1975年に東京芸術大学を卒業、故阪口新・故大室勇一の各氏に師事しました。その後日本人として初めてパリ国立音楽院のサクソフォン科に入学、D.デファイエ氏に師事、室内楽をG.ドプリュ氏に師事して、最短期間で審査員全員一致の一等賞を取って卒業しました。1978年にはギャップ国際サクソフォン・コンクールで日本人初の入賞を果たします。帰国後1982年からリサイタル、オーケストラの客演などの活動を行ない、特にカラヤン指揮ベルリン・フィルの日本・中国公演の際にはカラヤン自身の指名で「展覧会の絵」「ボレロ」のソロに招かれました。
最近では国内外で各種コンクールの審査員として招かれたり、後進の育成に精力を傾ける一方、1987年には自身がリーダとなり若手3人を集めて4重奏団「サクシデア」を結成し、CD録音とリサイタルを行ないました。なお、使用楽器は SELMER Super Action 80II と記載があります。
最近、新しい録音がないのが残念です。武藤氏の円熟した音色をすばらしい録音で聴きたい、と思うのは、私だけではないはずです。
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フランスものを中心に、サクソフォンのレパートリとしてはスタンダードな曲を集めたアルバム。このアルバムも、どの曲も破綻なく堅くまとめられていて、模範演奏としては好適でしょう。しかし全体にもう少し余裕と色気がほしく、例えばプロヴァンスの風景は"プロヴァンスの油絵"とでもいいたいような出来で、もう少し乾いた、かつ躍動的な風景を描いてほしかったです。このアルバムで特筆すべきは、伴奏の藤井一興氏の的確なサポート。スカラムーシュで Vif の最後の和音が響くタイミングの絶妙さに、私は思わずブラボー!と叫びたくなりました。
オススメ度:
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ソロアルバムの2作目は小品集です。どの曲も手堅く、ヴィヴラートの効いた音色、特に中低音域の透き通るような音色が印象的です。1曲目の妖精の踊りでは、いきなり高速タンギングやハイトーンの連続で、テクニックを見せつけられます。どの曲もしっかりしたタンギングと手抜きのない粒ぞろいの音が耳に残るのですが、音域の離れたレガートがスムーズでなくちょっと気になりました。どの曲も技術的にはカッチリ吹かれていて、減点法では文句のつけようがないのですが、もう少しサクソフォンの持っている美しい響きで聴いている私たちをぬくぬくさせてほしいという気がします。
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再び小品を集めたアルバム。どの曲も、とてもキッチリ演奏されています。ただ、その"きっちり"がちょっと窮屈で、音楽的な愉悦感があまり感じられず残念です。小品ばかりというアルバムの性格や輪郭のしっかりした録音も、かえってデメリットになっています。3つの舞曲はほとんど全曲をフラジオの音域で演奏しており、ピッコロ・トランペットのような音色で面白いですし、かつ超絶技巧ではありますが、聴いていて楽しいかというと、私のとっては???でした。。。