーオ、などアルバムに参加、パキート・デリヴェラ・ビッグバンドとパキート・デリヴェラ5重奏団を結成、ラテン・ジャズ・シーンで活躍し多数のアルバムをリリースしています。
一方、幼くしてキューバ国立交響楽団でクラリネットやサクソフォンを担当した経験からか、クラシックスタイルの演奏も取り組んでおり、ワシントン・ナショナル管弦楽団、ロンドン交響楽団など数多くの共演の経験があります。またクラシック曲の作曲も手がけており、デリヴェラの作品を集めた室内楽演奏会が開かれたりもしています。サクソフォンのための作品として、4重奏のためのワパンゴ、ニューヨーク組曲、エリック・ドルフィーへの哀歌などがあります。(録音はダノヴィッチSQ、アカデミアSQ、ニュージャージーSQをチェックしてください)
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まさか、デリヴェラ氏をこのサイトで紹介することになるとは思いませんでした。というのも、もっぱらラテン音楽の奏者というイメージが固まっていたので、、。しかし、このアルバムを聴いてあらためて調べてみると、上記のとおり少なからずクラシックにも精通しているのですね。Newportレーベルからリリースされたロバート・バスカの室内楽作品集で、ブロンクスを拠点にする奏者として参加しています。ここに録音されている作品は、それぞれに強烈な個性があるわけではありませんが、たとえばクラリネット5重奏曲はモーツァルトやシューベルト、オーボエ・ソナタはプーランクを規範にしていて、なるほどその響きは近いものがあり、一人の作曲家の曲とは言われなければわからないかもしれません。デ=リヴェラの演奏はヴィヴラートや音の処理がクラシック系奏者のそれと少々異なりますが、エッジの利いた明朗な音色で奏でられる音楽は、若干ジャズの要素も感じられるサクソフォン・ソナタの内容ともあいまってなかなか楽しく聴くことができました。ピアノ奏者のPablo ZINGERもデ=リヴェラ同様ラテン音楽をメインに活動しており、かつクラシックにも手を染めている奏者です。