1984年に結成された、現在イギリスで活動するサクソフォン4重奏団の中では活動歴が最も長い団体。現代音楽作曲家とも親交が深く、下記でご紹介するアルバムでも洗練された響きを聞かせます。2004年には活動20周年を記念し、ヨーロッパ内外でのツアーを企画しているようです。2003年より、ソプラノ奏者がStephen COTTRELから Christiam FORSHAW に変わりました。さらに、2007年現在はソプラノが Graeme BLEVINS、テナーがTim HOLMES に変わっています。
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Clarinet Classicsからのリリースは、ミニマル・ミュージック系作曲家の作品を一同に集めましたっ!という気合のプログラム。演奏の方は必要以上に力まず、自然体な演奏で好感を持ちます。ミニマルと意識せず、いい意味で聞き流すことさえできるような音楽造り。ニューヨーク・カウンターポイントは当初クラリネット11本(うち10本は先に録音、残り1本を生演奏で重ねる)の作品でしたが、この団体と作曲者とのコラボレーションによってサクソフォン12本(8本の録音+生の4重奏)のヴァージョンが出来たとのことで、独自の編曲で臨んだラッシャーSQに比べて演奏が安定していて聴き映えがよいです。ミシマは当初弦楽4重奏3番として作曲されたもの。三島由紀夫を題材にしたシュレイダーの映画にインスピレーションを得たということで、あまりオドロオドロしい雰囲気ではありません。アラリック I or IIやソングズ・フォー・トニーは、同じイギリスのアポロSQより、フランスの4auterに近い、耳あたりのよい演奏になっているのが興味深いです。トリッド・オン・ザ・トレールは平野公崇らの演奏と比較すると、デルタSQの個性が見えてきます。
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アルバム2作目はFMRレーベルからのリリース(今後も同レーベルからリリースされる予定とのことです)。アーンドレッセとその弟子フィトゥキン、フォックスらの作品を中心に演奏されています。なるほど、冒頭のSTUBを聴いて、今までイギリスの作曲家という範疇で考えていたフィトゥキンですが、アーンドレッセの弟子であることを理解できました。どの曲も現代的な響きがしますが、強烈な不協和音が続くわけではなく、ジャズや民族音楽(民謡)(の和音構成やリズム)を素材にしており、生理的になじみやすい曲ばかりです。レーベルの変化のせいか?デルタSQの演奏も前作より活き活きとしているようで、なかでもアルバムタイトルになっているフェイシング・デスの、ハードバップ系ジャズの躍動感や、ロンドンデリー・エアに素材をとったコンカレント・エアに内在する曲の精緻な作りなどを見事に表現しています。
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Formosa とは、台湾のこと。デルタSQの台湾ツアーに際して製作されたアルバムのようで、中国語による解説も含まれています。その目的ゆえか、収録時間が40分強と短いのがアレですが、オハコを中心にさまざまな要素を持つ曲が収められています。ボロッコ第1番というタイトルから想像できるとおり、まずはバロック調に開始される演奏は、しかし徐々に変容し時代を超越しますが、その展開ぶりがよく練られた演奏ともあいまってかなり楽しめました。また、ブルガリア民謡に基づく2曲は、アポロSQが同様の曲をかなり泥臭く演奏していたのに対して、デルタSQの演奏は洗練された響きになっているのが印象的。これ、実演で聴いたらかなりカッコいいだろうな、と思いました。
しかし、漢字で「三角州四重奏団」ってのは、あまりにベタな漢字訳だよなぁ、、、
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1970年代に活躍していたイギリスの伝説的ロックバンド、ソフトマシーンのカバー・アルバム。CDの表裏も、いつになくクラシックぽくない黒が基調の装丁になっています。一部の曲ではエレキベースを入れたり、ヴォーカルを加えたりしていますが、さすがにこれらの編成でオリジナルの音に近づけるアプローチは無理なので、デルタSQなりに一旦咀嚼して再構築された音楽になっています。ロック、それもサイケデリック/プログレッシヴ系という原曲を聴いてないのですが、ここでは意外にも騒々しさはなく、むしろ独特の詩情すら感じるスピリチュアルな音楽に仕上がっています。その結果をどう捉えるべきなのか、私自身は今のところ答えを見出してませんが、奇妙に思える彼らの取り組みがけして思い付きではなく、深い共感と敬愛からきていることは、音楽の端々に感じることができました。
イギリスの若手作曲家グラハム・フィトゥキンの作品集。作風はナイマンに似ていて、ミニマル風のメロディに明確なリズムが響きます。このアルバムの中で、デルタSQがSTUBを、またジョン・ハール・バンドがCUDを演奏しています。STUBはクォーツSQの演奏もありますが、録音のせいかこちらの演奏の方がよりシャープで明晰な響きを感じます。
このアルバムで私が気に入ったのは、1曲目のHOOKで、複数のマリンバを主体にしたパーカッション・アンサンブルが繰り広げる音楽は、時折挟まれる変拍子も違和感なく、理屈抜きに楽しい響きがします。
なお、このアルバムは Decca の「British Music Collection」として、
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