オーストリアの団体。1986年にヴルホフニクの門下生で結成されました。本業はクラリネットである奏者が少なくないようですが、南米・東南アジア方面への演奏旅行や、ジャズ系の音楽祭への出演など、幅広い活動を行なっています。
サクソフォン誕生150年を記念して1991年に発表されたアルバム。オリジナルもの、編曲ものをバランス良く取り混ぜた選曲に興味を引かれ、購入。正直なところ全体にテンポはやや重めで音程も甘く洗練された出来とは言えず、定番曲では退屈に感じるところも少なくなかったのは確かですが、無理せずマイペースで、お客さんの顔を見ながら演奏してるような素朴さが伝わってきました。南アメリカはなかなか全曲録音が少ないだけに貴重です。おそらくオーストリアの作曲家の作品と思われる組曲やアンティスパスモディウムなどは、等身大の表現が良い意味で印象に残りました。グレイザー・ブムラー行進曲は、序奏からして典型的なオーストリアの行進曲!これをサクソフォン4本で演奏し表現できてしまうのが、彼らの真骨頂でしょう。バリトンが活躍する第2マーチや、曲の最後の微妙なリタルダンドまでオーストリア魂が染みていて、思わずニヤリ。
オーストリアの作曲家による、サクソフォン4重奏のためのオリジナル曲を集めたアルバム。真面目な曲の内容に加えて、演奏もあまりに真正面から切り込んでいっていて、ちょと野暮ったさを感じてしまうところもあるのですが、なぜか憎めない、人懐っこさを感じる演奏になっているのが不思議です。どの曲にもまず誠実に取り組み、音楽に昇華させる職人気質を感じたからでしょうか。天気のよいさわやかな午後、アウトドアでウィンナ・コーヒーでもゆっくり飲みながら気軽に聴くのが、このアルバムの楽しみ方のような気がします。どの曲も決定的な魅力はないもののチャーミングさを持っていて楽しめましたが、やはりわかりやすい民族組曲のカラフルな曲想が一番印象に残りました。