2005年東京藝術大学の同窓生で結成された4重奏団。2008年にはリサイタルを行ない、以下でご紹介しているCDをリリースするなど、積極的な活動を展開しています。
団体名をそのままアルバムタイトルにした、彼らのデビューアルバム。プログラムは、オリジナル作品からサクソフォンの古典、映画音楽、コンテンポラリー、クラシックのアレンジ、委嘱作品まで実に多彩ですが、フランス風の艶やかさと軽やかさ・透明感を両立させた魅力的な音色と卓越した技術に支えられた演奏はみごととしか言いようがありません。どの曲にも過度に思い入れや客観性に走ることがなく、完成度の高い演奏を繰り広げています。グラズノフでは相当な思い入れで演奏に臨んだのでしょう、緻密に計算され尽くし、またそれをきちんと演奏し尽くしている様子がうかがえます。特に印象に残ったのはアレグレットとプレスト。クローバーSQは石毛里佳さんの作品をこのほかにもレパートリーとしていますが、作品の持っている重層的な響きと時間軸の二元性を、クローバーSQは実に鮮明に音楽空間に築き上げています。
最後のチャイコフスキーでも最後までベクトルがきれいに定まっていて、颯爽とした印象の残るアルバムですが、ぜひ次のアルバムではもっと艶っぽい響き(笑)も聴いてみたいという気もします