1968年ドイツのウェストファーレン州ミンデン生まれのサクソフォン奏者。ミンデンの音楽学校でサクソフォンを手にし、1988年にデトルフ・ベンズマンの門下に入りました。1989年に協奏曲デビュー(グラズノフ)、1991年にはサクソフォンを中心とした室内合奏団「Sax Organi」を結成します。1992年から1999年の間、メトロポール・サクソフォン4重奏団として活動、この間, ディートリッヒ・アードマンの作品集の録音に参加しています。現在はピアノのタヤーナ・ブローメとデュオ活動を行なっており、ドイツの若手奏者として、今後の活躍を期待したいところです。
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ドイツ奏者のソロによる、ドイツ(さらに言えばベルリン)のサクソフォン作品集というコンセプチュアルなアルバム。しかも Volume 3 まで予定されていて、このアルバムは Volume 1 として 1930-32 年に書かれた曲が収められているという、なんともオタク心(笑)を刺激する内容です。今まで、この時代のドイツの作品といえば、シュルホフくらいしか知らなかった私にとって、このアルバムの作品は新鮮に響きました。ピエルネのロンドが1930年、グラズノフの協奏曲が1931年、おなじく4重奏曲が1932年の作曲ですので、これらと同じような時代の曲になるわけですが、「うた」や抒情性を大切にしつつ新しいハーモニーや機動性をサクソフォンに求めたフランスの作品に比べて、ここにおさめられている4曲はジャズの要素は見え隠れするもののソナタ形式の古典的スタイルです。ドイツ製のサクソフォン作品についての情報が不足している中、これらの作品に日の目をあててレパートリの体系に積極的に位置付けようという試みに、素直に頭が下がります。しかし、乱暴な言い方をしてしまうと、シュルホフ以外は残念ながら演奏し継がれるだけの魅力が充分でなかったように感じました。
ルンテの演奏は、まずは真面目に音譜を音にしており、その意味では共感を覚えます。さらに曲に内在するエネルギーやシニカルさが表に出てくれば、曲そのものに対する印象もずいぶん違ってきたと思うのですが、今後の続編(特に80年代を取り上げるらしい Volume 3)に期待をしたいところです。
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Volume 2 は 1934-38 年に書かれた曲が収められています。こちらのアルバムも前作同様、ブックレットの内容も非常に充実しています。演奏自体ももちろん真面目ですが、曲の内容ゆえか、前のアルバムに比べて理屈ぬきに聴いていて"楽しい"アルバムになっています。さらに曲への「思い入れ」を直接的に感じられれば一層楽しいアルバムになったと思うのですが、これはルンテ氏の性格かな?? いずれにせよ次の第3集がますます楽しみになりました。
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シリーズ完結編 Volume 3 はぐっと現代に近づき 1982-2004 年に書かれた曲が収められています。シリーズを通して感じるのは、ドイツの作曲家たちがいかにサクソフォンをクラシックの楽器として確立すべきかを模索した苦労の大きさ。フランスと違って、スタープレーヤがおらず、注目や委嘱が少ない中で、いかにサクソフォンをクラシックの語法に取り込んでいくかが、それぞれの作品に苦労の跡がにじみ出ている、ように感じます。
演奏自体は、前のアルバム同様、非常にまじめに取り組んでいる様子がわかります。たとえば赤い地球では、作曲家自身の演奏のような狂気の発露にまでは至りませんが、ルンテなりに謙虚に音楽を表現しようとしている姿を感じ取ることができます。今後、これらの作品が、陽の目をみるのかどうか、気になるところです。
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