マサチューセッツ大学アムハースト校の教授であるリン・クロックは、ミシガン大学とインターラーケン芸術アカデミーでドナルド・シンタとラリー・ティールに師事しました。またスプリングフィールド交響楽団のバスクラリネット奏者でもあります。ご紹介したCD以外にも、CRI、Mark、Orion レーベルから録音がリリースされているようです。下記で録音では、Selmer の Super 80 Series II に Selmer Larry Teal マウスピース、Charles Bay のリガチャー、リードは Vandoren #3 を使用しているとのことです。
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Open Loop レーベルへのデビューアルバム。比較的オーソドックスなレパートリが録音されており、とても丁寧に演奏されていますが、残念ながら "楽しい" 音楽になっていません。音が踊っていないのです。譜面通りに吹けばそれなりに端正な唄が聞えてくるシューマンはまだしも、フーサは退屈してしまいました。
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Open Loop からの2枚目では、テナーとバリトンを吹いています 。コルシカの歌が聴きたくて、つい買ってしまいました。こちらも良くも悪くも素直に吹いていて、もうちょっと音楽的な味付けや自己主張がほしいところです。数少ないバリトン・サクソフォンのレパートリであるソナタの録音は珍しく、作品としてはなかなか楽しめました。なお墓碑銘でホルンを吹いているLaura KLOCKは、リン・クロックの奥さんで、スプリングフィールド交響楽団の首席を12年間つとめたそうです。
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クロック氏の名前は先のOpen Loopレーベルのアルバムの印象があまり良くなかったのですが、突然Albanyレーベルからアルバムがリリースされて驚きました。しかも、オール・バリトン・プログラム。しかもCDを聴いてみれば、たしかに音色はバリトンだけれど、テクニカルなフレーズをあまりに軽々と吹きこなしてるではありませんか。
1曲目のフュージョン組曲から、実にポップでゴキゲンな雰囲気。適切な例えではないかもしれませんが、バリチューバ・アンサンブルが実に楽しくポップな演奏をするような、そんな感じのバリトン。リズミカルに、しかも時に朗々と歌うバリトンは痛快です。高音域から低音域まで自在に駆使したドゥ・プロフォンディスや、いきなり最低音からはじまるシャドウニング・ニックも、バリトンの各音域を効果的に使っていて、実にスリリング&エキサイティング。バリトンサックス吹きの方、これはぜひ聴いてみて、オモシロイと思ったら実際に曲を演奏してみましょう。もっとも、クロック氏の演奏はすらすらと見事なので、吹いてみたら超ムツカシイ、という事になりそうですけど。。
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