1964年ベルリン生まれのサクソフォン奏者。ベルリン芸術大学でオマル・ランパーターとデトルフ・ベンズマンに師事し、卒業後クロード・ドゥラングル、ジャン=マリ・ロンデックス、イヴァン・ロスのマスタークラスに参加しました。1993年以来ピアニスト池谷より子とのデュオ活動をはじめ、ミュンヘン放送交響楽団、ドイツ・ベルリン交響楽団、フランクフルト州立ライプツィヒ管弦楽団などのオーケストラに客演するほか、アントン・ヴェーベルン4重奏団他の参加し現代音楽を中心に演奏活動を行なっています。
Check it amazon.com ! アマゾンでチェック! |
やられた! というのがこのCDを手にした最初の印象。4重奏曲の作曲者として知られているサンジュレのソロ曲のほとんどを集めたアルバムは、ありそうでなかった企画。数曲を録音したものはショウラキやドゥラングル、ボーンカンプなど今までもCDがありましたが、1枚まるごとというのは貴重で、テナーやバリトンのソロ曲も多く含まれており資料的価値が大です。すべて8分以下の小品で、曲そのものがあまり高度な技術を求めていないこともあって、ソプラノからバリトンまでを持ち替えて技術的に破綻のない演奏に仕上がっています。ともするとただの資料的価値にとどまってしまうこの手のアルバムですが、けして十分とはいえない曲そのものの魅力をポジティヴに引き出した音楽性に拍手を贈りたいと思います。
ピアノの池谷より子氏は、桐朋音楽大学卒業後ドイツに渡りベルリン芸術大学に学び、ベルリン内外でソリスト・伴奏者として活躍しています。
しかし、最近のドイツのサクソフォン界は、活気づいていて、この先が楽しみです。
オススメ度:
Check it amazon.com ! アマゾンでチェック! |
セカンドアルバムも、カルク=エレルトがサクソフォン・ソロのために書いた曲の収録という意欲的な内容。この曲が書かれた1929年といえば、マルセル・ミュールがギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団内で4重奏を結成(1928)し、またラヴェルがボレロ(1928)でサクソフォンを使うなどクラシカル・サクソフォンの活躍黎明期であり、サクソフォンのための本格的なオリジナル作品もまだ少ない時代でした。なぜこの曲が書かれたのかは不明で、おそらくはエレルトの全く自発的な作曲らしいというのも不思議。また一部を除いて楽器指定がないというのもユニーク(個々では、ペータースが考えて楽器を選んでいます)。また、これまでまとまった演奏記録もほとんど見られないということもあり、私としてはぜひ聞いてみたい曲のひとつでした。なるほど、カプリスとソナタというだけあって、自由に曲調が展開するカプリスが25曲と、4楽章形式のソナタから構成されています。一部の曲でテンションコードの多用などジャズの影響を感じさせたり、旋律の使い方が民族音楽の影響を感じさせる箇所もありますが、全体としては独創的でユニークな曲となっています。ペータースの演奏も、曲の内容を12分に引き出す好演で、これを機にこの曲の知名度があがれば、と期待したいところです。
オススメ度: