沖縄生まれのサクソフォン奏者。冨岡和男、須川展也に師事、東京芸術大学音楽学部を卒業し、東京文化会館推薦音楽会に出演、第10回日本管打楽器コンクール・サクソフォン部門で第一位受賞、また第51回ジュネーヴ国際音楽コンクールではセミファイナリストとなりました。リサイタルをはじめ東京サクソフォンアンサンブルや、サクシディア、「サクソフォーン・アンサンブルI サクソフォーン八重奏 須川展也と若き名手たち」の録音をはじめ、アコースティックユニット「といぼっくす」にも参加しています。また国内外のオーケストラのと共演も数多く行ないました。1998年には映画「ナビィの恋」に出演、音楽も担当しました。現在は洗足学園大学、くらしき作陽大学、尚美学園で講師を務めています。
沖縄民謡をはじめ、ブラジル、ベネズエラ、スペイン、アメリカ、、とさまざまな国の"歌"を集めたアルバム。どの曲でも大城氏のサクソフォンは小細工なく優しく、理屈抜きに聴く人の魂に響かせるようなアプローチに好感を持ちました。ギターの高田氏とのコンビネーションもすばらしく、サクソフォンとギターとの相性のよさをあらためて実感しました(他にも須川氏のアルバムやオランダのデュオの例があります)。なかでもルーマニア民俗舞曲はジプシーがシタールをつまびいているのを聴いているような錯覚を感じ、ベネズエラの4つの小品の適度にエキゾチックなメロディにゾクッときました。民謡にまぎれて吉松氏の3つの異郷の歌が収められていますが、無国籍ならぬ国籍を超越したような吉松節はアルバムの中で浮くこともなく、委嘱作品ということもあってか楽器の特性を十二分に発揮されていて納得の1曲でした。スペイン民謡組曲より(CDでは6つのスペインの民謡と表記、原曲がピアノのための7曲の作品のためここではこう表記しました)ではもう少し深い情感も求めたいところですが、これからの活動に期待したいところです。。
ところで天の川、あみだぼり、おもろうたは三絃他の楽器だけつまり純沖縄スタイルで演奏されており、大城氏の参加は最後の歌や歌のみ、それも1分少々の短い演奏。アルバム全体のコンセプトは斬新で理解はできるのですが、クラシカルサクソフォンのファンとしては(同時に沖縄音楽ファンでもある私としては)この点が少々物足りないです。泡盛のグラスを手に聴きいたヨッパライのワガママなのですが、アルバム最後でそれが少し解決するのがせめてもの救い、でしょうか。
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