Quatuor Diastema


1986年に結成、フランス内外で活動している団体。メンバはそれぞれ、セルジュ・ビションダニエル・デファイエらに師事、ズビン・メータやチョン・ミュンフン、ピエール・ブーレーズ、ミシェル・プラッソンといった指揮者たちと共演歴をもっています。幅広いレパートリを持ち、今後ますます活躍が期待できる団体です。

Official Site(仏語)
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主なアルバム


「French Saxophone Quartet」

Naxos 8.554307
1996/10/30-11/2 Maison de la Musique, Saint-Jean de la Ruelle, France
  1. 民謡風のロンドによる序奏と変奏 (ピエルネ)
  2. サクソフォン4重奏曲 (デザンクロ)
  3. サクソフォン4重奏曲 (シュミット)
  4. グラーヴェとプレスト (リヴィエ)
  5. ガンマ415 (ガスティネ)

ファーストアルバムということで、フランスのサクソフォンのための重要作品が集められています。おそらく何度となく演奏してきたのでしょう、よく練られた見通しのよい演奏です。先輩たちの演奏のような華やかさは後退し、有機的に織り上げられた密度の高い音の世界が繰り広げられています。すでにサクソフォン4重奏の古典ともいえるピエルネ、デザンクロ、シュミット、リヴィエは、響きの新しさを感じさせつつ聴き手の期待を大きく裏切らないバランスの取れた演奏です。これらの演奏の後にガンマ415を聴くと、この作品が和音や構成に現代的な発想を持ち込みながら、やはり従来のフランス音楽の系譜の延長上にあることを感じることができます。

オススメ度:


「Saxophone Classics」

Naxos 8.554308
  1. 弦楽4重奏曲「太陽4重奏曲集」第5番 op.20 (ハイドン)
  2. 弦楽4重奏曲第21番ニ長調「プロシャ王第1番」 K.575 (モーツァルト)
  3. ピアノと管楽のための5重奏曲 変ホ長調 op.16 (ベートーヴェン)
    Odine DELANGLE (piano)

前作と実質的にセットとなるアルバム。ごらんのとおりハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンの弦楽曲をサクソフォンで演奏してしまった快(怪)挙盤です。しかもピアノはオディーヌ・ドゥラングル女史。これは、クラシカル・サクソのファンなら聴く前から興味津々でしょう。演奏は意外と淡々としていて、予想とのギャップに少し驚きましたが、音楽の方向性がしっかり定まっており、仕掛けもいくつも仕掛けられていて楽しめました。サクソフォンらしい華やかさは控えめなので、初心者向けではないと思いますが、腰をすえて聴きたい一枚です。

オススメ度:


「D'Ouest en Est」

画像準備中
Ames AM3004
2004/9 Grand Plateau du Conservatoire Nationale Superieur de Musique et du Danse de Paris
  1. 弦楽4重奏曲 op.11 (バーバー)
  2. サクソフォン4重奏曲 op.109 (グラズノフ)
  3. 弦楽4重奏曲第7番 op.108 (ショスタコーヴィチ)

久々のアルバムは、弦楽4重奏からの編曲を含めた、20世紀前半に書かれた大曲3曲という気合の入った内容。3曲の性格はそれぞれ異なりますが、様式の違いをしっかり捉えて無理のない音楽に仕上がっているのは見事としか言いようがありません。バーバーの4重奏は、有名なアダージョだけでなく、全3楽章の演奏です。あいにく原曲を聴いたことがないのですが、十分バーバーの個性を感じ取ることのできる演奏です。サクソフォン吹きとしては、やはり気になるのはグラズノフでしょう。ヴィヴラート控えで楽器本来の音色を活かした演奏で、サクソフォンのための書かれたこの曲の持っている弦楽4重奏的で古典的な部分を図らずもしっかり感じることができました。そして聴きものはショスタコーヴィチ。ショスタコーヴィチの弦楽4重奏曲をサクソフォンで録音はほかにもサクソフォン・クァドラットによる第8番の例がありますが、ここでの演奏はその集中力において特筆するものがあります。原曲の響きとは違っても、確かにショスタコーヴィチによる音楽であることがしっかり伝わってきます。

オススメ度:


「Ida Gotkovsky」

Corelia CC 890680
  1. 3重奏曲 (ゴドコフスキー)
  2. キャラクター (ゴドコフスキー)
    Trio VERDEHR
  3. サクソフォン4重奏曲 (ゴドコフスキー)
    Trio VERDEHR

フランスの女流作曲家ゴドコフスキーの室内楽作品集。エネルギッシュな作風は大規模な編成の曲では顕著でしたが、このアルバムでも3重奏曲冒頭のピアノの打鍵から予想通りの曲の展開。独特の和音、緻密な音の動き、複雑だが生理的なリズムなど、ゴドコフスキーの世界が繰り広げられます。ディアステマSQの演奏する4重奏曲は、録音のせいか少々シャープさが欠けているような気がしますが、よくよく聴くとアーティキュレーションや音色はもちろん、アンサンブルの方向はきっちりそろっていて、団体の実力をうかがわせます。


「Dubedout / Gaigne 70」

l'empreinte digital ED13070 (p)1997
  1. 〜8人の奏者のための (デュベドゥ)
    Ensemble PYTHAGORE
  2. KE〜クラリネット・ソロのための (ゲーニュ)
    Jean-François VERDIER (clarient)
  3. 沈黙の要素〜サクソフォン4重奏のための (ディベドゥ)
    Quatuor Diastema
  4. トレラヴェルセII〜木管5重奏のための (ゲーニュ)
    Ensemble PYTHAGORE

1958年生まれの2人のフランスの作曲家による木管のための作品を集めたアルバム。どの曲も旋律がなく、断片的な音が続く音楽で、正直私の理解の範疇を越えており、コメントできるような立場にありません。すみません。ぼけーっと聴いていると、たしかにトリップしてしまいそうな雰囲気ではあります。ディアステマSQの演奏は、そんな曲の方向に、技術的な面も含め確かにマッチしているように聴こえます。

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