ギリシャ神話に登場する音楽を司る神、リノスにちなんだ名前の団体。1985年にクレフェルダー(Krefelder)サクソフォン4重奏団として活動を始めて以来、メンバの変更なしに現在に至っています。
ジャケットの長身の男性たち、カッコイイですね。ファースト・アルバムということですが、オール・フレンチ・プログラムというところに気合を感じます。ドビュッシーは原曲より半音低い編曲。丹念に演奏されていますが、録音や編曲の影響もあるのか、さらに伸びやかさがでれば、スケールの大きな音楽にまとまったのでは、、と思うとちょっと残念。亡き王女のためのパヴァーヌは、ガッシリとした重厚なサウンドが印象的。原曲の優雅さ・はかなさとはちょっと異なりますが、これはこれで楽しめました。最後のシュミットは、1楽章のテンポ設定が軽め。既成の演奏に対するアンチテーゼだったら面白いのですが? 逆に3楽章はかなりゆっくりとしたテンポ設定というユニークな演奏です。今後、さらにさまざまな活動を繰り広げられるだろうことがこのアルバムからも伝わってきます。
セカンドアルバムは、アメリカのミュージカルや歌劇の曲を集めています。ウェストサイド・ストーリーは15曲をパーカッション入りのメドレー。オーソドックスな編曲かと油断していたら予想外の楽器がメロディをとったり、なかなかユニークな編曲です。虹の彼方にとマイ・フェア・レディはちょっと凝った編曲で、なかなか有名なメロディが出てこなくてじらされます(笑)。ポーギーとベスは市販譜のホルコームの編曲。どの曲もアンサンブルの縦線はきっちりしていて、なかなかがっちりしたサウンドです。やや一本調子に聴こえるので、場面転換をさらにきっちり表現したり、リリカルな表現がもう少し出てくると、さらに完成度の高い演奏になると思うのですが。技術的にはまだ余裕がありそうなので、今後の伸びしろに期待したいと思います。