1949年に現ロシアのクラスノヤルスク州に生まれ、ロシアでで活動するサクソフォン奏者。グネーシン音楽大学でクラリネットを専攻し1971年に卒業、1974年より同音大のサクソフォンとアンサンブルの教職につきます。グネーシン州立音楽教育機関でマルガリータ・シャポシュニコワに師事し1976年に卒業(順序あってるのか?)、1978年にキューバのハヴァナ国際学生(?)音楽祭で、また翌年ミンスクでの全ソヴィエト木管楽器コンテストで優勝をしています。1984年からはグネーシン・ロシア音楽アカデミー(いろいろあるんですね、、)でサクソフォンとジャズ・アンサンブル、即興演奏法を教えています。
一方1974年から1984年までレフ・ミハイロフ率いるモスクワ・サクソフォン4重奏団のメンバーとして活動(ということは、グラズノフの録音にも参加しているのでしょうか)、1972年から1989年までイゴール・ブリルの率いるジャズ・アンサンブルでソリストを務め、1989年からはグリーン・ウェーヴ・ジャズ・アンサンブルを率いています。
経歴からもわかるとおりクラシックよりもむしろジャズの分野で活躍しており、6枚のリーダーアルバムをリリースしているほか、"The School of Jazz Improvisation for Saxophone"(1997 "Kithara"press, reprinred from Mikhail Dikov Pub.2002)をはじめジャズ奏法に関する著作があります。
かつて複数毎のLPとしてリリースされていたアルバムのCD化のようです。1曲目のヴェニスの謝肉祭からその名人芸ぶりは全開。その驚異的なテクニック(と楽器に息を充分吹き込む奏法)は、師であるシャポシュニコワに通じるものがあります。その奏法ゆえかプロヴァンスの風景のような、繊細さを求めたい曲ではやや不満もありますが、曲の最後のテヌート気味の演奏がちょっと印象的。息をつく暇もないようなボザのソロ曲や、アプシルのソナタでの鋭角的な表現は一聴の価値がありますが、やはり最大のききものはジャズの要素がちりばめられているSuite if Moodsでしょう。ジャズ・シーンで活躍しているオセイチュクですが、ここはそういう要素を大事にしつつ、クラシカルな奏法で吹ききっており、それゆえに曲のおもしろさが十二分に伝わってきます。
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