アメリカは西海岸で活動するサクソフォン/クラリネット奏者。シンシナティ音楽院、オハイオ州立大学、南カリフォルニア大学芸術学部で学び、南カリフォルニア大学で1975年から95年まで教鞭をとりました。現在はカリフォルニア大学ロサンゼルス校やカリフォルニア州立大学ノースブリッジ校のサクソフォンの教授の職にあります。これまでに、エサ=ペッカ・サロネン、ケント・ナガノ、アンドレ・プレヴィン、レナード・スラットキンなどの指揮者と、ロサンジェルス交響楽団、ハリウッド・ボウル管弦楽団、ロサンジェルス・オペラ、ナショナル交響楽団などで共演を果たしています。数々の録音にも参加しており、、、ということは、ハリウッド・ボウル管弦楽団の録音で聴くことのできるサクソフォンは彼の演奏かもしれません。さらに、探してみるとジャズ系の演奏でも、あちこちに出没。ある意味、職人的な奏者なのでしょうね。
4枚リリースされたマセク氏名義のソロアルバムのうちの1枚。いきなりゴキゲンなガーシュウィン・メドレーをキッチリきめた演奏で披露されます。見通しのよい演奏のベースは、あたりまえですが(でもじつはなかなかめぐり合わない)正しい音程にあるようで、各パートの動きも効果的に聴こえます。ピアノ伴奏、クラリネットによる演奏、女声を加えた演奏など様々なスタイルによる演奏が続きますが、ディヴェルティメントも、テンポ設定や間の取り方など、日本的かどうかは別にしても思わず納得してしまうセンス。そして野田氏のインプロヴィゼーションIIIであっけなく終わるのが、なんだか不思議な気分です。
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アメリカのコンテンポラリーな作曲家たちの作品を集めた一枚。演奏はストレートで職人的な完成度の高いものですが、私にとってあまり相性のよい曲がなかったようで、残念ながらあまり印象に残っていません。すみません。タシェリやカンポは、いかにもこの作曲家らしい響きがするので、興味のある方が聴けばなかなかおもしろく感じるのではないかと思いますが。。
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やはりなんといってもおもしろかったのがアフリサックス。サクソフォン2本の響きにアフリカン・パーカッション、そして女性ヴォーカルが加わって、なるほどストレートにアフリカ音楽のもつ生命力、土俗的なパワーを感じることができます。これは、ぜひ日本でも実演してほしい楽しい曲ですね。また魅力とエロスというこれまたストレートな題名の1曲も、妙に即物的な電子音を背景にしたサクソフォンの様々な官能的な音色や表現が楽しめました。アンコールのような位置づけのPlaces I've beenのしみじみとした雰囲気も印象的。音色や演奏スタイルがニュートラルで懐が広いマセク氏ならではの音楽を堪能することが出来ました。。
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いわゆるコンテンポラリーな曲ばかりですが、1曲目の無理のある横溢(原タイトルirrational exuberance…もっといい和訳はないでしょうかね)の、清潔感のある9度の明るい和音をコード進行を聴いてすっかり曲に引きずりこまれてしまいました。澄んだ川面に浮かぶ光の陰影を見つめているような気分で、一気に曲を聴きとおしてしまいました。無伴奏ソロのブルー・カプリスはあっさりした演奏だったのと、ブラジルからの手紙が南米的な要素を含みつつかなりシリアスな内容だったのが少々意外でした。
それにしてもここまでマセク氏の演奏をまとめて聴いて、知名度は日本では今ひとつですが実に多才な奏者であることが伺えました。まだ入手していない録音も、いつか聞いてみたいものです。
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