1971年生まれのフランスの若手サクソフォン奏者。パリ国立音楽院を卒業、リモージュ音楽院を始め欧米で教鞭を執りながら、ソロ活動はもとよりエムファシスQのアルト奏者としても活躍しています。現在はヤマハ・スポンサード・アーティストとして、同社の楽器を使っています。
1995年よりラムルー管弦楽団(日本人指揮者の佐渡裕氏が棒を振ってることで有名ですね)のサクソフォンの第1リストとなっています。以下でご紹介したアルバム以外に、Erato、Naxos レーベルからリリースされている同オケのラヴェルやイベールのアルバムで、「ボレロ」や「海の交響曲」などのソロを演奏しているのは、クレジットは明記されていませんがプロストのようです。
なおプロスト氏については波多江氏のページにも紹介されていますので、ご一読ください。
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まず冒頭のカプリスの鮮やかさに圧倒。つむじ風が通り過ぎて行くようなスピードです。そう、まるで同名のF1ドライバーの走りを思い起こさせるよう(寒いギャグでスミマセン)。幻想曲での歌心も素敵。ファジイ・バード・ソナタやクレージー・ラグは少々音の線が細いせいか(録音のせい?)、さらに表現の幅が感じられるとよいのですが(またそれが可能な奏者だと思います)。メガラは重音や声を多用した現代曲ですが、ここで聴くことのできる声がまた発声法に基づいたしっかりしたもの。なんでも、ちゃんと声楽を学んだ経歴があるそうで、納得。最後のアストゥーリアスですが、これをソロで演奏するとはびっくり。全体にフルモーばりに速いパッセージを吹きこなし、若さがと快活さが前面に出ていて、アルコールにたとえるなら白のスパークリグ・ワインというところでしょうか。おそらくデモ目的のCDなのでしょうが、プロストの実力とさらなる可能性を十分感じることのできる一枚。今後、どんなフルボディのワインに化けるか楽しみです。
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ソロ2作目は、一ひねりもニひねりもある選曲。ヒンデミットはサクソフォン・ソナタではなくてヴィオラ・ソナタ、ドビュッシーはラプソディではなく3重奏曲をアルト、ピアノと。ソナタは世界初録音。最後のダンスでは4重奏も聴かせてくれます。アルバム1作目は若さあふれる快活な演奏の印象が強かったのですが、こちらのアルバムはどちらかといえば慎重・端正な、より内面的な充実の印象が残りました。ヴィヴラートの少ないストレートな音色もその方向を裏付けているようです。私の好みとしてはもう少し雄弁な演奏も聴いてみたいと思いましたが、演奏者の個性や方向性もしっかり打ち出されたアルバムの充実度には満足しました。さて、次はどんなアルバムで楽しませてくれるでしょう??
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レカペレイン、プロスト、そしてピアノのワグシャルによるトリオ・サクシアーナによる録音。サクソフォン2本+ピアノという編成は、実演に接する機会はあるものの、恒常的にこの編成で活動している団体を聞かないだけに、この録音は貴重です。まず1曲目、ピアノのうねりをきいた瞬間のバックスが海を想って書いた曲、とピンときました。
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