Kyle HORCH


アメリカのノースウェスタン大学でフレデリック・ヘムケに師事、またイギリスのギルドホール音楽学校でステファン・トリエーに師事しました。アメリカ、イギリス、スウェーデンなどで各種の賞を得、1987年からピアノ奏者のパルマ・リディアードとともに、イギリスで行なわれたワールド・サクソフォン・コングレス、パーセル・ルーム、クィーン・エリザベス・ホールなどイギリスを中心に活動を続けています。

現在はミストラル・サクソフォン4重奏団(いかにも霧の都ロンドンらしい名前ですね)や、ギターのカルロス・ボネルを中心としたカルロス・ボネル・アンサンブルのメンバであり、またバーミンガム市交響楽団やロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団、ロイヤル・オペラハウス、ピカデリー・ダンスなどのオーケストラへ頻繁に参加しています。また、ロンドンの王立音楽学校で教鞭をとっている他、イギリス、アイルランド、ノルウェー、スイス、オーストラリア、アメリカなどでマスター・クラスを開いています。

なお、America's Millenium Tribute to ADOLPHE SAX Volume 4 にも演奏が収録されています。



主なアルバム

「Chamber SAX」

Clarinet Classics CC 0029 (P)1999
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  1. 5重奏曲〜アルト・サクソフォンと弦楽4重奏のための (ブッシュ)
  2. ジーン・ハーローの墓碑銘 (ケクラン)
  3. 3重奏曲〜ヴィオラ、テナー・サクソフォンとピアノのための (ヒンデミット)
  4. 4重奏曲〜ヴァイオリン、クラリネット、テナー・サクソフォンとピアノのための (ヴェーベルン)
  5. 夜警の歌(オランダの版画) (ニン)
  6. 5重奏曲〜ハープ、チェレスタ、フルート、アルト・サクソフォンと女声のための (ヴィラ=ロボス)

Kyle HORCH (saxophone)
Pamela LIDIARD (piano)
Karen JONES (flute) [b,e]
Fenella BARTON (violin) [a,d]
Katrine Reinhold BUNDGAARD (viola) [c]
Margaret MAGUIRE (mezzo-soprano) [e,f]
Hugh WEBB (harp) [f]
John PAYNE (clarinet) [d]
Ulrike KIPP (violin) [a]
James BOYD (viola) [a]
Louise HOPKINS (cello) [a]
Alison WELLS, Sarah REDGWICK (soprano) [f]
SiánWigley WILLIAMS (mezzo-soprano) [f]

Clarinet Classicsレーベルからのリリース。アルバム・タイトルどおり、サクソフォンを含んだ様々な編成の室内楽曲を録音した好企画です。全体に華々しいというより堅実な演奏で渋めの印象が強く、たとえばジーン・ハーローの墓碑銘は、ロンデックスの演奏が若者(死語?)が自由闊達にのびのびと演奏しているのに対して、ホルシュの演奏は円熟期の壮年が相手とつかず離れず微妙なニュアンスを楽しんでいるように聴こえました。ヴェーベルンはもっと研ぎ澄まされた緊張感がほしい気もしますが、下手に演奏すると収拾のつかなくなりそうなヴィラ=ロボスが筋の通った節度ある演奏になっているのが好感を持ちました。

地味なアルバムなのでクラシカル・サクソフォン入門者には向かないかもしれませんが、ちょっと変ったものを聴いてみたいという方にはお奨めです。

ところで、ヴィラ=ロボスの冒頭のフルートの低音って、通常音域より下のような気がするのですが、H管つけて演奏してるのかしら?

Clarinet Classics レーベルのこのCDの紹介はこちら(英語)

オススメ度:


「ANGLOSAX」

Clarinet Classics CC 0046
2002/7/18,8/22 Wathen Hall, St.Paul's School, Barnes, London
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  1. レッスンズ・オブ・ザ・スカイ (R.ロジャース)
  2. イングランド民謡による6つの習作 (ヴォーン=ウィリアムス)
  3. 嘆き (バークレー)
  4. パストラル (カーター)
  5. ピクニック・オン・ザ・マーン (ローレム)
  6. カム・ダウン・ヘヴィー (チャンバース)
    Fenella BARTON (violin)

Kyle HORCH (saxophone) / Pamela LIDIARD (piano)

欧米のさまざまな作曲家によるオリジナル曲を集めたアルバム。現代的な曲が多いものの、けして理解困難な曲ではなく、しかも比較的録音に恵まれていなかった好レパートリがそろっています。ヴァイオリンも加わってちょっとポップなカム・ダウン・ヘヴィー以外は、前作同様堅実な印象が残りました。個人的にはもう少し華やかさや柔和さがあってもいいのではないかな、とも感じますが、これがホルシュの個性なのでしょう。もちろん、繰り返し聴くうちに曲の隅々に配慮された演奏であることが伝わってきます。メロディそのものがチャーミングなイングランド民謡による6つの習作は、ホルシュの個性がよい方向に出た演奏です。

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オススメ度:


「San Gejtanu Ian Stewart

Music Chamber MC0005
2008/7 St.John's Church, Notting Hill, U.K.
  1. San Gejtanu (I.スチュワート)
    Kyle HORCH (saxophone)
  2. エレクトリック・クラウズ (I.スチュワート)
  3. マグニフィカット (I.スチュワート)
  4. 合奏協奏曲 (I.スチュワート)

Altissiomo Ensemble

San Gejtanu とは、マルタ島の中部で入り江に面した小さな街、ハムルーンの守護神のことで、作曲者のイアン・スチュワートがマルタ島を訪れた印象を音楽にしているとのこと。だからでしょうか、コンテンポラリーな作品ですが、弦楽器はけして荒々しい響きを奏でることなく、。カイル・ホーチのサクソフォンは、滑らかな弦楽器の上を、真珠のような音色で自由闊達に動き回り、さながらマルタ島の明るい陽射しか、あるいは森の中を散歩しているかのような爽やかな響きです。穏やかな木漏れ日を感じたり、小川の流れにあたったり、古木を見つけたりしている気分になりました。このアルバム、キャッチーなメロディーはないものの、疲れたとき聴けば、ほっと和めることでしょう。

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