北アイルランドのデリー生まれ。1982年にサクソフォンを始め、1989年にロンドンでコンサート・デビューを果たしました。王立北音楽学校とロンドンのギルドホール・スクールで学び、1989年にはアメリカのノースウェスタン大学で芸術修士を取得しました。ということは、ハールの門下生にあたるのでしょうか?(ハールは1988年からギルドホールで教えています) イギリスではBBCフィル、BBCコンサート管弦楽団、バーミンガム現代音楽音楽グループ、ロイヤル・バレエ、アルスター管弦楽団などと共演、活躍しています。また、クラシック以外ではケルト・ミュージシャンのグループに参加したCDもリリースされています。
1999年6月、演奏のため来日し、京都および関西方面を回りました。残念ながら私は生の演奏を聴くことができませんでしたが、今後とも精力的な活動を続けるとので期待して!というメッセージを頂きました。アメリカでも活躍しているようですし、これからの活動が楽しみです。。
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まず、最初のケルトがいい! ヴァイオリン協奏曲の改作ですが、ソプラノサックスの音色がケルトのしらべにぴったりハマってます。マクリスタルの技量も申し分なく、高音でも伸びとツヤがあります。2楽章では北の海の濃紺色や吹きすさぶ風の音まで思い起こさせます。北アイルランド生まれ−ケルトの血が流れてるマクリスタルの共感を呼んだのでしょうか、演奏もすばらしい。トークの協奏曲は、機械的なパターンの織りなす曲にもかかわらず、どことなく血の通ったひょうきんな音楽に仕上がっていて、ハールによる演奏とはまた違った曲に感じます。独奏のホワイト・マン・スリープスも、特別のことをしてるわけではないのですが、惹き込まれてしまいます。蜜蜂が躍る場所はハールやその弟子のハラームの演奏と聴き比べてみるのもおもしろいでしょう。協奏曲同様なんとなく体温を感じさせる録音で、私はこの盤がお気に入り。派手さはないですが、フレンチ・サクソフォンにはない新鮮な響きを堪能でき、超オススメ盤!
なお、アルバムタイトルの「Meeting Point」とは、このアルバムにも収録されているナイマンの協奏曲「蜜蜂が踊る所」にクリストファー・ブルースが振り付けをしたバレエのタイトルです。
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イギリスのプライヴェート・レーベルDiva Recordsからリリースされているアルバム。スコットランド生まれの若手作曲家ビリー・コゥイーの作品集で、その響きは耳に優しく、とげとげしく響くことはありません。いわゆる「ヒーリング」系の音楽に通じるものがあります。マクリスタルはそれぞれの曲を、十分な共感を持って演奏していることが、プログラムノートのみならず演奏からも十分伝わってきます。体をリラックスさせて浸りながら聴きたいCDです。
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久しぶりの新譜はイギリスの独立系レーベルMaridianから、なんとギターのクレイグ・オグデンとの共演。オグデンといえば、シャンドス・レーベルから出ている吉松隆氏のギター協奏曲「天馬効果」や、ロドリーゴの協奏曲の演奏を聴いたことがありましたが、マクリスタルとは学生時代からの長い友人とのこと。なるほど、お互いある程度主張しつつも、決めるところではきっちりキマってます。ブックレット中の2人の写真も、気のおけない仲の良さを感じさせます。アルバムタイトルのプラック、ブロウ(弾き、吹くというような意味)での変幻自在な曲想を的確に吹き/引き分けるセンス、ネメシスではちょっとポップな曲想を実に楽しそうに演奏し(ネメシスIIIのユニゾンは聴きものです)、ウィルソンの2曲をたっぷり歌い上げる、、、最初から最後までマクリスタルの繊細で情感豊かな音色と、オグデンの凝縮された輝きを感じるギターとの名コンビぶりを楽しむことができました。録音でもすばらしさを充分楽しめますが、これは是非生の演奏を聴いてみたい!
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イギリスの独立レーベルChandosからリリースされているドビュッシーの管弦楽作品集全4枚のうちの1枚(単売/セット)。曲により収録の日時が違いますが、マクリスタルの録音は 1992年ですので、ソロアルバムより前の録音になります。録音のせいかやや固めの音に聴こえますが、興味深いのがオーケストラの処理で、ところどころ耳慣れないサウンドがして新鮮でした。他の曲も、華々しさには欠けますが、見通しの良い清潔感のあるドビュッシーにしあがっています。
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アイルランド・ミュージックの代表的レーベルTARAからリリースされた作品。交響曲と名前はついてますが、シリアスなクラシックというよりも、映画音楽のようなスペクタクルな作品。1楽章冒頭から金管バンドのファンファーレが鳴り響き、2楽章ではバグパイプ隊がアイルランド軍の勇壮さを暗示し、3楽章はイーリアン・パイプ(アイルランドの伝統的な楽器)がソロをとるセクションと女性ヴォーカルの唄う「White Horse」のセクションからなっており、最終楽章では自由を謡うソプラノ・サクソフォンのソロがフィーチャーされている、といった具合。解説を読むと、曲はデリー市の包囲?(陥落?)300周年を祝って市の委嘱により完成したもので、それぞれが歴史的なシーンの描写曲のようです。こういう曲って、イギリスで盛んなのはなぜでしょうね? 日本のアタマの固い自称クラシック・ファンには受け入れる余地はないのかしら。(ま、実演は無理でしょうけど。。)
演奏者がこれまた豪華で、アルスター管弦楽団、パイプのLiam O'FLYNN、ヴォーカルのRita CONNOLLYともアイルランドのスターといえる顔ぶれ。アイルランド・ミュージック好きな方なら垂涎なのでは、と拝察。
ライヴ録音ゆえ演奏の傷もありますが、熱気が感じられると同時に、おそらく観客も興奮しているであろう様子がディスクから伝わってきます。楽章間で拍手が入ってしまっているのは、ご愛嬌かな。マクリスタルは録音当時まだサクソフォンを手にして7年目ですが、やや硬質ながら透明感のある音色で自由奔放?に吹きまくっており、出身地デリーの一大イベントに華を添えています。
1969年、アイルランドのダブリン生まれの作曲家、シアラン・ファレルの作品集。アイルランドで主にテレビや映画などの作曲を手がけているようです。このCDには管弦楽曲から室内楽曲まで、様々な編成の曲が収められていますが、どの曲も和声やメロディラインが明確で、どことなくリリカルな曲調が印象的です。ギターのオグデンとのコンビによるシャノン組曲は、Pluck Blow に収録されたものと同じテイクかな? また、スミス弦楽4重奏団との巡礼者の帰還で飄々と吹きまくる様も聴きごたえあり、楽しめる内容です。
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ウェールズの作曲家、メトカルフの作品集。優しい、適度の表情のある音楽は、聴き手に強い緊張を強いることはありません。ミニマリスムの手法を用いながらあくまでメロディアスで独特の透明感と切なさを持っていて、CDを聴いて気に入りました。マクリスタルは3つのモービルでソプラノ・サクソフォンを吹いていますが、ここでもいつものとおりキラキラと繊細に輝く音色が印象的です。
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