Andrea PAULSSON


スウェーデンで活躍するサクソフォン奏者、アンデシュ・パウルソン。1978年にロイヤルアカデミーを卒業後、渡仏しジャン=マリ・ロンデックスに師事、さらに渡米してジャズの即興演奏を学びました。もともとテナー・サクソフォンを中心に吹いていましたが、渡米の際にソプラノ・サクソフォンに目覚め、以後はソプラノ・サクソフォン(専門?)を吹いています。1991年にカーネギー・ホールにデビューして以来、欧米を中心に演奏活動およびマスタークラスでの指導を積極的に行なっています。演奏は数多くの協奏曲や献呈されたオリジナル作品を初演していますが、ほかにもジャズから民族音楽に至るまで多岐に渡っており、特にジャズの腕は相当のよう。また、作曲家としても活動しており、サクソフォンの作品以外に映画音楽なども担当しています。

以下のアルバムのほかにも、室内楽、ジャズ、クロスオーヴァなどの録音が多数あるようです。

Official Site(英語・スウェーデン語)

主なアルバム

「A date with a soprano saxophone」

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Caprice CAP 21668
2001/9/17,19 Concert Hall, Nybrokajen 11, Stockholm (midnight - 5am)
  1. 子守歌 (パウルソン)
  2. ワルツ形式のカプリス (ボノー)
  3. シュリンクス (ドビュッシー)
  4. オディヴィウスによる6つの変容 (ブリテン)
  5. セクエンツァVII (ベリオ)
  6. 酒神礼賛 (ベック)
  7. さざ波とポルスカ (N.リンドベリ)
  8. 即興曲とカプリス (ボザ)
  9. ソプラノサクソフォーンと電子音のための「Dinkum Thinkum」 (ブレーマン)
  10. 海への賛美歌〜映画「タイタニック」より (ホーナー)

パウルソン待望(個人的に ^^;)の、クラシカル・ソロ・アルバムは、Caprice レーベル初のSACD(普通のプレーヤでも聴けます)。1曲目の自作の子守歌がスピーカから流れてきたとき、直感的に「海」「夜」のキーワードがひらめきました。解説を読んでみると、確かにパウルソンの演奏には「海」がキーワードとして含まれており、また深夜(真夜中から朝5時まで)のレコーディングということで、なんとなく納得です。ボノーボザなどサクソフォンの古典的な作品は、ここでは伝統に縛られずパウルソンの感性を優先させた演奏になっており、新鮮。またセクエンツァVIIb(IXbではなく)も今までにない繊細な表現をたのしめました。一部の曲はやはりアルトの芯の太い音による演奏が耳になじんでいるせいか、さらに表現の幅を期待したい箇所もありましたが、パウルソンの自信にあふれたソプラノへの偏愛は充分に伝わってきます。最後の海への賛美歌ではどことなくジャズの雰囲気も感じられる一方、私にとっては映画で効果的に使われていたイーリアン・パイプの音色を思い起こさせてくれました。

オススメ度:

「21st CENTURY SWEDISH COMPOSERS: 3 New Concertos

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Intim IMCD 072
2000/9 Västerås Concert Hall, Sweden
  1. クラリネット協奏曲 (D.ネルソン)
    Niklas ANDERSSON (clarinet)
  2. 銀河からの歌 (ヘンリソン)
    Svante HENRYSON (cello) / Lennart SIMONSSON (piano) / Sven LINDVALL (electric bass) / Jonas SJÖBLOM (drums)
  3. ソプラノ・サクソフォン協奏曲 (ホグベルグ)
    Andres PAULSSON (sax)

Glenn MOSSOP 指揮 ヴァーステラス・シンフォニエッタ

タイトルどおり、スウェーデンの若手作曲家による協奏曲を集めたアルバム。当然、現代音楽にカテゴライズされるわけで、どんなトンガッた音が出てくるがちょっとびくびくしたが、たしかに不協和はそこそこするもののあまり違和感がなく安心。クラリネット協奏曲ではこの楽器の素朴な面、透明な面、ひょうきんな面などいろいろな"面"を楽しむことができました。次の銀河からの歌は、タイトルとソロ楽器を見てわかるように、限りなくイージーリスニングというかスピリチュアル風のサウンド。もちろん、協奏曲として一本スジの通った音楽で、21世紀に向けた新しい形の協奏曲、であることには違いありません。横で聞いていた同居人が、思わず「コレいいね」とニコリとしました。さてソプラノ・サクソフォン協奏曲は、しっかりした曲の構成もさることながら、パウルソンの透明で凝縮された音色と、卓越した技術に裏打ちされたストレートな表現が印象的。ダイヤモンドダストが陽光にきらめくのを見ているような美しさです。それぞれの作曲家の個性、演奏者の個性がいい方向に感じられ、とても楽しめたアルバムでした。アルバムタイトルどおり、この作曲家たち(そして演奏者たち)は、さらに美しい音楽を生み出してくれることは間違いないでしょう。

Intim 社のこのCDの紹介はこちら(英語)

オススメ度:

「Spirituals」

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BIS Northern Lignt CD-5006
1997/5 St.Jacob's Church, Stockholm
  1. ディープ・リヴァー (黒人霊歌)
  2. 貧しい施主はやがて家を構えた (ジョンソン編)
  3. 主は預言者ダニエルをお救い召さらなかった (ヘイウッド編)
  4. 主よ、なんという朝でしょう (バーリー編)
  5. Ain't Got Time to Die (ジョンソン)
  6. 豊かな場所 (ショウ)
  7. カンタータ「イエスの足許」 (クラウド)
  8. 明けの明星 (パウルソン編)
  9. 今宵の奇蹟の前に (シャーク)
  10. アメージング・グレース (パウルソン編)
  11. ジョー・ロビンのための子守唄 (パウルソン)
  12. 身を寄せるところなき者たちのための賛歌 (パウルソン)
  13. ソプラノ・サクソフォン、合唱とオルガンのためのトッカータ (パウルソン)
  14. ソプラノ・サクソフォン、ピアノと合唱のための「ホノノ」 (アモン)

Gary GRADEN 指揮 聖ヤコブ合唱団

ずいぶん前に購入したのですが、ここで紹介するものとはちょっと違うかな、と思い、手元で楽しんでいました。しかし、アンデシュ・パウルソンについて紹介するにはかかせない録音であり、基本的にクラシックといえるので、あらためてここでご紹介。

タイトルどおり、黒人霊歌、またはそれに近い雰囲気を持つ曲が集められていてます。たしかリリース当初は、星空のジャケットということもあってクリスマス向けアルバム的に扱われていました。洗練された合唱で演奏される黒人霊歌は、いわゆるゴスペル調のそれとは異なる、さながら賛美歌。そこに輝かしいソプラノサクソフォンが加わると、さながら宇宙のさざめきを聴くような響き。黒人霊歌のオリジナルの要素である「神との対話」は確実に内在しており、ゴスペルの力強さとはまた違いますが、これはこれで楽しめます。パウルソンによる自作や編曲も含まれており、多才さを感じることができる一枚です。

BISのこのCDの紹介はこちら(英語)

オススメ度:

「Hymn to Life」

Caprice CAP 21732
2004/1-4 St.Jacob's Church/Church of Tyresö, Stockholm
  1. 牧場を行く御姿を (パウルソン)
  2. ダニュガンの聖地 (パウルソン)
  3. 群島の水彩画 (パウルソン)
  4. 前奏曲 (パウルソン)
  5. 昇天日の朝 (パウルソン)
  6. 風はどこから? (パウルソン)
  7. 人生への讃歌 (パウルソン)
  8. (パウルソン)
  9. 前奏曲 (パウルソン)
  10. 春の力 (パウルソン)
  11. 春の星は大きく (パウルソン)
  12. イン・モーション (パウルソン)
  13. 待降節の音楽第1番 (パウルソン)
  14. 待降節の音楽第2番 (パウルソン)
  15. 待降節の音楽第3番 (パウルソン)
  16. 4つの黒人霊歌 (パウルソン)

Gary GRADEN 指揮 聖ヤコブ合唱団

こちらは、パウルソン作曲の合唱曲集。全曲ではありませんが、パウルソンのソプラノ・サクソフォンも参加しています。教会の合唱に、時折加わるパーカッションやベース、そしてソプラノ・サクソフォンが奏でる音楽は、前作同様に耳に優しく、透き通るような不思議な響きです。サクソフォンは間奏やメロディの間でアドリブ的なフレーズを担当しており、積極的に音楽の主導権を握ることはなく、あくまで合唱がメイン。いわゆるクラシカル・サクソフォンのアルバムとは言えないと思いますが、しかしクラシックにおけるサクソフォンのありかたについて、ひとつの方法を感じることができました。

オススメ度:

「The sky, the flower and a lark」

Proprius PRCD 2011
1999/7/1,5 Järna Kyrka, Dala Järna, Sweden
1999/12/3 Storkyrkan, Stockholm [h(sax),i,r] Live
2001/9/28 Storkyrkan, Stockholm [p]
  1. 愉快に踊ろう (民謡)
  2. 素敵な夏に (ニルス・リンドベリ)
  3. 水の精のポルスカ (ニルス・リンドベリ)
  4. すべて天空のもとに (ニルス・リンドベリ)
  5. 一度ぼくと並んで (ニルス・リンドベリ)
  6. 気高き水晶 (ニルス・リンドベリ)
  7. 判事の踊り (ニルス・リンドベリ)
  8. As You Are (レッド・ミッチェル)
    Anders PAULSSON, Hans ÅKESSON, Krister ANDERSSON, Joakin MILDER, Peter GULLIN (saxophone) / Nils LINDBERG (piano) / Jan ADEFELDT (bass) / Bengt STARK (drums)
  9. 至上の愛 (コルトレーン)
  10. マーリットの歌 (ニルス・リンドベリ)
  11. ひばり (ニルス・リンドベリ)
  12. (ニルス・リンドベリ)
  13. ある春の小品 (ニルス・リンドベリ)
  14. だが彼女が休息するとき (ニルス・リンドベリ)
  15. 空と花と一羽のひばり (ニルス・リンドベリ)
  16. ヴォーカリーズ (ニルス・リンドベリ)
    Anders PAULSSON (saxophone)
  17. 夏の家畜小屋の古い賛美歌 (ニルス・リンドベリ編)
  18. 雅歌 (ニルス・リンドベリ)
    Anders PAULSSON (saxophone) / Nils LINDBERG (piano) / Jan ADEFELDT (bass)

Gustaf SJÖKVIST 指揮 グスタフ・シェークヴィスト室内合唱団

作曲家であると同時にジャズ・プレイヤーでもある、ニルス・リンドヴェリの合唱作品集。一部、レッド・ミッチェルやジョン・コルトレーン作品の編曲もありますが、それらも実質的にリンドベリがほとんどの部分を創作しており、実質的には原曲を素材としたあたらしい作品といえるでしょう(人の作品をコラージュして自作と称するのに比べてなんと謙虚!)。正直なところ、私、合唱曲は言語の問題、つまり微妙な意味を理解するということに加えて、韻の問題や歴史的・文化的・宗教的背景の知識不足から食わず嫌い的に敬遠していました。しかし、このアルバムは、曲そのもののもつその素朴さを活かしたストレートな曲が、研ぎ澄まされた演奏で実を結んでいてたいへん楽しめました。さらには、作曲者の精通するジャズの要素も適度に加わっています。もちろん、これで歌詞の言葉の意味を充分に理解できれば、もっと楽しめるのでしょうけどね。

パウルソンはこのアルバム中3曲に参加しており、As You Areではサクソフォン5重奏(SATTBという中音充実がウレシイ)+ピアノ(作曲者による)+ベース がイントロを飾りますが、軽いジャズの雰囲気漂うオシャレな感じが素敵。ヴォーカリース、雅歌でのソプラノの演奏もやはり同様な傾向で、ジャズも好きなクラシック・ファンの方にオススメしたいアルバムです。

PropriusレーベルのこのCDの紹介はこちら(英語)

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