世界で最も高年齢でプロ・デビューしたサクソフォン奏者。1926年アイオワ州に生まれたネヴィンスは12歳でサクソフォンを始めて、翌年にはテナー・サクソフォンでコンテストに出場し全米最終選考まで残ったという天才?ぶり。さらに16歳で「ハンガリア舞曲」を演奏し全米コンテストで高い評価を得ました。その後は伴奏ピアノ奏者として活動していましたが、就職・結婚して演奏活動を離れていました。そして52年ものブランクの後、1995年に古いサクソフォンの録音を聴いて再び楽器を吹きたくなり、楽器を手にして数週間後には3つのバンドに参加するようになりました。1996年にはカナダにポール・ブロディを訪れて師事、1999年11月についにニューハンプシャーのワーナー・ギャラリーでプロ・デビュー・コンサートを開くに至りました。このときネヴィンスは73歳、現在は奏者として、またサクソフォンとピアノの指導者としてニューハンプシャーを中心に活動しています。以下のCDをリリース後、さらに「Saxophone Treasures」「Saxophone Gems」の2枚をリリースしました。
おそらく自主制作と思われる盤で、ブックレットもPCで作成した手作りと思われます。選曲はタイトルどおり一昔前の懐かしいナンバーばかり。演奏は、3オクターブ目の音域に入ると音が明らかにかすれ、音程やリズムもたどたどしく(ピアノのフォローぶりに感心!)、正直なところアマチュア奏者の方が上、と思われる出来です。しかし、このアルバムについて技術的なことをどうこう言っても仕方がないでしょう。なぜ彼女は70歳近くになってサクソフォンを再び手にし、プロ・デビューまでしたのでしょう? それを考えることが、聴き手に委ねられているのではないでしょうか。