ジャン=ピエール・バラグリオリの主催するサクソフォン4重奏団。ということしかわかっていません。だって、CDのジャケに解説がいっさいないんだもの。どなたか実態をご存じの方、教えてください。挑発的なアルバムを続々発表していて、今後が楽しみです。一応、 web ページもあるようなのですが、あまりたいしたことはかいてないので。(というより、フランス語ばかりで、よくわからない ^^;)
2002年、「Suites」と題したピアソラの作品集をリリースしたようです。ピアソラ作品集とはいえ、4uatreのこと、ちょっと癖のある選曲。じきに日本にも入荷することでしょう。
なんとも人を喰ったアルバムです。まず、ジャケからして異様です。はっきりいって、コワいくらいです。このジャケを見て買うのをためらった人も多いでしょう。で、開封してみると、内側のメンバ紹介が全員赤ん坊の写真という、限りなく高校生の演奏会パンフのノリ。ところが収録しているのは、ヴェローヌの作品集、しかも組曲「野獣園」がよく演奏されるイルカだけでなく、全曲演奏されています。それも、かなりしっかりしたレベルで。うーん、びっくり。ところで、この Daphénéo というレーベルですが、CD番号の付け方が、発売年月をそのまま意味してるようで、なんともいいかげん(笑)。
なお、以下のアルバムは、すべて4quatreの公式ページで、サンプルの WAV ファイルを聴くことが出来ます。
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クラシックのアルバムではないのですが、一応ご紹介。サクソフォン4本(1曲目のみ作曲者が参加して5本)によるジャズ・アルバムで、すべてジャン=クロード・フォーレンバックの作品。楽器の特性から、あまり強いビートやスピード感は打ち出さず、けだるい甘さを醸し出す曲がほとんどです。しかし、このアルバムでも、曲名の紹介がなぜか1、2、3、7、4、5、6、8、9、10の順になっていたり、ジャケ表で作曲者を4足の靴が取り囲み、ジャケ内側で 4uatreメンバがそれぞれ靴の位置に立っていたり、と、アルバム作りに不思議なセンスを感じます。
これまた、鳥の巣箱みたいな絵のなんとも無気力なジャケ。内側も、前衛なんだか子供が描いたのか分からない絵が描かれていて、曲の解説なんかどこにも書いてありゃしない。収録曲は現代イギリスものを中心にした、けれどけして耳障りに響かない曲を、エレガントに演奏してみせます。このミスマッチ、前作といい確信犯ですね。ソングズ・フォー・トニーをアポロ・サクソフォンQの演奏と比べると、まるで別の曲のように聴こえます。むしろデルタSQの演奏に近いです。こちらのアルバムには、アラリック I or IIも重複しているので、聴き比べにいいかな。組曲「ファウスト」もバラグリオリのソロ+オケ伴奏version と聴き比べるとおもしろいです(私はオケ伴の方が好きですが)。
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サクソフォンによる、ギャビン・ブライヤーズの作品集。CDショップでも「サクソフォン」の棚でなく「現代音楽」の棚に置かれているかもしれません。アレグラスコは当初ソプラノ・サクソフォンとピアノのために書かれた作品で、管弦楽伴奏のヴァージョンはこの録音のためにソリストのバラグリオリの委嘱で書き直されたものです。また3つのエレジーは、9本のクラリネット(Bクラ4本、アルトクラ2本、バスクラ2本、コントラバスクラ1本だそうです)のために書かれた作品を、アルト奏者のベレクがサクソフォン4重奏用に改めたものです。3つのエレジーは多重録音によるもので、ソプラニーノやバス・サクソフォンの音も聴こえてきます。というわけで、サクソフォンのオリジナル作品だけではないのですが、作曲者と演奏者の緊密な交流に裏づけられた、ブライヤーズ・ワールドがここにあります。アラリックI or IIは前のアルバムのテイクと同じです。なお、タワーレコード発行の「musée」Vol.18で、バイヤーからのおすすめCD として紹介されていました。
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目下4uatreの最新アルバム。アルバムタイトルになっているピアソラ作品を始め、ピアソラもののみならず、幅広いタンゴ〜アルゼンチン音楽が集められているのがユニークです。一部アルゼンチン以外の作曲家による作品もはいっていますが、随所からアルゼンチン音楽への憧憬がアルバムの随所から感じられます。
タイトルを知らなくても(本当はタイトルが日本語に訳せないんです。すみません)、聴いてみるとなんだか懐かしいようなこそばゆいような、琴線に触れるような曲が多いのはなぜでしょう? 南米の音楽、たとえばコンドルは飛んでいくのような、明るくもどこか物哀しい曲想が、不思議と印象に残りました。
ベイテルマンによるスペシャル・アレンジも、4uatreが意を汲んで演奏していて、楽しめました。なんというか、カフェで聴くアルゼンチン音楽、という雰囲気です。録音のせいもあると思いますが少々メリハリに欠けるのが残念です。
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