Jérôme LARAN


1978年、フランス生まれのサクソフォン奏者。パリ音楽院サクソフォン科を満場一致の首席で卒業、同音学院研究科を終了。クロード・ドゥラングルに師事しました。在学中より、2000年のリュクサンブール国際サクソフォンコンクールの1位をはじめ、2001年のミュンヘン国際音楽コンクール、2002年のディナン・アドルフ・サックス国際コンクールなどで入賞を果たしています。バニョレおよびスュシー・オン・ブリ音楽院で教授職の傍ら、IRCAMなどで現代音楽を主体に積極的に演奏活動を行なっています。たびたび来日し、「東京の夏」音楽祭他でみごとな演奏を披露しており、今後も来日が期待されます。

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主なアルバム


「Impressions d'Automne」

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2008/1/8-10 秩父ミューズパーク音楽堂(埼玉県)
  1. ラプソディ (ドビュッシー)
  2. ソナチネ (ラヴェル)
  3. スカラムーシュ (ミヨー)
  4. 前奏、カデンツァと終曲 (デザンクロ)
  5. オーボエ、バソンとピアノのための3重奏曲 (プーランク)>
    /w 原 博巳 (saxophone)
  6. SPP (ルルー)
  7. 秋の印象 (カプレ)

Jérôme LARAN (saxophone) / 棚田 文紀 (piano)

フランスの古典的なレパートリーに対して、体当たりで挑んだプログラム。いや、大柄なララン氏に体当たりされたら吹きとばされそう、なのですが、華やかで濃厚な音色、情熱的な演奏はある意味でフランスの伝統的な奏法の延長にあります。曲によって奏法やヴィヴラートを使い分け、細かい箇所にこだわりを感じさせながらも曲全体をしっかりわしづかみにしてニッコリ聴き手に提示してくれる、いい意味で非常にわかりやすさも特徴でしょう。その傾向は唯一紛れ込んだコンテンポラリー作品SPPでも言えることで、難解な曲でありながら、子供のような純粋な好奇心で取り組むララン氏のきらきらした瞳が目に浮かぶようです。ドビュッシーは、いつもと違う不思議な音が聴こえてきてユニーク。凝縮されているのに透明感をかんじさせるソナチネ、文句なく楽しくて快活なスカラムーシュもすばらしいのですが、一番の聴きどころは原博巳さんとを交えたトリオによるプーランクでしょう。3人の茶目っ気たっぷりのアンサンブルが上滑りすることなく、アクティヴなのに上品な、不思議な演奏です。ある意味、実にフランス的な演奏を久しぶりで聴いたような気がしました。

オススメ度:


「Paysage Lointain」

Le Conservatoire de Paris CREC-audio 05/046 (c)2005
  1. 第3ラウンド (マントヴァーニ)
  2. ミクシオン (ジョドロフスキー)
  3. 西、または秋の夕べの歌 (夏田昌和)
  4. 天使のミロンガ (ピアソラ)
  5. コーラス (エスケッシュ)

V.A.

メイヤー財団の支援によりパリ国立高等音楽院が作成したアルバム。様々な編成の現代曲(ピアソラを含め)が収録されています。天使のミロンガを除き、どの曲も相当に現代的な響きの曲ばかりなのですが、不思議なことに?そうトンがった印象を受けないのです。録音によるところもあると思いますが、ラランの演奏が技術的にも精神的にもリラックスしていて、音色そのものが必要以上に耳障りでないからのようです。タイトルどおりいろいろな音がひとつの音楽に形成されていくMixionの響きも、ドキュメンタリー映画を見ているかのような不思議な感覚でユニーク。西、または秋の夕べの歌は、師匠ドゥラングルは非日常的なつきぬけてしまった世界のように演奏しているのに対して、ラランの演奏は今ここに存在する異国文化を一旦体内に取り込み等身大で表現しようという目線を感じました。

しかし、各曲間に挿入されている様々な編成による即興演奏こそ、実はもっともラランの個性が発揮されているようです。テンションが高く、丁々発止を繰り広げている様は、子供が嬉々として遊びの応酬をしているような爛漫さを感じました。

オススメ度:

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