神奈川県出身、昭和音大を卒業、渡辺美輪子、岡崎美絵子、宗貞啓二、福本信太郎、 田中靖人の各氏に師事しました。昭和音楽大学附属音楽教室講師およびローランドミュージックスタジオ・システムサウンド21講師。ソロ活動のほか、アニモ、シュフル、フィールの各サクソフォン4重奏団に参加し、多彩な活動を繰り広げています。
なお、詳しい経歴やリサイタルの予定については、ご自身によるホームページが開設されていますので、是非ご覧ください。
ファーストアルバムは、すべて日本人の手による作品が揃っています。「風の旋律」のアルバムタイトルからも想像できるとおり、難解な曲はなく、聴き手が自然に受け入れられる素朴なメロディの曲ばかりです。委嘱や献呈作品は、奏者と作曲家の距離の近さを感じさせる自然体の曲/演奏で、たしかに意図どおりの音世界が広がっているようです。最後2曲はJ-Pops で Dreams Come True のナンバーから。背伸び無しの等身大、しかも個性的な選曲ですが、思い入れを超えた普遍的な音楽の魅力を紡ぎだしています。いい意味で力の抜けたパステルトーン調の演奏ですが、実演ではさらに多彩な音色のパレットで表現の幅を広げているのでしょう。曲に内在する多彩なカラーを感じてみたくなりました。今後の活躍を期待したい奏者です。
なお、河西氏の公式ページで一部を試聴することができます。
河西麻希さんのセカンドアルバム(というべきか、ユニットの作品を数えればサードアルバム)は、むむむ、こうきましたか。はい、完全にコンセプト勝ちです。ジャケットからブックレットの内側から、かわいいネコ写真がいっぱい。曲も河西さんの飼い猫を曲にした猫・ねこ・ネコ、船橋さんの飼い猫を曲にした猫日和をはじめ、肩肘はらない自然体な曲で構成されています。どことなくドビュッシーやフォーレの歌曲のような響きがするのは、船橋さんの個性なのか、それともサクソフォンという楽器が自然とそういう響きが導きだすのか。。ところどころ猫の鳴き声やグルーミングのような響きが取り入れられたりして、おもしろい効果を出しています。猫日和では「ケンカをうるように」「猫パンチのように」なんて指示が楽譜に書かれてるらしいです。ちょっと楽譜を見てみたいかも。
つゆ草、れんげ草といったネコ系以外の曲も、やはりフランスの歌曲のようなテイストがすてき。フルートのための作品をソプラノ・サクソフォンに書き直したというメロディだけは、明らかに器楽曲的なフレーズが多く、このアルバムの中では一番クラシックっぽいかも。
河西さんのサクソフォンは、水彩絵の具のような透明感があります。録音は残響がやや多めに捉えられていますが、その中でもすーっとどこまでも伸びて行きそうな音色の特性が印象的です。全体にとてもお行儀のよいネコさんたちに聞こえるのは、曲のせいか、それとも録音のせいかな。フレーズひとつひとつの躍動感やどんどん変わっていく曲の表情が、録音のせいか十分伝わってこないのが惜しいです。
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