フランス語で「木漏れ日」を意味するクレア=オブスキュアを名前にした団体(洒落てますね!)。1997年に Hochschule der Kunste Berlin で学ぶ学生4人で結成されました。主にドイツ国内で活動しており、今後の活躍が期待されます。
2004年、新しいCDをリリースしたと、テナーのクリストフ・エンゼル氏より直接ご案内頂きました。以下でご紹介しているCDもたいへん楽しめたので、新しいCDも入手次第ご案内したいと思っています。
ドイツの団体のデビュー・アルバムは、なぜかすべてイギリスの曲ばかり(ドイツ出身でロンドン在の作曲家の曲を含む、CDに曰く「英語を話す作曲家たち」)。ドイツの団体というと、どうしても先入観をもって聴いてしまうのですが、このアルバムはいい意味で先入観を覆してくれました。表現力や技術、特に音程などで気になる面はないわけではありませんが、この団体の演奏には躍動感と愉悦感があります。要は、聴いていて楽しいのです。ベネットやナイマンの曲以外の2曲は、初めて聴くにもかかわらず、とてもエキサイトして聴きとおしてしまいました。
なお、CDの入手には、テナーの Christoph ENZEL 氏に多大な御協力をいただきました。感謝!!
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このアルバムでも、クレア・オブスキュアSQはよく練られたアンサンブルを聴かせてくれます。フランス(や日本)の団体とは異なる音色ですが、さまざまなスタイルの曲に柔軟に対応する実力をうかがわせます。かつ、嫌味のない程度に自己主張も盛り込んでいるあたり、この団体の見識を感じます。アウレリアSQのリンデン氏編曲の楽譜を使ったパリのアメリカ人でのジャズのセンスはなかなかですし、イタリア協奏曲でのけして重くならない推進力を保った演奏もユニークです。ボザの名曲は聴きなれた華やかな演奏とはまた違う、この曲に内在するラプソディックな部分をしっかり描いた佳演。ニューヨークのベックマンをガーシュウィンと同じアルバムに収録したのも意図的でしょうか?高層ビル街にさまよいこんだ孤独なマックス・ベックマン、という印象(すみません、曲目解説がドイツ語なので、読めてません)。作曲者はロックなども積極的に手がけているようで、この曲にもロックの断片を感じ取ることができました。全体に少々まじめな印象があり(随所で遊んではいますが、、)もうひとつ突き抜けるとさらにすばらしい演奏になると思うのですが、これからまだまだ成長が期待できる楽しみな団体です。
うーむ、彼らがアイスラー、モリコーネ、ナイマンを積極的に演奏しているとは、、レパートリーの選曲にも美意識を感じます。もちろん演奏も悪いわけがなく、どの曲も手抜きなく彼らなりのプレゼンテーションを行なっているのはさすがです。アルバム・タイトルのサウンデットは、1作目のアルバムにも曲を提供しているフォスケットの3つの小品の1曲で、ppで響くのばされた音の重なりが和音を構成し、やがてソプラノが浮き上がってくる瞑想的な作品。続いて収められているC in NYはスラップ・タンギングの連続がユニークな音世界を作り上げます。チルドレンズ・ソングはアポロSQのゴリゴリした演奏とは対極的な、メロディラインの美しさを前面に押し出した演奏で、この曲(をサクソフォンで演奏する意義)の新しい魅力をみせつけられました。
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