1995年に結成された新しい団体。メンバも若く、ロンデックスやミュンヘンSQのA.レグロス、G.プライズナーといった人たちに師事したようです。1997年にはヴェローナで行なわれた世界室内楽コンテストで第1位を受賞しました。最近ようやく活発になってきたドイツのサクソフォン界に新しい風を吹き込んでいます。またマイク・マウアー(イッチー・フィンガーSQのファンだそうで)やマイケル・ナイマン、ウィル・グレゴリーなどイギリスの作曲家とも繋がりが深く、今後の活動がいろいろな意味で期待できそうです。なお、ヤマハがスポンサーとなっているようで、全員ヤマハの楽器を使用しています。
デビューアルバムはBMGのデュストリビュート、ということで、同レーベル初のクラシカル・サックスものではないでしょうか?。1曲目のナイトクラブ1960はテンポが早めで、やや雑なところもありますが音楽がぐいぐい流れていきます。これも若さのなせるワザか? SQによるこの曲の演奏の中でも出来のいい演奏といえるでしょう。3つのインプロヴィゼーションのアドリブではトランペット奏者をゲストにバリバリいわせますし、3楽章のエンディングもなかなか。あとの曲ではやや散漫さを感じたり、テンポが遅くなると間が持たなくなる傾向はありますが、ドイツのサクソフォン・アンサンブル団体で、今までになかったタイプとして今後に注目したいところです。
なおサクソフォルテの公式ページでサンプル音源を聴くことができます。
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セカンドアルバムは、この団体らしさがより前面に出た内容になっています。サンジュレからピアソラ、そしてイギリスのポップスバンドポーティスヘッドのカバーまで幅広いジャンルの曲をこなしています。曲によってはパーカッションやトランペット、ヴォーカルを入れてサウンドに変化があるのもこのアルバムの特色。冒頭のバディネリは、端正で元気な演奏の後、後半は崩して演奏していますが、これがなかなかカッコよくきまっていて爽快。どの曲も適度なテンションで楽しい演奏を繰り広げていますが、親交のあるナイマンやウィル・グレゴリーの曲や、この団体のために書いてもらったというマウアーのサクソフィフティ(サクソフォルテ/Saxo-fortyに1人加わったから Saxofifty というタイトルなんだそうです)は、演奏者自らがエキサイトしているのが伝わってきて、思わず聴いている方までニコリとしてしまいました。
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サードアルバムもオリジナリティ溢れる内容。1作目から常に取り上げているピアソラのナンバーをはじめ、2作目でも取り上げているブラジルのギタリスト、ルイス・ボルダのナンバーや、フランク・ザッパの曲を組曲にしてしまったり(アルバムタイトルの「We are not alone」は組曲中の1曲)など、彼らの方向性がいっそう強く見えてきました。24時間は、ナイマンが映画?「ある女の24時間」で使ったモチーフをもとにしたサクソフォン4重奏のためのオリジナルの曲。なるほどナイマンの意を十分に汲んだ演奏で、説得力があります。ますます精力的に活動を行なっている様子が伝わってきます。
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