"非公開の"サクソフォン4重奏、という、不思議な名前の団体。2005年に結成、マルセル・アゾッラ、シルヴェイン・カサップ、ヘレネ・ラヴァリエ、グスターヴォ・ベイトゥルマンらの作品を主なレパートリーとして活動しています。
「Nouvel Archipel」(新しい島)というタイトルからも予感させるとおり、おそらくはストーリー性を持ったアルバムなのでしょう。もしかしたら全体を組曲としてとらえるのがよいのかもしれません。曲によってはアコーディオンやウッドベースが加わったりして、気の効いた軽い音楽とも聴こえます。演奏されている音楽は、シャンソン風のように明確なメロディラインに対旋律が呼応する曲が多いですが、ややジャズ風の曲だったり、無調風の曲があったり、一つ一つの曲のキャラクターはずいぶん違います。それでも、全体で大きなストーリー性を持つ短編小説集のような不思議な統一感を感じました。今後、この団体がどういうアルバムを発表していくのか、楽しみです。
2作目のアルバムは、アコーディオンのソロとサクソフォン4重奏というユニークな編成。アコーディオンは、タンゴやシャンソンのメロディーを、哀愁漂う音色で演奏しています。フランスの下町のカフェの雰囲気、強めに焙煎したコーヒーや、ちょっと暗い色をしたカクテルが似合いそうな感じです。これは、苦みばしった大人のイージーリスニングといっていいでしょう。忘却にしてもジムノペディにしても、原曲そのままではなく、一ひねりした編曲もユニーク。いわゆるクラシカルなサクソフォンの響きを期待するとちょっと違いますが、これはこれでなかなか楽しめました。
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