フランスで活躍する、サクソフォン奏者/作曲家/音楽理論家。クロード・ドゥラングルに師事し、現在はリヨン国立音楽院の教授の地位にあります。ピアノのネリー=マリオンとのデュオ演奏活動に加えて、作曲家としての活躍もめざましく、自作曲は既に数曲出版されており(一部Ma href="delang.html#JARDIN"この録音に収録)、また師ドゥラングルの名前を冠したエディションの編集にも関わっています。多岐にわたる活動で多忙の様子ですが、今後の活躍が期待できることは間違いないでしょう。
なおフランスの奏者としてはめずらしくヤナギサワの楽器を使っており、その関係で以下のCDはプリマ楽器経由で入手することができます。また、サクソフォンとテープのための曲ばかりを録音したCDも発表しているようで、作曲家/音楽理論家としての知識に裏打ちされた演奏をぜひ聴いてみたいものです。
独特の、ビロードのようないぶし銀的な音色が印象的なミシャの録音。この音色は、ヤナギサワの楽器からくるものなのでしょうか? メンデルスゾーン、グリーグという、愛らしさあふれる曲をこの音色で演奏すると、あら不思議、温かみがありながら涼しげな透明感のある音楽が耳に心地よく広がります。どちらかといえば遅めの落ち着いたテンポを採っていて、たとえば抒情的小品集の有名な春に寄すでは、耳慣れたテンポがさながら村を流れる春の小川のようだとすれば、この演奏は山あいの源流の雪融けの様子を描いているような、繊細で清冽な小川。無言歌集の"歌"も、さらに朗々と歌いこんでほしい気もしますが、そこはミシャの美意識なのでしょう、これはこれで納得できる演奏です。
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前半はバッハ、モーツァルトと古め曲が並んでいますが、演奏されている音楽は快活そのもの、血沸き肉踊るような躍動感のある音楽です。バロックの様式美を踏まえた上で、今ここで音楽が生きているということを実感させてくれるような鮮やかな演奏で、特に無伴奏のパルティータの闊達な演奏が印象に残りました。最後におかれたアルペジオーネ・ソナタももちろん思い入れがたっぷり感じられる演奏ですが、クールな音色ゆえか暑苦しくならないのがミシャの演奏のすごいところではないでしょうか。
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サブタイトルが「Airs d'Operas francais et italiens」となっていて、ビゼーやトマ、ロッシーニ、ドニゼッティなどのオペラのアリアが集められています。曲によってアルト、ソプラノ、テナーを持ち替えているようですが、ヤナギサワという楽器のせいか、伸びやかで繊細な音色が印象的です(ちなみに、A28・S15・T20にヴァンドレンの3.5のリード・BGのリガチュアをつかってるとのこと)。時々2重奏になったり(多重録音?)、ピアノソロになったり、適宜音色に変化があるのも、聴き手にとっては嬉しい限りです。歌劇のワンシーンが目に浮かぶような見事な演奏です。特に、ピアノの音量での細やかな表現力に聴き惚れました。ただ、個人的には、オペラのアリアなので、意図的にヴィヴラートをもう少し使ってもよかったんじゃないかな、とも感じました。(オペラの歌唱って、ヴィヴラートを盛大に使いますからね。。)
出版社である Robert Martin 社からのリリースらしいので、CDショップよりも楽器店で取り扱われることが多くなるかもしれません。
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