1989年に結成されたサクソフォン5重奏の団体。ソプラノ奏者でパリ音楽院出身のエマニュエル・エローをリーダにフランス出身のプルミエ・プリ奏者で構成されています。すでに活動歴が長く、今後も期待したいところです。
古今の耳になじんだ曲を中心に構成されたアルバム。4重奏で聞き慣れたシバの女王なども、5重奏だと心なしか華やかに聴こえます。どの曲も肩肘張らず、しかしマジメに演奏に取り組んでおり、演奏に安定感があって不安を感じさせません。アンサンブルも息が合っていて、特別なことをしているわけではありませんがまずはたいへん楽しめました。5重奏のオリジナル曲が少ないのはやむをえないところでしょうが、この団体のために書かれたアトゥ・サックスや名編曲者ホロコームの手による5重奏曲などはやはりしっくりきます。全体に音が短めに処理されていますが、これは大きい編成でキビキビとした音楽作りをするためでしょうか。サマータイムやバードランドの子守唄といったジャズのスタンダード・ナンバーでは羽目をはずさない程度に奏法を崩しノリよく切りぬけるのはさすが。
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アトゥ・サックスの5重奏は、音の数が多い分4重奏よりも華やかなのですが、技術が確かなせいなのでしょうか、重さを感じさせません。明快な響きはヘンデルやプレトゥリアスのような古典的な曲によくあります。が、気になるのはさりげなく紛れ込んでいるサヴァリの5重奏。奏者5人の腕前が揃っていると、曲がますますおもしろく聴こえるから楽しいものです。願わくば、この団体の実力からして、もっと多彩な表現・表情を聴きたいものです。
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