ケンタッキー大学サクソフォン科の教授であるマイルス・オスランド率いる4重奏団。クラシック、というよりは限りなくジャズ的なアンサンブルを聴かせます。ソプラノのマイルス・オスランドとテナーのリサ・パレント・オスランドはイーストマン音楽学校の卒業、アルトのジョナサン・アンダーソンはケンタッキー大学で教鞭を取っていましたが現在はテキサスのヴィクトリア大学で、バリトンのラリー・ネルソンはケンタッキー大学とジョージタウン大学で教鞭をとりながら、レイ・チャールス、マンハッタン・トランスファー(!)といったミュージシャンのバックバンドのメンバとして活躍しています。
ちなみにこの大学、マイケル・ブレッカーのマスター・クラスもあるという、筋金?入りの大学です。
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曲目をみておわかりのとおり、フロリオの4重奏曲からA列車で行こう、ラッシュ・ライフといったジャズのスタンダードまでなんでもあり。そもそも、レーベルがSea Breeze Jazzですから。奏法こそクラシック・スタイルで4本のハーモニーも綺麗ですが、はじめから最後までイケイケムードの楽しいCDです。私がこのCDを買った目的は、フィル・ウッズの作曲した第2作目の4重奏曲になるDeer Head Sketchesが収録されていたから。しかし、ここに収録されているのは4楽章のうち若干カットが入っていて残念。ソプラノ・サクソフォンのソロは見事! 難しそうですが "3つのインプロヴィゼーション" よりは取り組みやすそうです。デュボワではしゃれっ気は感じるものの、ちょっとフランス風のそれとは違うな、という印象。しかし他の曲は理屈抜きに楽しい演奏で飽きません。最後にアメリカーナ組曲、星条旗(もちろん、ジャズアレンジ)でしめるところが、さすがアメリカ。
A列車で行こうだけはなぜかUKメガサックス・クヮルテットによるライヴの演奏ですが、パーカッションを加えた豪快な演奏で、これ1曲聴くだけのためにこのCDを買っても損はないかもしれません。メガサックスの演奏はこちらの圧倒的な演奏をぜひ。
ちなみに、アルバムのジャケットは、ごらんのとおりエプロン姿のオスランド氏がバーベキュー網にのったサクソフォン(!!)をひっくり返そうとしている写真。いくら、Kentuckey Roastup だからって、そのセンスは。。(絶句)
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今回もしっかりベクトルを感じさせる選曲。演奏は前作同様クラシック・スタイルそのものですが、タンゴは4人であたりではタンゴというよりブルースに近い雰囲気が出ていたりして、この団体ならではの演奏に仕上がっています。ミンツァーの2番や(楽譜でオプションに指定されている)弦バスの入ったドゥー・ダー組曲のゴキゲンな演奏ももちろんカッコイイのですが、やはりアルバムタイトルとなっているエフェサスの地のちょっとハードな響きもゾクゾクします。この曲、実はオリジナルではなく編曲もので、ソロがフルートに持ち替えてたりしますが、これだけカッコイイ演奏だとそんなことはどうでもいいですね。
しかし、ジャケットは相変わらずおチャラけてますね(笑) 日本だと、こんなおチャラけたジャケなんて、ぜったい製作しそうにないなぁ。。
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オスランドSQによる委嘱作品をあつめた2枚組のアルバムです。一部既出音源と重複しますが、こうしてまとめて曲を聴くと彼らなりにオリジナリティのある作品群を多数世に送り出す努力を積み重ねていることがよくわかります。マウアーの協奏曲はアルトをソリストにした曲ですが、吹奏楽パートもほとんどビッグバンドジャズのノリでカッコイイ! 他の4重奏でも、こんなことができるんだ、と目からウロコの曲ばかり。ディフュージョンあたりは、是非自分でも挑戦してみたいなぁ。。ジャジーな要素を含んだ曲が多く、しかも聴く限りでは相当技術/センスとも難易度が高そうな作品がほとんどですが、こういった作品を日本でももっと積極的に演奏する団体が出てくるといいのに、と思うのですが。。楽譜の入手先も明記されていますし、誰か(一緒に)やりません?
しかし、このアルバムタイトルといい、ジャケットのセンスといい、、(オスランド氏は空飛んでいるし、自動消滅するカセットの写真はあるし、、、)このセンス、大好きです。
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オスランド氏と彼の4重奏団と、吹奏楽の共演によるアルバム。3曲それぞれにスタイルが異なるものの、共通するのは作曲家の個性が強く感じら点です。ジャズ奏者でもあるミンツァーの曲は、アメリカ音楽のルーツをイギリスとフランスの音楽に求め、ジャズが生まれ、アフロキューバンの要素を取り込んで異種混合的に発展していく歴史を音楽としてまとめた作品。もともと管弦楽との協奏曲として書かれたこの曲はAl RegniとニューヨークSQに献呈され、スラットキン指揮ナショナル交響楽団によって繰り返し演奏されていますが、ここではリック・ヒルシュの編曲による吹奏楽版が使われています。こういう曲では、ジャズ系にもめっぽう強いオスランドSQの実力が遺憾なく発揮されています。コルグラスの作品は、曲が進むにつれてサクソフォンのソロと吹奏楽団とが互いに作用し変化していく様子が演奏からも感じ取ることができます。
なおマウアーの協奏曲は前述のアルバムと同じ音源のようです。またMarkレーベルからリリースされているケンタッキー大学ウィンド・アンサンブルのアルバムとも同一音源のようです。
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