1982年ロシア南部のヴォログダ生まれのサクソフォン奏者。地元でヴァイオリンを習得後、13歳でサクソフォンを始め、1年後には音楽大学に入学しセルゲイ・クズネツオフに師事しました。その後ロシア・グネーシン音楽大学に進学、ロシアのサクソフォン教育の第一人者であるマルガリータ・シャポシュニコワに師事します。2003年にはキエフ・インターナショナル・サクソフォン・コンペティションで1等を得、この年の夏にはグリーグ基金の援助によりノルウェーのトロンハイムでフレデリック・ヘムケのマスタークラスに参加します。2004年にはモスクワ・クラシック音楽協会国際コンペティションで1等、2006年にはアドルフ・サックス・サクソフォン国際コンペティションで1等を得るなど、様々な活躍をしています。現在はモスクワ音楽院、モスクワ室内管弦楽団、ベルギー室内管弦楽団など多くの楽団と関わりながら、演奏活動を続けています。
もしやと思いましたが、ロシアの哀愁ただよう暗めの響きでも、どこまで強奏するんだ?という爆演でもなく。少しヴィヴラートは控えめでモダンに聞こえますが、意外にも少し前のフランスの華やかな系統に属する音色です。そういえば、音楽的にはロシアとフランスっていろいろ縁があるんだっけ、って関係ないか。
当たり前ですが、楽器のコントロールは自由自在で、すーっと入ってくるような弱音は、須川展也さんの演奏を思い起こしました。デクリュクのソナタで見せるタンギングも、文字通り舌を巻く上手さ。ファジイ・バード・ソナタでは何かから開放されようともがくような響きが印象的です。亡き王女のためのパヴァーヌやヴォカリーズでは、コントロールされながらも隠しきれない歌心も感じられます。最近、フランスでこのようなクラシカル・サクソフォンのスタンダードの曲がてんこ盛りになったアルバムがリリースされてるのかわかりませんが、ロシアやドイツあたりからこのようなアルバムが出てくるのがおもしろいところです。スタンダードな曲に慣れ親しんだ日本の私たちには、このアルバムはとても心地よく響くことは間違いありません。
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