ブランフォード・マーサリス(マルサリス)といえば、私が説明するまでもないでしょう。1960年生まれのジャズ・サクソフォン奏者。アート・ブレイキーのビッグ・バンド(ちなみにバリトン・サクソフォンを吹いてました)やライオネル・ハンプトンのオーケストラに参加する前は、バークレー音楽大学でアルヴィン・バティスティに学んでいました。トランペットのウィントン・マーサリスは兄弟にあたります。
Check it amazon.com ! |
アマゾンでこのCDをチェック! |
全編ソプラノ・サクソフォンによる、クラシック小品集。どの曲も技術的に破綻なく安心して聴けます。もう少し熱くなってほしいところもありますが、全編クールなのもおかげで、ますますイージー・リスニング調。おかげで私はもっぱら車の中でしか聴いてませんが。。。中でもエマニュエルの切々とした "うた" は、いいなぁ。クラシカル・サクソフォン初心者におすすめ。
オススメ度:
Check it amazon.com ! |
アマゾンでこのCDをチェック! |
まさか、マーサリスがフランスもののクラシカル・アルバムをリリースするとは思ってもみませんでした。意表をつかれた次第です。この顔ぶれで来日を含むツアーがある話は聞いていたのですが、それにしてもびっくり。Sony Classical レーベルは他にもグローヴァー・ワシントンJrが遺作としてオペラのアリア集を録音してますし、一癖ありますね。もっとも、ライナーにあるとおり、フランスの今世紀の作曲家(このアルバムだとフォーレ以外、かな)は少なからずジャズの影響を受けているわけで、なるほど、こういうアプローチも面白いと感じることができました。
さて、演奏の内容ですが、前作のロマンスに比べるとところどころジャズ色が顔を出していて、やはりそちら系の奏者なんだな、と感じることができます。ライナーでも指摘されていますが室内小協奏曲の3楽章では思いきりアドリヴを披露しており、このアルバムの聴きドコロといえるでしょう。クラシック奏者のなめらかな演奏技術には若干届いていない部分がないわけではありませんが、マーサリスの演奏の根底に流れているのは「うた」であり、どんなに細かい音符の中にも「うた」を刻印していこうというマーサリスの姿勢を感じることができます。それはゆっくりとした曲想ではさらに顕著で、スカラムーシュの2楽章は普通の奏者が4分ちょうどくらいで演奏するのに対して、マルサリスは 5:31 とかなり歌いこんでゆっくりとした演奏になっています。
以下のレーベルの公式ページで、ジャケットや参考音源を確認することができます。ところで、マルサリスの公式ページをみたら、このアルバムが最初のクラシカル・アルバムだと書かれていたけど、それでは「Romance」の立場は??
オススメ度:
Check it amazon.com ! |
アマゾンでこのCDをチェック! |
コンテンポラリーな管弦楽曲といっても、すべてメロディも和音もしっかりしています。ドーハーティって、確か吹奏楽曲もずいぶん書いてたような気がしますが、このオケの曲もなんだか吹奏楽っぽい音がしますね。マルサリスが参加しているのは、ジョン・ウィリアムスのエスカペード。なるほど、ジョン・ウィリアムスらしい、ちょっと謎めいた怪獣でも出てきそうな雰囲気の導入、ちょっとムーディな2楽章、そしてやぱりヒーローものっぽくてかっこよい(でも変拍子が入りまくる)終楽章、、実にわかりやすい曲です。マルサリスのサクソフォンは、適度のヴィヴラートでしっかり歌いこんでいて、奏法はクラシカルですが、エンターテーメントの心を感じさせる演奏です。ネッド・ローレムの曲は、ジャズカルテットと管弦楽のための、ということで、こちらは完全にジャズの雰囲気になったり、クラシカルな雰囲気になったりと、曲想がずいぶん変わります。個人的には、フリアンディスの最終楽章で、各楽器が難しいソロを演奏する中、トランペットとホルン、トロンボーンが掛け合いながらエンディングに向かっていくところがかっこよくてシビれました(死語)。アメリカの吹奏楽曲が好きな方なら、このアルバムも楽しめることでしょう。