1993年結成、翌年ロンドンの聖アカデミーでロンドンにデビューを飾りました。当初は Saxploitation という名称で活動、イギリスおよび西ヨーロッパ圏で活動を行ない、イギリスで初めてのセルマーのサポートを受けたサクソフォン団体となりました。バロックからフランス系、現代曲からイギリスものまで幅広いレパートリを持っており、すでに20曲以上の作品が献呈されています。また各地でマスタークラスを開講し、後進の指導にも積極的です。
実質的にサクステット出版社のデモ演奏のCDで、すべての楽譜は同社から出版されています。ちょっとひねりの利いた、なかなかユニークなパリのアメリカ人(ちなみに編曲はN.ウッド)や、なるほどバッハの曲をモチーフにいじくりまわしたバッハ&ビヨンド、ケルト系とジャズが適度に混ざっていて個人的にはかなり好きな曲想のケルティック組曲(ちなみに8重奏でトリビューン8重奏団の録音もあります)など、楽しんで聴くことができました。地味ながら曲の持ち味を素直に活かしたいい演奏をしていると思うのですが、録音のせいかちょっと頼りなさげな演奏に聴こえるのが残念。
イギリスのサクソフォンというと、どうもフランスあたりの王道の?流れをあえて無視して独自の音楽を追及しているのではないかという先入観があるのですが、それを吹き飛ばすような(少なくとも前半は)オーソドックスな選曲に驚きました。まず冒頭のイタリア協奏曲では、アコースティックな響きを意識したと思われる音の減衰が印象的。ですが、以後ちょっとアンサンブルが破綻しているところが(苦笑。定番のピエルネでも、おやっっと思う個所(こちらはミストーンではなく個性的な解釈)が少なからずあり、自分で演奏したことのある方ならかなりびっくりすることでしょう。やはりおもしろく聴けたのは後半のイギリスの作品群で、なかでも叫び(原題 Screaming)の攻撃的だけど耳障りにならない確固とした響きが印象的でした。サクソフォン初心者ではなく、いろいろな演奏に接してからこのCDを聴くと、いろいろな発見があるでしょう。
Check it amazon.com ! |
アマゾンでこのCDをチェック! |
カウンターテナー独唱の伴奏をサクソフォン4重奏が受け持つというユニークなアルバム。一瞬えっ、と驚いたものの、声楽と弦楽4重奏という編成のヴァリエーションと考えればよいのでしょうか。ウィリアム・バード、ヘンリー・パーセル、ダウランドなどの作品を吟遊詩人が古い詩に命を吹き込むように歌うカウンターテナー、それを支える新しい響きのサクソフォンという響きの組み合わせは、時代を超えて不思議と調和します。サクソフォンによる教会音楽や古い世俗曲の演奏は、同じくイギリスで活動するジョン・ハールやクリスチャン・フォーシャウらも試みてますが、ここではカウンターテナーの期待の若手ローレンス・ザッゾのみごとな歌唱も聴きものです。
オススメ度: